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環境Q&A

金属測定前処理について 

登録日: 2012年09月04日 最終回答日:2012年09月12日 水・土壌環境 水質汚濁

No.38684 2012-09-04 12:08:50 ZWle925 ちんあなご

原子吸光光度計にて主に排水を測定しています。
前任者が辞めたので、ぺーぺーですが聞く人がいません。

排水の鉄の濃度をオーダーでいいので今すぐ知りたいと言われ、
ちょうど原子吸光が使える状態だったので、
振ってポリ瓶のまま原子吸光で吸わせて測定しました。

いつものやり方で前処理をして測定しなおしたところ、
半分〜1/3くらいの低い値が出ました。
前処理のやり方は以下です。
・2%の濃塩酸を加える。
・15分加熱する。
・冷却後5C濾紙で濾過、採水量にメスアップ。

この前処理のやり方ではいけないのか?
それとも前処理なしで測定したほうが本当は高いのか?
(前処理したものを全鉄として報告していますが間違い?)
正しい前処理の仕方を教えてください。

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No.38687 【A-1】

Re:金属測定前処理について

2012-09-05 22:04:48 煮た鯛 (ZWlcd1c

>・冷却後5C濾紙で濾過、採水量にメスアップ。

採水量にメスアップするなら、私だったら、先にメスアップしてから、ろ過します。
ろ紙に吸われた分だけ、誤差になりそうな気がするので。

採水量が多ければ、大きな問題にはならないと思いますが、採水量が少ないと、測定値に影響してくると思います。

回答に対するお礼・補足

早速ありがとうございます。

確かにおっしゃるとおりですね、100mlですが、
今後はメスアップしてからろ過したいと思います。

ですが、濃度半分以下になるって、濾紙に残った細かい赤黒いつぶつぶも、
蒸気化されて測定されてしまったんでしょうか?
ろ液はほぼ透明になってしまいましたんで、
やっぱり濾紙に残ってしまったんでしょうか?

No.38691 【A-2】

Re:金属測定前処理について

2012-09-06 21:11:40 煮た鯛 (ZWlcd1c

初心者で、周りに聞く人がいないと、不安になりますよね。
お客さんから、お金を貰ってるとなおさらですよね。

分析をしている人間は、絶対的な正解は、神様しか知らないと分かっています。
私も、何年も分析していますが、数値について不安になる時が、多々あります。
しかし、大部分のお客さんは、出てくる数値が、絶対的なものだと信じています。
そのお客さんの信頼に応えるためにも、できる限り、正確な数値を報告する必要があります。

前置きが長くなりましたが、ちんあなごさんについては、とりあえず、お使いの機器のメーカーが行っている初級者向けの講習を受講することをお勧めします。それが、今の段階での、レベルアップの近道です。

さて、ご質問の件ですが、私が思うに、ろ紙に残るような物質は、バーナーの方には行かずに、多分、廃液と共に下に排出されると思います。
じゃあ、何で、数値が減ったのかとなると、ご本人で、条件を変えて、色々検証してみる以外、無いと思います。(冷たいようですが)

ちんあなごさんが、書かれている内容で、思いつくのは、最初の直接測定した段階で、試料中のSSが、流路の途中に詰まって、その後にやった分析の吸い込み量が、減った可能性があります。これだったら、測定値が、半分になっても不思議ではありません。

ちなみに赤黒いつぶつぶについては、加熱時間を延ばして、水分を飛ばすことにより、酸濃度を上げれば、溶ける可能性もあります。時間があれば、試してみるのも良いと思います。(溶ける保証はありませんが)

色々、大変だとは思いますが、頑張ってください。

回答に対するお礼・補足

何度も丁寧なアドバイスありがとうございます。

幸い、自社工場排水を調べていますので、まだ安心しています。
お客さんからお金は頂くのであれば多分わたしなんかに任せないでしょうけど。
自社工場なので、おそらくこの洗浄液はそのまま排水処理に流していいのか、
また何らかの処理をしないといけないのかの目安なのでしょうか、
現場の方が知りたいようで、さまざまな色の水が届くことがあります。
今回はトマトジュース様の廃液と薄紫がかっている廃液を預かりました。

SSが詰まっているのも一番に考えましたが、
その後もキャピラリーチューブの吸いは順調で、
オペレーション画面の検量線も綺麗に相関取れていますので、
大丈夫だと思っています。

長く煮たり、酸の濃度を変えたり、ちょっとやってみようと思います。

No.38692 【A-3】

Re:金属測定前処理について

2012-09-07 06:50:40 たそがれ (ZWla61d

「ちんあなご」さんへ

排水はどんな種類ですか。(機械金属工業、食品排水等)

ポリ容器の中で静置しておくと沈殿しますか。

鉄の濃度は大雑把にどのくらいでしたか。

「濃塩酸2%」と表現されていますが、試料100 mLに対して濃塩酸2 mLの割合ですか。

ホットプレートの設定温度はどのくらいですか。

検量線はどのように作っていますか。(酸の種類と酸の濃度)

