一般財団法人環境イノベーション情報機構

ヘルプ

サイトマップ

メールマガジン配信中

環境Q&A

活性汚泥フロックの状態について 

登録日: 2008年12月16日 最終回答日:2009年01月14日 水・土壌環境 水質汚濁

No.30648 2008-12-16 13:28:06 ZWlab3b 分析班

 担当しております下水処理場にて冬期(AT水温15〜18℃)になりますと、活性汚泥中に肉眼でも確認できる0.5〜1mm程度のフロックが収縮したような粒(寒天質?)が現れます。その粒を検鏡すると、細菌と汚泥が凝集しているようで潰すと内部より細菌があふれ出ます。
 この粒の発生と同時期に水処理が悪化し始めるので、微生物等の活性不良が生成に起因していると推測しているのですが、当方のスキル及び試験設備では情報が乏しく水処理悪化対策の方向性も定まりません。
 
 よろしければ、フロックの粒の生成要因と水処理対策についてご教示頂けないでしょうか。 宜しくお願いします。

〈施設概要〉
 消化抑制運転活性汚泥法
 AT流入水:68000m3程度
 AT容積:18720m3(好気率90%)
 MLSS:1100mg/l程度
 AT入BOD:70〜80mg/l程度(溶解性率50〜60%)
 AT入SS:25〜35mg/l程度
 BOD−SS:0.21〜0.29にて管理
 ASRT:3.1日程度
 DO設定:0.5〜1.0mg/l
〈処理状況〉
 SVI:150
 Kr:10〜14mg/mgh
 放流透視度:50度
 放流COD:17mg/l
   BOD:8mg/l
 尚、消化反応は完全に抑制状態です。

 
 

総件数 6 件  page 1/1   

No.30766 【A-1】

Re:活性汚泥フロックの状態について

2008-12-29 10:07:01 筑波山麓 (ZWl7b25

> 担当しております下水処理場にて冬期(AT水温15〜18℃)になりますと、活性汚泥中に肉眼でも確認できる0.5〜1mm程度のフロックが収縮したような粒(寒天質?)が現れます。その粒を検鏡すると、細菌と汚泥が凝集しているようで潰すと内部より細菌があふれ出ます。
> この粒の発生と同時期に水処理が悪化し始めるので、微生物等の活性不良が生成に起因していると推測しているのですが、当方のスキル及び試験設備では情報が乏しく水処理悪化対策の方向性も定まりません。
> 
> よろしければ、フロックの粒の生成要因と水処理対策についてご教示頂けないでしょうか。 宜しくお願いします。
>
>〈施設概要〉
> 消化抑制運転活性汚泥法
> AT流入水:68000m3程度
> AT容積:18720m3(好気率90%)
> MLSS:1100mg/l程度
> AT入BOD:70〜80mg/l程度(溶解性率50〜60%)
> AT入SS:25〜35mg/l程度
> BOD−SS:0.21〜0.29にて管理
> ASRT:3.1日程度
> DO設定:0.5〜1.0mg/l
>〈処理状況〉
> SVI:150
> Kr:10〜14mg/mgh
> 放流透視度:50度
> 放流COD:17mg/l
>   BOD:8mg/l
> 尚、消化反応は完全に抑制状態です。
>
> 
> 
「分析班」さんへ。

誰も回答しないので、回答します。

質問内容から、かなり詳しく検討されており、かつ、専門的なケースなので、なかなか回答できる方は居ないように感じます。

常連の回答者である「ronpapa」、「papa」、「aqua-play」、「papa(経験者)」さん(同一人物?)さんがふさわしい回答者と思います。また、「マッシー・ナナ」さんもお詳しいと思います。

