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環境Q&A

CDMにおけるCERの取扱いと分配方法 

登録日: 2003年12月09日 最終回答日:2003年12月18日 地球環境 地球温暖化

No.4224 2003-12-09 15:40:23 BAHAGIAN

CDMプロジェクトの調査がほうぼうで行なわれていますが、下記の点について見当がなされているのを見たことがありません。皆様どのようにお考えですか。

【CERは誰が誰に販売するのか?】
CDMホストカントリー国はEITに参加する資格は京都議定書上ありません。従い、CDMを行なうプロジェクト会社はCERを販売することは出来ないと思います。仮に販売が可能であったとしても、市場価格で販売するのであれば、CERを得るためにこのプロジェクトに投資する投資家は出てきません。この場合はCERを市場価格よりも安い金額で投資家に優先的に販売してくれる(あるいは無償でくれる)のでなければプロジェクトに投資しようと言う投資家は出てこないと思います。
この場合は、プロジェクト会社の損益は現在まで行なわれたFSなどよりもずっと悪くなることが想定されます。
(無償になったら、CER収入はプロジェクト会社には入らないので、収支が回らない(=というのがCDMの前提))

逆に投資家は無償でCERを手に入れられるのでなければ、CER市場価格との差益分しかリターンを得られないことになり、リスクも鑑みれば、プロジェクト会社の資本調達コストは非常に高くなることが想定されます。

ホストカントリー側はCDMで得られる便益はCER収入と日本からの技術と資金の流れと理解しているところも多く、現地との調整は困難を極めると思っています。

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No.4327 【A-2】

Re:CDMにおけるCERの取扱いと分配方法

2003-12-18 10:18:44 東京都 / 君山銀針

ところで京都メカニズムの実施ルールではプロジェクトを実施し発行されたCERは2%が途上国での適応対策用基金へ、X%がCDM 事務費用のためのShare of Proceeds口座へ、(98-x)%が投資国政府の登録簿にあるプロジェクト実施者の口座へ配分されることになっています。
http://www.env.go.jp/earth/report/h15-05/chap_02.pdf
この適応対策基金は途上国で気候変動に適応するための具体的な活動を支援する基金で、CERの利益を活用することになっていますが、COP9のNGO通信 http://www.netplus.ne.jp/~casa/cop9/COP9tsushin3.htm によれば、基金の活動内容はまだ決まってないようですね。

ここまでのことで違っていることがありましたら、ご指摘下さい。

回答に対するお礼・補足

君山銀針様

御回答有難うございます。
貴殿御紹介の三菱証券の文書は読んだことがありましたが、残念ながらプロジェクトのファイナンススキームのみを検討したもので、CERの収入をどう配分すればbankableなプロジェクトになるのかという点で検討されていません。
投資家は投資金額とリスクに見合うCERを要求するわけですから、彼らの取り分はプロジェクトカンパニーも収入として予定することは出来ないわけです。また、当方が指摘したようにプロジェクトカンパニーがCERを市場価格で売却してしまうと、投資家はCDMに投資するメリットは大幅に減り、通常の海外プロジェクトと同等(あるいはCER価格変動がある分)それ以上のリターンを求めることになります。
おっしゃるとおり、国内の排出権取引制度が整備されれば(キャップもないのに誰がなんのためにという疑問は残りますが)当然CERの売買は可能と思います。

貴殿の御指摘された点で誤りはないと思いますが、当方の趣旨は少し別の所にあります。

No.4326 【A-1】

Re:CDMにおけるCERの取扱いと分配方法

2003-12-18 10:17:25 東京都 / 君山銀針


環境省の京都メカニズムのページ
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/kyoto-m/03/ref_4.pdf
http://www.env.go.jp/earth/ondanka/kyoto-m/03/ref_5.pdf

経済産業省の京都メカニズム利用ガイド (71ページ以降)
http://www.meti.go.jp/policy/global_environment/index.html
の排出量取引(ET:emissions trading)の説明を読むと、

・事業者に参加の承認を与えている国がCERの移転・獲得を行う資格を有していること、
・国別登録簿の中に、事業者の保有する排出枠を管理するための法人用保有口座”
が開設されていることという要件を満たせば、事業者間で排出枠移転ができるようです。
(つまり途上国であるホスト国ではなく、CDMによって利益を得たい参加承認国(先進国)に
議定書参加資格があればCER取引が可能のようです)
ただし国際間取引は2008年以降にならないとできません。

またお尋ねのCDM投資家像を分析した資料としては

新エネルギー・産業技術総合開発機構 環境調和型技術開発室
ニューズレターの
シリーズ:地球温暖化関連の技術移転
http://www.nedo.go.jp/get/newsletter.html
での三菱証券株式会社クリーン・エネルギー・ファイナンス委員会の記事

NEWSLETTER Vol.9 :シリーズ:地球温暖化関連の技術移転(9)
〜CDM事業の資金調達(その1)〜【PDFファイル:31kb】

NEWSLETTER Vol.10:シリーズ:地球温暖化関連の技術移転(10)
〜CDM事業の資金調達(その2)〜【PDFファイル:23kb】

があり、ご興味に近い内容と思いますが、この分析ではCER自体初期投資分をカバーする程の資金源ではなく、事業の10%から20%を埋めることができる程度とされています。

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