サンプルの希釈と定量下限値について
登録日: 2012年11月14日 最終回答日:2012年12月04日 水・土壌環境 その他(水・土壌環境)
No.38882 2012-11-14 18:35:45 ZWlea3e 呑川
はじめまして。
原子吸光光度計の定量下限値について疑問に思った事がありましたのでご質問させていただくことにしました。
この前、原子吸光光度計での金属分析の打合せをしている時に、分析会社の方(実際に分析業務に携わっている方です)に『サンプルを希釈すると定量下限値が下がる』と言われましたが、このようなことはあり得るのでしょうか?
定量下限はブランクを数回測定した時の標準偏差の10倍の値だと思っていたので、サンプルの希釈で定量下限値が下がると言うことに混乱してしまいました。
定量下限値にはサンプルの希釈・濃縮には関係ないと思うのですが、サンプルの希釈・濃縮を考慮した定量下限値の求め方というのがあるのでしょうか?
素人のご質問かと思いますが、どうぞご回答よろしくお願いします。
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No.38883 【A-1】
Re:サンプルの希釈と定量下限値について
2012-11-15 13:03:41 今は分析と開発屋 (ZWle41e
http://www.jsac.or.jp/bunseki/pdf/bunseki2010/201005nyuumon.pdf
今回原子吸光の話をしておりますので、原子吸光を例に話を進めます。
原子吸光で検出できるのはある程度の「量」(µgとかngとかの質量です)が必要です。この時の定量下限値の単位は「質量」です。あなたもその認識で「定量下限」と言っておられると考えます。
一方、分析会社の方が言っておられるのは「含有率」(ppmとか%とか)のことではないかと考えられます。これは大本のサンプルをどの位希釈したかによって変わるものですから、希釈率を大きくすれば「定量下限値」(この時の単位は含有率)も下がりますよね。
あなたと分析会社の人との認識の違いではないかと考えられます。
ちなみにこのスレッドは結構議論になりますので、しばらくの間閉じないで他の方の回答を待っていただけないでしょうか?
宜しくお願い致します。
回答に対するお礼・補足
『今は分析と開発屋』さん、早速のご回答ありがとうございました。
『今は分析と開発屋』さんから頂いた資料をなんども読み返して少しながら定量下限値について理解できたと思います。
仰る通り、私は『量』としての定量下限値と『濃度』としての定量下限値を間違えておりました。
ですが、まだわからないところがあります。
頂いた資料を見ると定量下限値は以下の式で表せます。
CD=k×σb×A
CD:定量下限値、k:定量下限値の場合は10、σb:ブランク信号の標準偏差、A:検量線の傾き(感度)
ここで実際の分析で求める値はAとσbだけで、この値は標準溶液を使用して作成する検量線から求めると思います。
そうなると、定量下限値というのは、実際に濃度を求めたいサンプルの希釈・濃縮には関係ない値ではないでしょうか?
たびたびのご質問ですが、ここで一番悩んでおります。
追記1
『今は分析と開発屋』さんのおっしゃる通り、議論になっていただければ私にとって非常に勉強になりますので、しばらくの間他の方の回答を待っていることにいたします。ありがとうございます。
追記2
質問の中に間違えがありました。回答済みなのでもう修正はできないため、下に修正を示しておきます。
誤:サンプルを希釈すると定量下限値が下がる
正:サンプルを希釈すると定量下限値が上がる
以上、よろしくお願いします。
No.38884 【A-2】
はてな?
2012-11-16 13:04:17 今は分析と開発屋 (ZWle41e
『サンプル量を減らせば定量下限値が上がる』というなら分かるのですが。
話は変わりますが、希釈・濃縮というのは測定したいものを使用する分析法で検出できる範囲に合わせるために行う操作です(変な表現で申し訳ありません)。求めたいのは「大本のものにどれ位あるか?」ということならば、自ずと理解できると思われます。但し、希釈・濃縮という操作は添加回収試験等を行うことによる確認も必要ですが。
回答に対するお礼・補足
ご連絡が遅れて大変申し訳ありません。
追記2についてですが、『サンプルを希釈すると定量下限値が上がる』ですか?