上記の回答者名、活性汚泥などを「検索欄」に入力して検索してみてください。解決のヒントなど見つかるかもしれません。

私個人の意見としては、何らかの手段で、水温を高くし、維持するのが有効な対策法と思えます。

回答に対するお礼・補足

 ご教示頂き有難うございます。
 現在、施設は目標MLSS:1300mg/l,DO設定:1.2mg/lで運用中で、水処理は若干の回復傾向にあるようです。その為、水処理の悪化は低水温(誘起水温帯)が第一の要因と判断しております。広範囲に運転パラメーターの設定が可能であれば、解決策の検討を前進出来るのでしょうが、客先の要望や低コストの徹底などにより制約が多くのし掛かってくるのが現状です。愚痴のようになってしまいましたが、このコーナーにて回答下さる方々には感謝の気持ちでいっぱいです。

No.30768 【A-2】

Re:活性汚泥フロックの状態について

2008-12-29 11:24:28 mashi-nana (ZWlba51

 「0.5〜1mm程度のフロックが収縮したような粒(寒天質?)」とお書きになっておりますが、活性汚泥の細菌の多くが寒天質を分泌しますので、細菌と寒天質を区別して扱うのは難しいです。また、「潰すと内部より細菌が」といっても活性汚泥自体が細菌です。コメントが無いのは、この字句に回答者が惑わされたのかもしれません。
さて、ご質問がごく当たり前の活性汚泥法での現象と考え、可能性に高い原因を記載します。汚泥内部で原生動物等が活発に動き回っているようなら初期の放線菌障害ですが、当たり前に考えれば、脱窒の浮上汚泥のように思えます。
SVI:150、Kr:10〜14mg/mgh、放流透視度:50度、放流COD:17mg/l、BOD:8mg/l」フロックの粒子径等から大きさから考えて、亜硝酸からの脱窒汚泥と考えます。硝化抑制運転を行っているとのことですが、この結果、亜硝酸が蓄積し、亜硝酸や一酸化窒素など有毒なノックスが生成して汚泥の活性が弱まったのではないでしょうか。ここでは亜硝酸障害の一般的なコメントをします。
原因の追求:エアレーションタンク各槽の亜硝酸濃度をチェックします。定時ではなく、一日を出来たら時間経過で亜硝酸濃度を追います。それも各槽ごとに。特に流入水量の細る夜間にDOが上昇し、亜硝酸濃度が急に高くなることがあります。測定はパックテストなどの簡易方法でもよいです。亜硝酸が平均5PPM以下ならば問題が無いと思います。それ以上あれば、活性汚泥のアクティビティは低下します。そして、一旦、活性汚泥の凝集性が低下してしまえば、放流水の透視度は20-50程度になってしまいます。呼吸速度が低下し、CODは高くなりますが、見かけのBODはあまり上昇しません。(BOD試験法の欠点かな)、極端な場合、SVIは50以下になります。
なお、ATU添加のKrは亜硝酸化の評価には役立たないことがあります。
対策:完全に凝集性が無くなったら、活性汚泥を作り直すのが早いです。でも、今の状態なら、亜硝酸濃度が上昇している槽の空気弁を絞ったり、上昇している時間帯の空気量を減らすだけでよいでしょう。
 なお、これが接触酸化や流動床、回転円板での現象、若しくは、他の特別な要因と思われるならば、処理法やフロック色や内部の糸状細菌についても精しくコメントして下されば、別の回答が得られるかもしれません。

回答に対するお礼・補足

 ご教示有難うございます。
亜硝酸の蓄積は定時測定でしかないのですが、確認されていません。施設はDO一定制御方式なので夜間等にDOが上昇する事は無いので、一時的な蓄積も無いものと考えています。これも時間経過を確認した結果では無いのですが・・・。連休明けに実施の検討を打診してみようと思います。水処理が回復傾向にいれば却下されてしまうでしょうが、頑張ってみたいと思います。

No.30772 【A-3】

Re:活性汚泥フロックの状態について

2008-12-29 22:40:23 papa (ZWlbd18

どう回答していいのか迷っておりましたが、筑波山麓様からのご指名がありましたので、拙い経験から回答させていただきます。
mashi-nana様の回答にあるように、活性汚泥の本体は細菌の集合体なので細菌があふれ出すのは驚くほどのことはないと思います。また、亜硝酸蓄積のチェックは必須と思います。流入放流の形態別窒素の把握は常時チェックしておくのは標準法の処理場では常識と思います。

