中国輸出時のMSDS作成・ラベル表示義務
登録日: 2012年01月06日 最終回答日:2012年01月17日 健康・化学物質 有害物質/PRTR
No.37876 2012-01-06 14:01:08 ZWle43a クエリスト
日本国内製造製品を国内販売先又は商社を通じて中国に輸出する場合の中国法規に適合した中文SDS及びラベルの交付義務及び作成義務は誰にあるのかの質問です。基本的な考え方をご教授下さい。
(1)まず、中文SDS及びラベル表示義務は、危険化学品が含まれている製品に対して発生すると思いますが、危険化学品が含まれていない製品に対しても、中文MSDSの発行が求められる場合があるでしょうか。
(2)交付義務は製品の譲渡・提供者にあると考えると国内販売先又は商社にあると考えてよいでしょうか。
(3)(2)が正しいとすると、作成義務も国内販売先又は商社にあると考えられるでしょうか。例えば、製造者が国内販売又は受け渡し時に国内法規制に基づいた日本語MSDS(及びラベル表示)と共に販売又は受け渡し後、国内販売先又は商社がそれらの情報に基づき中国法規制に基づいた、中文版を作成・表示をしなければならないとなるのでしょうか。
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No.37884 【A-1】
義務かどうかはわかりませんが…(一部加筆修正)
2012-01-08 20:41:57 todoroki (ZWl7727
「EUの加盟国は、上記EU指令を担保するための国内法整備を行う。
そのため、各国の規制内容には若干の違いがあり、各国独自のルールを上乗せしている場合もある。
また、SDSに使用する言語は、当該製品を使用する国の言語となる。
加盟国ではCLEEN6(ヨーロッパ化学物質立法強化ネットワーク)という
化学物質規制官によるネットワーク組織を持ち、情報交換を通じて、SDS制度の普及や遵守に向けた取組を行っている。」
とはありますが、中国に何する規定,記述は見つかっておりません。
ただし、御社もしくは御社の国内販売先又は商社がJAMPの会員なら、
http://www.jamp-info.com/faq/international/int_7 や
http://www.jamp-info.com/faq/international/int_5 より、
中国語版の支援ツールができているようなので、
活用できると思いますが。
回答に対するお礼・補足
todoroki様 ご回答ありがとうございました。参考にさせていただきます。
国内販売先が先方事由で中国輸出する事案で、当社に中国法規対応のSDS及びラベル表示の対応を求めてくる場合があるので、どこまで支援すべきか、法律上の理解について質問した次第です。
No.37914 【A-2】
Re:中国輸出時のMSDS作成・ラベル表示義務
2012-01-14 01:35:39 neo (ZWle447
ポイントは以下の通りです。
1.中国法規を日本国内の者が順守する必要は法規制上はありません。
2.中国国内の者が中国法規を順守しようとすれば、サプライヤー(特に日本国内の製造者)が中国法規に基づいた対応をしなければならない状況となる可能性が高いということです。
>(1)まず、中文SDS及びラベル表示義務は、危険化学品が含まれている製品に対して発生すると思いますが、危険化学品が含まれていない製品に対しても、中文MSDSの発行が求められる場合があるでしょうか。
(A)発行義務は誰にもありませんが、求められる場合はあるかと思います。
(B)中国法規制でも発行の義務はありませんが、求められる場合はあると思います。その場合は危険化学品でないため発行の必要がないことを説明することで回避できる場合があると思います。
>(2)交付義務は製品の譲渡・提供者にあると考えると国内販売先又は商社にあると考えてよいでしょうか。
(A)日本国内販売先や商社に交付義務はありません。
(B)中国国内から法規制に基づく要求があるにもかかわらず、交付しなければ取引に支障をきたす可能性が生じると思います。
>(3)(2)が正しいとすると、作成義務も国内販売先又は商社にあると考えられるでしょうか。例えば、製造者が国内販売又は受け渡し時に国内法規制に基づいた日本語MSDS(及びラベル表示)と共に販売又は受け渡し後、国内販売先又は商社がそれらの情報に基づき中国法規制に基づいた、中文版を作成・表示をしなければならないとなるのでしょうか。
(A)日本国内販売先や商社には作成義務は一切ありません。あくまでも中国内での義務です。
(B)実際には製造者が中国法規に基づいたMSDSやラベルを提供しなければ、国内販売先や商社、あるいは中国輸入業者等の川下では対応ができないと考えれば、取引上の疑似義務があると思います。中国法規に基づいた日本語MSDSを製造者が作成し、それを中国国内に入る前に販売先等の川下が中国語に翻訳することは何ら問題はありません。
回答に対するお礼・補足
neo様
大変判り易いご回答ありがとうございます。Aをわきまえて、Bの取引関係上の受益と社会的責任を考慮して対応していくのかなと思っています。
No.37916 【A-3】
Re:中国輸出時のMSDS作成・ラベル表示義務
2012-01-14 16:36:46 ronpapa (ZWlba5
予備知識のそのまた参考程度でしょうが・・・。
http://www.safe.nite.go.jp/kanren/asia_kanren/pdf/H22FY_Chem_Report_2_11_China.pdf
出処:独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)http://www.safe.nite.go.jp/kanren/asia_kanren/asia_kanren_h22-02.html
