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環境Q&A

皮革排水水質 

登録日: 2008年11月25日 最終回答日:2008年11月30日 水・土壌環境 水質汚濁

No.30421 2008-11-25 15:47:08 ZWl9819 西の人

皮革排水の水質の特徴について教えて下さい。
BODとよう素消費量が高い。クロムを含んでいる。ということはわかったのですが、他に特徴などありましたら、教えて下さい。また、皮革排水を処理するにあたり、注意する点などがありましたら併せてお願いします。

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No.30453 【A-1】

Re:皮革排水水質その1

2008-11-30 11:31:54 mashi-nana (ZWlba51

 皮革製造工程は、原皮の種類にもよりますが、基本的に、水漬け-石灰漬け-脱毛-脱灰-(ピックリングや漂白)-なめし-(漂白)-染革-加脂の順で行われます。
 なめしは、現在、クロムなめしが大多数ですが、タンニンなめしやアルミニウムなめしなどその他のなめしも少数ですが行われています。
 クロムなめしは今日、塩基性の三価クロムが使われます。しかし、漂白工程廃水との接触によってクロムが有害な六価クロムに変化することもあります。
 タンニンなめしは、クロムなめしよりBODが高いです。
 染革工程があれば、その廃水には着色があります。
 このように皮革廃水は、原皮の種類、加工状態で水質がかなり異なってきます。
 廃水の特徴ですが、一日のうちで午前と午後で時間当たりの水量、水質の変動が極めて大きいです。各工程は通常タイコから半バッチ式に排水されます。タイコからの廃水は、多くは一晩漬けておいて午前中の作業開始時に、一斉に排除されます。一日の汚水の大多数がこのときに排水されます。このために、これを平準化するには大きな貯槽が必要となります。
 処理は通常、肉片や毛を除去するためスクリーンを通した後、PH調整後、鉄塩による凝集沈殿処理が行われます。この処理により浮遊物質の8割が除去されます。その後、中和処理して、BOD除去のために生物処理が行われます。この処理で浮遊物質とBODの95%以上が除去されます。処理水に着色が無ければ、そのまま放流することが可能ですが、色が付いている場合はオゾンで処理水の脱色をします。
--続く--

No.30455 【A-2】

Re:皮革排水水質その2

2008-11-30 11:45:58 mashi-nana (ZWlba51

--続き--処理のポイントは、工程ごとの廃水を前処理して負荷を軽減することと、出来るだけエアレーションを各工程で行い、腐敗を防ぐことと思います。廃水のPHは平準化するため貯留すると、石灰、硫化ソーダによりアルカリ性となりますが、PHが何らかの原因で低下すると、硫化水素を生成して、硫化水素ガスが発生するために、その後のエアレーションを困難にします。硫化物除去のために貯留槽に鉄塩を入れてエアレーションしておくことも良いです。
 皮革廃水処理は、放流先の排水規制にもよりますが、多量の浮遊物質除去、クロムや硫化ソーダ除去のための物理化学処理、高濃度溶解性有機物除去のための生物処理が必要となり、その設計・維持管理のためには高度な処理技術が必要です。また、たとえ物理化学処理や生物処理の経験があっても、毛によるスクリーンのショートパス水の対策や腐敗しやすい汚泥などの処理処分などへの目配りも必要であり、皮革排水処理の経験がないとミスする可能性があると思います。 もし、質問者が排水処理業者でしたら、設計前に他の皮革事業場の排水処理を見学することをお勧めいたします。

回答に対するお礼・補足

mashi-nana様
詳細かつご丁寧な回答に大変感謝致します。機会がありましたら、皮革排水処理施設を見学するように致します。

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