以前放線菌スカムと格闘していた時に、コリネ型のスカムがバラバラに崩壊切断されて分散するのを見たことがあります。ノカルジア型でも同じようなことに遭遇したことがあります。
運転条件からは放線菌が増殖するような条件にはないように思えますが、この時期は管路からのシーディングの可能性もありますので、低水位運転や管路フラッシングの運転を注意深く行う必要があると思います。二沈のスカムを検鏡してみると良いかもしれません。
ある程度の規模のある処理場と見受けられ、運転方法の誤りはないと思われますが、生物相の障害は運転手法よりも管路からのシーディングの影響が多いと認識しておく必要があると思います。このことを考慮すると、好気率の設定値が少し高すぎるように思います。AT水温12〜18℃程度なら嫌気ゾーンを少し増やしても汚泥保持量や固液分離に多少の余裕はあるように思われます。

回答に対するお礼・補足

 ご教示有難うございます。
 放線菌、糸状菌共に皆無では無いですが問題になるレベルではありません。また水処理良好期に好気率の減をテストした際、水処理の悪化(透視度の低下)が確認された事があり、その際と状況は違うのですが確認は難しそうです。しかし、せっかく頂いたアドバイスを確認出来るよう頑張りたいと思います。

No.30776 【A-4】

Re:活性汚泥フロックの状態について

2008-12-30 22:59:43 筑波山麓 (ZWl7b25

回答ではないのですが、一言お詫びとお礼を述べたくて、書きます。

>どう回答していいのか迷っておりましたが、筑波山麓様からのご指名がありましたので、拙い経験から回答させていただきます。

活性汚泥に詳しい「papa」さん・「mashi-nana」さんを差し置いて、詳しくない自分などが差し出がましく回答してしまい、申し訳ない気持ちで書いたのですが、ご迷惑をかけてしまいました。

「mashi-nana」さん・「papa」さんの、いつもながらの経験豊富な回答を自分も勉強させていただきました。ありがとうございます。

No.30777 【A-5】

Re:活性汚泥フロックの状態について

2008-12-30 23:49:22 mashi-nana (ZWlba51

「施設はDO一定制御方式なので夜間等にDOが上昇する事は無いので」は、確かに、この運転条件では亜硝酸は蓄積しません。「低水温期にDO1.2mg/L、MLSS1300mg/Lの運転」は、逆に処理が不足していないでしょうか?
ご存知のように、生物処理では、流入負荷の高い部分で活性汚泥に遅分解性有機物を吸着させて、液中の有機物濃度が下がった部分で、吸着した有機物を酸化分解させます。回路を分けるのも、A回路等で吸着させ、それ以降の回路で吸着した有機物を酸化分解させています。しかし、酸化分解時にDOが十分にないと、有機物を十分に分解できず、活性汚泥内に保持しつづけるので、活性汚泥の凝集活性が徐々に低下します。これが重なると、活性汚泥は凝集しにくくなるので、現在の生物相を維持できず、生物相を新たな環境に適するように遷移させます。遷移に際しては、活性汚泥から凝集性を失った粒状・綿状そして微細な粉状フロック片が分離して処理水に混入します。この現象は1〜数週間に及びます。ご質問の粒状フロックはこの際の流出するフロックの一形態と思われます。
遷移が終わると、より低いDOに適応した生物が優先した相となり、凝集性が多少回復し透視度など見掛けの処理水質は良くなります。以下はそれを確認する手法です。
1、「下水処理の仕組み」を1日の時間単位で行います。すなわち、負荷の高い昼間と低い夜間に分けて、夜間に、吸着有機物を除去させます。前の記述とは逆になるのですが、夜間の流入負荷が少ないときに数時間程、DO制御を外してDOを3mg/L以上にあげてみてください。翌日は透視度が飛躍的に回復するならば、DO不足と考えられます。2、滅菌前処理水中の大腸菌群が以前に比較して著しく高くなります。3、ATU添加してもRrがほとんど変わりません。要するに活性汚泥中の通性嫌気性細菌が増え、絶対好気性細菌の割合が減少するようです。
 DOの不足が判ったからといっても、すでに生物相が遷移しているので、処理水質の改善は容易ではありません。通常は4〜5月頃水温が上がる時期まで待ちます。この時期には活性汚泥の凝集活性も改善しますので、生物相が遷移しても処理水の透視度が低下することは少ないです。ただし、維持管理の悪いと亜硝酸が高くなることがあります。生物相の遷移についての概略は以下と思います。
http://www.geocities.jp/seibutu7/sonota/fe-zu.htm

