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環境Q&A

接触酸化法 

登録日: 2008年12月25日 最終回答日:2008年12月27日 水・土壌環境 水質汚濁

No.30734 2008-12-25 08:45:43 ZWlb93c 技術者の卵

当方接触方式による高機能排水処理に興味があり調べて行く中でかき殻による排水処理に行き着いていろいろ調べてみたのですが出てくる資料のデータは通常の接触酸化方式からするとかなり高い能力で、かつ活性汚泥法に比べても容積負荷や汚泥発生量もかなり高い能力を示されているのですが、そこまで高い能力を発生できる訳がいまいち理解し難いので、もしご存知の方がいらっしゃいましたらご教授願えればと思い書き込みさせて頂きました。
また同じ様に接触方式でいくつかの高機能処理を目にしたのですが活性汚泥法よりも容積負荷等で能力の上回る接触方式と言うのは理論上考えられるのでしょうか?よろしくお願いします。

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No.30745 【A-1】

Re:接触酸化法

2008-12-25 18:41:29 papa (ZWlbd18

>かき殻による排水処理に行き着いていろいろ調べてみたのですが出てくる資料のデータは通常の接触酸化方式からするとかなり高い能力で、かつ活性汚泥法に比べても容積負荷や汚泥発生量もかなり高い能力を示されている。

資料の読み間違いか、調べる範囲が小さすぎるかのどちらかでしょう。
生物処理のの限界は、酸素供給効率と固液分離の単位装置にどの程度の負荷が可能かでほぼ決まってきます。このQAで何度も回答しているように活性汚泥法というのは汚濁物質を扱いやすい形でバイオマスに変換する操作ですので、一般的には汚泥発生率が高いほど高機能といえます。
容積負荷率については純酸素を使えばかなり高負荷運転が可能になります。
また、固液分離については膜分離を使えばかき殻を使うよりも桁違いに高機能な処理装置になります。家庭用の合併浄化槽にさえ膜分離の製品があります。
以上のような理由でかき殻による排水処理は格別高機能というわけでもないのですが、かき殻の入手が容易な地域では生物処理のプレゼンテーションとしてとして、学校教育の場でやってみるのも楽しいのではないかと思います。

>また同じ様に接触方式でいくつかの高機能処理を目にしたのですが活性汚泥法よりも容積負荷等で能力の上回る接触方式と言うのは理論上考えられるのでしょうか?。

高機能処理という意味では理論上ありえません。
理由は
接触材の占有容積分は処理槽容量が少なくなる上、接触材により汚水と汚泥の接触効率が低下します。
BODに関してはいわゆる担体流動タイプでほぼ同等くらいですが、窒素やりんの処理まで考慮すれば格別高機能とは言えないでしょう。
接触材を利用する意義は簡易な装置で固液分離をやりやすくすることと、接触材の汚泥保持力で汚泥の解体流出を抑制できるということでしょう。合併浄化槽で採用されているのは、汚泥調整の手間がかからず保守管理の頻度を少なくできるという利点を生かしているということで、高機能だから採用しているわけではないと思います。

外部エネルギー利用効率も考えてもう少し水処理全般について基礎から学ぶ中からよりよい装置について探求することをお勧めします。

回答に対するお礼・補足

ご返答有難う御座います。
papaさんのおっしゃる通りだと思います。ただwebで調べてみたいくつかのかき殻を用いたシステムは往々にしてかなりの負荷量にかなりの除去率を見込んでおられるパターンが多く見受けられたので不思議に思いご質問させて頂きました。
その中でも余剰汚泥の削減については生物相が伸びると言う観点から見た場合いくらかの効果は見られると思うのですがそれにしても汚泥への転換率等も異常に低い値が多く、こう言った部分はユーザー側からするとランニングに直結する部分なので真意を確認したく思ったのも一つであります。
丁寧なご回答有難う御座いました。

No.30753 【A-2】

Re:接触酸化法

2008-12-27 17:43:35 papa (ZWlbd18

回答をごらんいただきありがとうございました。
ビジネス上のプレゼンテーションとして高負荷、汚泥発生量の低減をアピールするのは仕方がないとしても、生物処理は原理的にほぼ成熟技術であることをいまだにご理解いただけないユーザー(自治体を含む)が多いことは大変残念な現象です。
汚泥発生量が実負荷でも劇的に少ないと称する処理施設では、処理槽のデッドスペースに堆積していることを意図的に見落としていたり、非意図的に汚泥流出を起こしているものがほとんどです。本当に減量しているかどうかは流入側のVTSと汚泥のVTSから減量率を算出してみれば分かることですからそういったデータをプラントメーカーに求めてみることも必要かと思います。(計算方法は維持管理指針を参照してください)
かき殻、ヒモ状、乳酸菌飲料容器など過去に著名な先生方から賞用された材料がいまほとんど顧みられなくなったのは、実負荷での長期にわたる性能維持が困難であったことの結果であると思います。
今も昔も画期的処理方法などというものは存在したことがなく、単位装置の改良を根気よく続けた結果として現在の処理装置があり、今後もそういった改良を続けてゆくことと、業務に携わる人的資源の継続的育成が求められていると思います。

回答に対するお礼・補足

やはりpapaさんのおっしゃる通りだと思います。
結局画期的な技術が開発されればそれらが淘汰され残っていくはずの生物処理で今現在初期からの活性汚泥法や接触酸化法から突出した技術が無い事を考えても成熟期である事は想像に難しくないですね。
ただ、新技術として補助的に汚泥減容や処理能力の向上等を担う技術等が開発されていくのは良い事だと思います。問題はその技術による費用対効果等の部分から見ても正解が見え辛い所がユーザーとしてはネックになっていると思います。
結局は消費者側の知識向上が一番大事になるのですね。
このたびは大変勉強させていただきました。
また機会があればこちらでよろしくお願いします。

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