一般財団法人環境イノベーション情報機構
現実の溶出量値について
登録日: 2004年01月16日 最終回答日:2004年01月21日 水・土壌環境 地下水/土壌汚染
No.4667 2004-01-16 00:38:56 水の虫
土壌汚染対策法に基づく溶出試験方法は、試料を細かく粉砕して6時間振動することで強制的に溶出させた量であり、現実の溶出量より大きい値のなっているように素人としては感じます。
例えば、試料を粉砕することなく現場にある試料(土砂や小石の混合状態)を用いて試料をpH7.0程度の溶液に浸して振動することなく溶出を行ったとすると、公定法で得られる値の何%位になるのでしょうか。
また、比較した内容の文献や比較するための試験方法をご存知でしたら、教えてください。
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No.4676 【A-1】
Ehで変わる?
2004-01-16 18:39:33 shiny_green (
No.4677 【A-2】
Re:現実の溶出量値について
2004-01-16 21:05:31 とも (
含有分析は、体内に土壌が入ったときに相当するようです。
素人(とおっしゃいますが)の方がどう感じられるかはわかりませんが、
公定法でそう決まってしまっているので、そう分析するしかありません。
土壌汚染対策法は環境省の管轄ですので、電話などで問い合わせたらいかがですか。
別件で電話をかけましたが、丁寧に対応してくれました。
No.4712 【A-3】
Re:現実の溶出量値について
2004-01-19 10:56:00 マタカ (
No.4715 【A-4】
Re:現実の溶出量値について
2004-01-19 17:25:29 ジオドクター (
溶解度曲線というのですが、ご存知でしょうか?
それを、公定法のpHとpH7とで比較すれば、概ね何%という値は出てくると思います。
ただし、現場であっても、土砂中にアルカリ側にふる物質又は酸性側にふる物質が入っている場合が多々ありますので現場=pH7というのはどうかと思います。(雨ざらしであれば、pH5〜6が妥当では?)
ちょっと質問内容から離れてしまうかもしれませんが、長期的に見た場合の試験結果では、公定法の値より大きく出ることはあります。
No.4737 【A-5】
土壌中の存在する形で理解して下さい
2004-01-21 11:05:26 shiny_green (
土壌中には、様々な形で存在しています。分かりやすいのが重金属なので、それを例として説明します。
簡単に書くと、
1)表面吸着の形
2)酸可溶の形(炭酸カルシウムなど)
3)難溶の形(鉄などの酸化物)
4)残渣の形(鉱物の格子中)
となります。
土壌の種類や分布する環境により、それぞれの形態ごとの濃度は異なります。これは一般化できません。例えば、難溶の形の濃度が非常に低く、酸可溶の形が高い場合など。
またその形態ごとに、pH,Ehによる溶出条件が異なります。
例えばある重金属の研究では、以下の関係が見られると報告しています。ただしこれは一例で、正しいとは限りません。各形の正確な分析方法は、論文が大量に出ていますので、そちらを参考にして下さい。
1)表面吸着:告示18号の溶出値
2)酸可溶:告示19号含有量値
3)難溶:底質ないし全量値
4)残渣:XRFないしアルカリ融解
以上をまとめると、
1)土壌中には、様々な形で存在している
2)その形ごとに、溶出条件が異なる
3)形ごとの濃度は、様々で、一般化できない。
なおこのような研究は、農薬などの有機物でも進められています。
従って、ご質問にあるような、1)公定法で得られる値の何%位になるか、2)比較した内容の文献や比較するための試験方法、というのは、
1)形が土壌によって異なる。その形と、国の分析方法とが正確に比較できない。
2)理論上、比較すること自体できる物ではない。すなわち、文献値の比較上では可能かもしれないが、それは理論上間違えている。また正確な各形の分析方法については、研究がかなり進んでいますので、そちらの成果を参照下さい。
公定法は、その公定法の値として理解すれば良いと思います。
以上
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