No.30857 【A-6】

No30768 A.2の「ATUを添加したRrの評価」について追加記載します

2009-01-14 00:15:04 mashi-nana (ZWlba51

分析班様のご質問の「活性汚泥フロックの状態について」の回答 A.2(No30768)の文中に「なお、ATU添加のKrは亜硝酸化の評価には役立たないことがあります。」 と記載しましたが、再度、読み返したら、舌足らずで、「ATU添加Rrから亜硝酸の生成を抑制したRrを評価することはできない」とも誤解されかねない記述でしたので、当方の意図したことを追加します。
1. コメント内容は、A2の前後の文章から分かるように、亜硝酸が蓄積する現象について述べています。
亜硝酸の蓄積は、亜硝酸から硝酸への酸化が遅滞することにより、亜硝酸が蓄積すると考えました。このため、「ATUを添加してRr(若しくはKr)を測定することは、亜硝酸の蓄積を評価するのに役立たないことがある」とコメントしたものです。
しかし、本来「亜硝酸の蓄積」と記載しなければならないところを「亜硝酸化」と記載したため、誤解を生じさせる可能性があると考えました。
2. アリルチオ尿素(ATU)は、アンモニアから亜硝酸への酸化を抑制しますので、ATU添加Rrから亜硝酸の生成を抑制したRrを評価することはできると思います。
3. 余談ですが、亜硝酸が蓄積する現象を評価するには、アンモニアから亜硝酸への酸化反応ではなく、亜硝酸から硝酸への酸化反応を調べる必要があると思います。
ちなみに、この亜硝酸から硝酸への酸化反応を抑制してRrを測定する方法の一つに、次亜塩素酸ソーダを加えてRrを測定する方法があります。しかし、次亜塩素酸ソーダを加えますと、確かに硝酸の生成が抑制され亜硝酸が蓄積しますが、次亜塩素酸ソーダは酸化剤ですので、添加により亜硝酸酸化細菌のみならず、活性汚泥の微生物の活性にも影響を生じさせているかもしれません。また、測定中に亜硝酸の蓄積によって、微生物全体の活性が低下する可能性もあります。私は次亜塩素酸ソーダを添加したRrだけでなく、亜硝酸が蓄積するようなRr測定手法を一般に評価していません。

回答に対するお礼・補足

 お礼が大変遅くなり申し訳ありません。
現在は一時、粘性気味?(SV測定時のシリンダー壁へのフロックの付着状態から判断してしまいました)なのかSVIが低下傾向から再度、上昇し170付近になりました。しかし終沈の容量に余力があったのか汚泥は越流する事無く、むしろ粘性?が出ただけ分散フロックが付着したのか透視度は80〜90度まで回復しましたが(根本的な回復とは言えませんね)、揚水量の変動の影響かSVIがまた低下傾向となり130付近で推移し透視度は70〜80度です。
 現在のDO、MLSS設定では低水温期を乗り切るのは厳しいのでしょうが施設の能力的に限界値の感じがします。DO設定3mg/lは無理みたいです。とりあえず終沈の汚泥堆積状況に注意して管理し低水温期を抜けるのを我慢したいと思います。

総件数 6 件  page 1/1