ガソリン車用エンジンオイル廃油とディーゼル車用エンジンオイル廃油の相違点
登録日: 2009年06月12日 最終回答日:2009年06月15日 水・土壌環境 地下水/土壌汚染
No.32509 2009-06-12 13:47:21 ZWlbd1d 専門は地盤工学・・・
みなさん、お知恵を貸してください。
数点質問があります。本来であれば質問を冒頭に記述したいところですが、まずは、バックグラウンドから記述させていただきます。
あるサイトの土壌が油分で汚染されています。
この油含有土壌に対してGC/MS分析を行ったところ、自動車用のエンジンオイル由来であることが分かりました。
この分析から約1年後・・・
この自動車用のエンジンオイルがガソリン車用のものか?ディーゼル車用のものか?を区分するために、別の業者が改めてGC/MSの分析を行いました。
私は知らなかったのですが、ガソリン車用のエンジンオイル廃油とディーゼル車用のエンジンオイル廃油の相違点として、以下の物質の有無が言われているそうです。
・ベンゾ(a)アントラセン
・ベンゾピレン
・ジベンゾ(a,h)アントラセン
こららの物質を多く含めばガソリン系、不検出またはほとんど認められない場合はディーゼル系だそうです。
分析の結果、上記3物質は検出されず、ディーゼル車用エンジンオイル廃油として結論付けられておりました。
ここで、質問です。
質問@ 上記物質は、揮発性の低い物質だと認識しておりますが、試料を保冷せずに、常温で約1年も放置した状態において、揮発してしまうことはないのでしょうか?
質問A 仮に揮発しないとした場合、上記物質が化学的な反応により、分解が進み、別の物質に変化してしまう等といったことはないのでしょうか?
かなりイレギュラーな質問だとは承知しておりますが、如何せん化学的な素養がないため、この結果を素直に受け入れて良いか分からず、みなさんにお縋りした次第です。
ご回答の程、宜しくお願致します。
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No.32517 【A-1】
Re:ガソリン車用エンジンオイル廃油とディーゼル車用エンジンオイル廃油の相違点
2009-06-13 01:55:40 Lake (ZWla752
1について
1年前と同じ分析をして、濃度の変化を見てやればおおよその揮散の程度はつかめるのではないか、と思います。
2について
変性、分解が全くない、とは思いませんが、1年程度で全くなくなってしまうのであれば、ガソリン車かディーゼル車かの判断は汚染から1年以内でなければわからない、ってことになりませんか?
・・・と、ここまで書いて、気づいたことを。
○そもそも、エンジンオイルは高温のエンジンで潤滑性能を持っているので、常温でたやすく揮散はしないのではないか?(それ故に、汚染されると自然浄化が進まない)
○「常温で約1年も放置した状態において」というのは、採取した試料を放置していたのか、放置されていた汚染サイトから1年後に採取したのか、抽出液を1年放置したのか(これはありえませんかね?)の判断がつきません。
多環芳香族の濃度を正確に測定するなら、分解を避けるため遮光、冷凍保存をする必要がある(そもそも、できる限りすぐに測定する)と思いますが、あるかないか、程度の測定なら、よほど極端な条件下でない限りおおよその見当はつくのではないかと。
回答に対するお礼・補足
早速の回答ありがとうございます。
そして、質問内容に補足が必要でした。申し訳ありません。
サンプルは、約1年前の採取したものの一部を別会社へ提供しておりました。
その1年前に採取したサンプルを上記会社が分析会社へ依頼して分析を進めた次第です。
@の回答について
そのとおりですね。分析会社にサンプルが残っているのであれば、再度弊社に送付してもらい、分析を進めればジャッジできそうですね。アドバイスありがとうございます。
Aの回答について
サンプリングして時間を経つにしたがってガスクロマトグラフのチャートの突起(ギザギザ)がとれてしまい、緩やかなカーブになると伺いました。
今回の測定は、かなりデリケートな分析と心得ておりますので、試料の保管状態の良し悪しで結果が多少なりとも変わる可能性があると理解できました。
どうもありがとうございました。
No.32536 【A-2】
Re:ガソリン車用エンジンオイル廃油とディーゼル車用エンジンオイル廃油の相違点
2009-06-15 22:27:34 おせんち (ZWlb24a
質問1 エンジンオイルを再生している事例があります。再生オイルに多環芳香族が移行してはいけませんので、除去対策を取っています。オイルと多環芳香族の沸点が近いために蒸留で分離できません。溶剤を用いて分離しています。したがって、汚染源のオイルが存在する限りは、多環芳香族も存在すると考えるべきでしょう。しかも、多環芳香族の多くは、微粒子カーボンに吸着した状態で存在するようです。主成分のオイルより先に揮発するとは思えません。
質問2 カーボンに吸着された状態で比較的反応性が乏しくなっているのではないでしょうか。また、オイル漬け状態では、酸素との接触、生物との接触も妨げられるでしょうから、積極的、急速な分解は起こらないように思います。
なお、ディーゼルエンジンオイルによる汚染であるとしても、ガソリンエンジンオイルが混合している場合があるでしょう。確かに、両オイル中の濃度は、10倍から100倍程度の違いが有るようです。
強い発ガン性物質は、結局何処へ行ってしまうのでしょうか。知らぬが仏の怖い話です。
回答に対するお礼・補足
回答をいただきありがとうございます。
化学の素養がない私でも分かりやすい解説、助かります。
質問1について
油が検出されている以上、質問で挙げた3物質の揮発はないだろうとの認識で良いのですね。ありがとうございます。
質問2について
土壌を採取して1年後に分析をしたようです。
その間、遮光性のビンではなく、透明のビンに常温で保管されていた可能性が高いのですが、それでも、急速な分解は起こらないだろうということなんですね。
私もディーゼルエンジンオイルによる汚染のみでなく、ガソリンエンジンオイルも混在しているはずだと踏んでいるのですが、先方が「質問中の3物質が検出されていないので、ガソリンエンジンオイルによる汚染ではない」と主張しています。
私にはこれに対して疑問を抱く素養がなかったため、みなさんのお知恵を借りたかった次第です。
総じて考えるに、多環芳香族は揮発性が乏しく、今回の分析で検出されていないのであれば、たとえ、サンプリングして1年を経たと言っても、やはりエンジンオイル廃油には、もともと多環芳香族はほとんど存在しなかったという結論になりやすいといったところでしょうか・・・
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