『サンプル量を減らせば定量下限値が上がる』というなら分かるのですが。
そうです。
分析会社の方に教えていただいた時は『定量下限値が2mg/Lで、前処理でサンプルを10倍希釈した場合はその時の定量下限値は1mg/L × 20 = 20mg/Lとる。』
ということを教えて頂きました。
No.38887 【A-3】
Re:サンプルの希釈と定量下限値について
2012-11-17 14:59:05 なんちゃって計量士 (ZWl9549
尊大傲慢で素っ頓狂な質問が出たと思ったら、アジャパーな回答が返ってきました。日本分析化学会掲示板でも同様な質問が出ましたが、単に小学校の四則演算の問題。マア、間違いの一部を自ら訂正するなど、一応の聞く耳は持っているようなのでコメント付けておきます。
1.定量下限と考えている問題に関して
定義に対する誤解。ここに1mgの球があるとします。この球は一つなら計測できますが、それ以外では計測できない球とします。
1ml中に一箇の場合は千mg/L、1立米中に一箇の場合0.001mg/L、になることが理解できますか。
(1ml中に一箇とは、1mlを採取して1Lに希釈する場合に対応します。1立米中に一箇とは、1立米を採取して1Lに濃縮する場合に対応します。)
つまり、定量下限という言葉で、測定レンジを変更できると説明しているだけです。
2.誤差の伝播に関して
回収率や操作毎の誤差に関してお話しすると発散してしまいますので、単に分解能のお話。例えば目盛りが100あるスケール、1m用ならセンチまで精度が出ます。1km用だと10mの精度になります。(実は最小目盛りの一ケタ下まで技能があれば読めます)
濃縮、希釈の場合も同様です。比率が同じことが重要です。
3.定量下限
>・・・数回測定した時の標準偏差の10倍の値だと思っていた・・・
マア『お気楽でいいわね』としか言いようがありません。初学者でも理解しやすい資料がご紹介されていますからまず読んで学ぶことです。
そのうえで、自らが考え工夫し、色色な場面を想定して考えることです。
端的にいえば『確からしさを如何に担保するか』測定者が自ら定義することです。つまり・・・ルール=決められた枠内でのお約束
蛇足
薬学部では確率教えてくれなかったとか色々不満はあるでしょうが、それ以前の基礎教育ができていません。
『素人のご質問かと思いますが』・・・親の顔が見てみたいとはよく言いますが・・・・蔭口はたたいても、面と向かって注意していただける仲間もいないのでしょう。
回答に対するお礼・補足
ご回答ありがとうございます。
ご指摘、拝聴いたしました。
定量下限の定義を誤解していたみたいです。
少ししっかり理解できない部分もあるのですが、『なんちゃって計量士』さん仰る通り、まず他の資料を読み漁ってみることにいたします。
No.38890 【A-4】
Re:サンプルの希釈と定量下限値について
2012-11-21 21:11:44 Lake (ZWla752
装置の定量下限値は、標準溶液を希釈していってその装置でどこまで定量できるか、というものです。(求め方はいろいろありますが・・・)
しかし、実試料は前処理が必要ですよね。希釈や濃縮も立派な前処理です。
これらを考慮した定量下限値は、装置の定量下限値とは一致しません。(普通は、装置の定量下限値より大きくなります)
お答えになっていますでしょうか?
回答に対するお礼・補足
『Lake』さん、ご回答ありがとうございます。
これまで私が考えていたのは『Lake』さんのおっしゃる『装置の定量下限値』ですが、『測定方法の定量下限値』は聞いたことがありませんでした。
この『測定方法の定量下限値』は希釈率・濃縮率に関係があるとすると、『装置の定量下限値』とどのようか関係があるのでしょうか?
No.38893 【A-5】
アジャパーなんて言われてしまう理由
2012-11-24 00:21:12 なんちゃって計量士 (ZWl9549
>追記2についてですが、『サンプルを希釈すると定量下限値が上がる』ですか?