検量線の濃度範囲はどのくらいですか。(特に低濃度と高濃度はどの程度か)

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございます。

排水は化学工場排水です、今回は洗浄液のようです。
ポリ瓶内で沈殿していますが、濃い方は上澄みもトマトジュース様です。
トマトジュース様ので40ppmと出ました。
100mlに対して2mlの塩酸ですが、濃いので100倍希釈です。
前処理の加熱は電熱器なのでぶくぶく沸騰しています。
検量線は0.5〜1.5ppmで、サンプルと同じ2%の塩酸を添加してます。
普段排水の鉄は0.1ppm以下で、濃い場合はサンプルの方を希釈しています。
排水基準が遵守されていることの確認の方が大事なのに対し、
現場はざっくりした濃度を知りたいし、その濃度はさまざまで、
排水の標準をそのまま使用しています。

おかしな事項があればご指摘いただければうれしいです。

No.38695 【A-4】

Re:金属測定前処理について

2012-09-07 17:16:42 jisanmieko (ZWlad13

ご存じのことかと思いますが・・・工場排水試験方法K0102では排水に含まれている有機物等の状況によって金属の前処理法を選択するようになっています。
下記JISの検索でk0102 5の前処理法を検索してみてください。
http://www.jisc.go.jp/app/JPS/JPSO0020.html
適切な方法によって処理されないと、マトリックスの影響を強く受けます。

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございます。

JISの検索してみたのですが、
フィルターにひっかかり会社のPCでは閲覧できませんでした。

平成10年の古いJISがあったので、前処理を見ました。
酸濃度もっと高くしても良さそうですね。
樹脂工程で発生したものではなく、有機物は少なそうです。
硫酸処理は原子吸光では不適となっていますが、
この原子吸光の取説には10%以下までいけるそうなので、
これらも試してみたいと思います。

1週間静置しておくとトマトジュース様がそう呼ぶには遠くなってしまいました。

No.38700 【A-5】

Re:金属測定前処理について

2012-09-12 05:42:54 たそがれ (ZWla61d

「ちんあなご」さんへ

時間が取れずに延び延びになっていましたが、私なりの回答をします。「煮た鯛」さんがよい回答をしていますので重複する部分もありますが、頭の整理をしてください。

まず、このような汚い排水は20倍希釈したとしても振ってそのまま機器にはかけないでください。そのまま試しうちをするとしても上澄みのきれいなところです。A-1でも言われているように目詰まりのリスクが高い上に浮遊物は測定値にほとんど寄与しないと思われます。

ポリ容器の中では特に鉄の場合、水酸化物の沈殿として容器に吸着されますので、そのままでは採取するたびに低くなる恐れがあります。それを検証するにはポリ容器に塩酸を5%程度加えて容器ごと熱湯に入れてみることです。

次に分解操作ですが、一般的に言えば金属をイオンとして溶液に溶かし出すことと、有機物を系外に追い出すことが目的になります。しかし、貴殿の能力、御社の業種を鑑みると、有機物の排除は妥協せざるを得ないでしょう。食品工場等の排水は妥協できませんが、その場合、酸の種類や分解方法も違ってきます。
貴殿のやり方は分解に使用した酸をそのまま使用するやり方ですが、試料100mLに対して塩酸5mLは必要だと思われます。その場合、もちろん検量線溶液も同様にする必要があります。
また、いわゆる排水は通常の分解で溶液に溶けだしてこないような部分は無視してよいことになっているので注意が必要です。
それに対して全量分析は、ろ別したろ紙の方も別のやり方で処理する必要があるんです。

目的をしっかり考えて進める必要があります。

追記  A-4へのお礼欄に対して
10%までの硫酸がなんとかなるのはあくまで機器の強さのみです。原子吸光やICPではその粘性が不具合を起こしやすいという理由で硫酸はあまり使用されません。また、いろいろな金属と不溶性の塩を形成するリスクに注意が必要です。しかし硝酸等と併用することで有機物の分解効果がありますので吸光光度法の前処理等には多用されます。

回答に対するお礼・補足

丁寧な回答ありがとうございました。

ポリ瓶から直接は今後やらないようにします、機器は大事に使います。
アドバイス頂き測定したい気分が盛り上がっていますがまだ出来てません。
まずは酸濃度を増やし、JISに合わせた標準を作ります。
ポリ瓶に吸着する金属の影響もあるとは聞いたことがありましたが、
どれだけ違うのかも実際やってみたいと思います。

不勉強で、身近に頼れるものもないので、こうやってたくさんの方に助けて頂き、
今回ここで尋ねてよかったです、たくさん勉強になりました。
これらを生かせて、正しい値が出せるよう頑張っていきます。
最後にまとめてでごめんなさいなんですが、皆様本当にありがとうございました。

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