《余談》
- どの業界もグローバリゼーションの波は避けられず(本当はもうドップリと首まで浸かっている現実であり、甘い認識をしていると筑波山麓さんからの叱責を受けそうですが…)、サプライチェーンの中流域にある化学系に強くない企業にとっては、その理解と対応に苦慮する場面も続いています。 当社の場合、多岐に渡る業界の中のどの会社のどの製品が輸出対象となっているかについては、先方より知らせてもらうしか手立てがありません。そして、化学物質に関する専門知識と専属部署を持てる企業規模と内容程度も限られると思います。
- クエリストさんが『国内販売先が先方事由で中国輸出する事案で、当社に中国法規対応のSDS及びラベル表示の対応を求めてくる場合があるので、どこまで支援すべきか・・・』と述べられたように、対応能力(と財力)の有無は別にして、常に理解する努力は続けなくてはならないのでしょうね。 〔本当は、全体を俯瞰することが出来て、将来の姿を見ることが出来たら(良くも悪くも5年か10年後のリアルを描けたら)、足元の理解と対応は楽になると思っているのですが…。〕
- 当社の場合、仕入先にも協力いただいて英文化されたものを情報伝達手段として使う場合があります。日本語と相手先語の間に英文表記を挟むことで、あとは先方/相手先が翻訳義務(あるいはその費用負担)をお願いするという方式です。
neo様。
妙意即答というか、当意即妙というべきか(意味を分からず使ってますが)、明瞭な回答と感じ入りました。
- 含有化学物質情報伝達システムやその国際間の制度対応については、商流サプライヤー間のポジションによって思考迷路に填まる場合も多く、単純なことを忘れてサービス精神旺盛な過剰行為となる恐れも感じていました。
- neoさんのお立場は環境アドバイザーあるいは行政ご関連でしょうか。
『取引上の疑似義務(B)』といった比較表現的ご説明方法はneoさんオリジナルでしょうか。どこか理解の参考になるものがありますでしょうか。(後学の為お教えいただけると嬉しいです)
回答に対するお礼・補足
ronpapa様
サプライチェーン内のお立場からのご回答大変参考になります。ありがとうございました。
No.37927 【A-4】
Re:中国輸出時のMSDS作成・ラベル表示義務
2012-01-17 01:15:24 neo (ZWle447
(クエリスト様 すみません)
ありがとうございます。
私は中小の化学調剤メーカーで環境・化学物質管理を担当している者です。
主な顧客は国内外の部品メーカーですが、要求が年々(日々?)厳しくなっていることから、どうしたら顧客や川下ユーザーに迷惑をかけずに最善策を見い出せるかということを考えています。
そのためには自社に直接関係しない海外の法令を正しく理解し、川下ユーザーの立場を尊重しつつも、過剰な要求に対しては十分な対応ができないことを相手に理解し納得してもらえるように努めています。
『取引上の疑似義務』という表現は私のオリジナルです。法的義務とはっきり分ける必要があると思い、キーボードをたたきながら思いついた言葉です。
私は化学物質管理セミナーに参加する(聞く側です)ことが多いのですが、その際講師の方へ質問しながら名刺交換をするように心掛けています。
回答に対するお礼・補足
neo様
コメントありがとうございます。
同じような状況で最善をつくそうとしている当事者間での情報交換はありがたいです。
No.37929 【A-5】
(クエリスト様のスレッドお借りしての情報交換利用お詫びします)
2012-01-17 16:49:08 ronpapa (ZWlba5
失礼しました。他意はございません。
A-2.のご説明文脈が素晴らしく、これはよほど精通された方なのだろう…と思い込んでのことです。
(法的義務はそのままの意味で、擬似義務というのは商取引義務と読み替えて理解しました)
以下、雑談レスとなる事をお許し下さい。
- 当社は各種容器類の製造供給メーカーの立場ですから、上流サプライヤーから調達する原材料・素材の中には、印刷インキ塗料や吹付け塗装剤・コンパウンド類・樹脂素材などの化学調剤品が多種・多量に存在します。当初はその全てを把握することの難しさと共に、上流域(neoさんの立場)ほどの化学調剤プロセスに対する専門性も持たず、下流域(クエリストさんの立場)となる客先ほどの組織的対応力も持たず、中流域の中間メーカーとしては右から左、左から右へと情報伝達を旨とすることから着手した次第です。
- また、上下流域で接触する企業のほうが当社より規模の大きい場合が多いだけでなく、業界が多岐に渡りますので、それぞれ微妙に要求内容や動きが異なることに苦慮していますが、それにも慣れたというか諦めたというか。
- 今ではようやく社内対応の仕組み作りを終えましたので、(環境管理統括者としての)私の役目は一段落しているのですが、数年前に経産省の庁舎で開催された初回のREACH説明会に出席参加した時に感じたジレンマがトラウマとして残っているようです。
- 悔しいのは、地方に在籍する身では、(一極集中となっている)東京での情報収集や意見交換などが思うに任せない現実が続くという事でしょうか。neoさんのセミナー参加姿勢は(羨ましくも)尊敬します。
余談が過ぎました。
以下の添付URLは一般社団法人 日本化学物質安全・情報センターが出処です。
http://www.jetoc.or.jp/e-commex/cgi-bin/ex_disp_item_detail/id/10228/
※他にも各国・多数の翻訳情報資料が有料販売されているようです。
回答に対するお礼・補足
ronpapa様
コメントありがとうございました。
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