>『サンプル量を減らせば定量下限値が上がる』というなら分かるのですが。
トートロジーでしょ、これじゃ・・・サンプルって、採取量のことを定義するといわれたいのかしら。通常検査(分析)に用いる量を指すのが一般的と考えているのは私だけ・・・・
>(普通は、装置の定量下限値より大きくなります)
濃縮した時はどのようになるのかしら???せっかく「希釈や濃縮も立派な前処理です」や「装置の定量下限値と測定方法の定量下限値を混同されてませんか?」って発言されている真意は、混乱させたいだけ・・・
それとあくまでも定義の問題になるのですが、装置の定量限界なる用語はあまり使われません。通常は測定レンジなんて呼びますし・・・というより、分析技術者ならJIS・・・
提示された資料からの引用―
用語に関する重要な上位規格であるJIS K 0211「分析化学用語(基礎部門)」1)によれば,検出下限(検出限界)(limit of detection; LOD, detection limit)とは,検出できる最小量(値)のことであり,定量下限(minimumlimit of determination, limit of quantitation; LOQ)とは,ある分析方法で分析種の定量が可能な最小量又は最小濃度とされている?―終了
それとも上記回答者は、濃縮、希釈した分析結果毎に、下限と上限を記載するのかしら。
>普通なら活発になりそうな話題なのに、あれ以上回答がつかないようですし・・・
といわれても良質な資料が紹介されていて・・・終わっているでしょ、既に・・・
提示された資料からの引用―
『信頼性の指標を明示しないで定量下限を示すことはあまり意味がない。同一の試料を同じ分析法で測定しても,例えば,繰返し性がRSD(相対標準偏差として20% のときは定量下限値として5 ng cm−3 であるが,RSD が5% の時は15 ng cm−3 である,などと評価することが常であるからである』―終了
追加記載
前問にたいするお礼の記載より前に、この回答はかかれています。まあ、裏でピントがはずれても良いのですが・・・
No.38905 【A-6】
Re:サンプルの希釈と定量下限値について
2012-11-30 17:09:29 今は分析と開発屋 (ZWle41e
なんちゃって計量士様が、
「トートロジーでしょ、これじゃ・・・サンプルって、採取量のこと を定義するといわれたいのかしら。通常検査(分析)に用いる量を 指すのが一般的と考えているのは私だけ・・・・」
と仰っていましたが、「サンプル」は分取した方を言うでしたね。まずお詫びします。
話は変わりますが、
「分析会社の方に教えていただいた時は『定量下限値が2mg/Lで、前処理でサンプルを10倍希釈した場合はその時の定量下限値は1mg/L × 20 = 20mg/Lとる。』」
というのは変ですね。何度も言っていますが、希釈・濃縮は「定量下限値」とは関係のないことで、希釈・濃縮は測定機器の測定レンジの範囲で検出できるようにするための作業ですよ。
この機会ですから、分析に関しては良書がたくさんありますので、読むことをお勧めします。私も読み直します。
以上
No.38907 【A-7】
Re:サンプルの希釈と定量下限値について
2012-12-04 13:30:49 なんちゃって計量士 (ZWl9549
>というのは変ですね。何度も言っていますが、希釈・濃縮は「定量下限値」とは関係のないことで、希釈・濃縮は測定機器の測定レンジの範囲で検出できるようにするための作業ですよ。
繰り返します・・・が。。あくまで定義次第です。誤解を招きやすいですから「測定レンジ」「目盛り」などのほかの用語を使用するのが適切と申し上げているだけです。(裏で鬼の首を取ったように騒いでいるかたがおりますが、ご自身が何をいかように指摘されているかも気がつかれないほど、日本語が何ですから・・・)
例えば・・・100の目盛りがある場合、一より小さい数値は読み取りが当然ながら困難になっていく。ですから、定量下限(検出限界も同様に)は精度の中で考える問題であって、単独に数値が一人歩きしてしまうと意味をなさなくなるということです。
また別の問題として(物差しも当然ながら同様に)始点(0点)と終点(100点)近傍にはいろいろな問題が起きやすく、少し気の利いた(測定を理解している)先生なら、計測するときに始点や終点を計測する基点に合わせないで、開始点と終了点を同時に(この同時と呼ぶ用語も物理学的には大きな問題を抱えています)読み取り、その読み取り差を計測値にするよう教えるのですが・・・・
希釈とか濃縮操作と呼ぶ操作は、操作それ自身にいろいろな問題を抱えていますが、それ以外にも、資料採取と同様な、サンプリングの代表性や測定目的物質の性格による偏在などの問題も起きます。
多くのテクニシャン、自らサンプリングをデザインしない、持ち込み資料を分析することを計量と誤解されている方には経験すらない精度の本質的問題。それらを含めて、定量下限なる数値は初めて定義が可能なのです。
具体例を挙げて説明できればよいのですが・・・実際、実質的(見かけでなく)な濃縮操作が可能な分析はそれほど多くないことや微量分析を必要とする機会がそれほど発生しないこともあり、機器測定限度を分析限度と誤解されている場合も多くみられるようです。
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