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環境Q&A

高分子凝集剤に混ぜ物をしていいのですか? 

登録日: 2008年10月06日 最終回答日:2008年10月08日 水・土壌環境 水質汚濁

No.29797 2008-10-06 10:31:37 ZWlbb22 将太郎

簡易的な濁水処理事業会社の研究員をしております。
弊社ではポリアクリルアミド系の粉末高分子凝集剤を地下水に0.2%溶解させた後に、これをさらに10%の塩水と1:1の割合で混合したものを凝集剤として使用しております。以前からこの混合高分子凝集剤を使用しているようなのですが、混合している理由を工場長に尋ねても「以前働いていた研究員が、『電気伝導度とのからみで、塩水10%〜20%と高分子凝集剤を混合した方が良い。』と、言ってたからずっとその操作をしている。」と言うだけで、明確な理由がわかりませんでした。メーカーにお尋ねしても、「粉末高分子凝集剤と塩水との混合はやめてください。」とおっしゃっているのですが、こちらも明確な理由を教えて頂くことができませんでした。高分子凝集剤と塩水を混合させてよいものか、理由とともに教えて頂けないでしょうか?
まだ会社に入って間もないこともあり、濁水処理に関する知識が乏しいのですが、ご回答よろしくお願いします。

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No.29799 【A-1】

Re:高分子凝集剤に混ぜ物をしていいのですか?

2008-10-06 12:02:19 ヒゲ (ZWl4f36

使用されているポリアクリルアミド(以下、PAMと略します)が、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の何れか解りませんが、これらを混在させる場合にはPAM同士の凝集を防ぐために塩化ナトリウムを添加することがあります。
飽和濃度(凝集臨界濃度?)の塩水では、異なる電荷を持ったPAM間に引力が働きにくくなるので、異なる電荷を持ったPAMを混在させることが可能になるというのが理由です。

このような凝集剤と処理水とを混合した混合液の塩水濃度は飽和濃度以下となります。すると、混合溶液中ではPAMと処理水中に含有していた懸濁物の間に引力が作用し、PAMは懸濁物を取り込んで凝集できるようになります。
更には、懸濁物の凝集に関与しなかったPAMも互いに凝集するので、処理後の水中にPAMが残こらず、問題なく処理できるというわけです。

メーカーが混合をやめるように言う理由は定かではありませんが、
購入されている粉末PAMに塩化ナトリウムが既に含有されているとしたら、更なる塩化ナトリウムの添加は凝集不良を起こす原因になるかもしれません。
また、特許権などが係わっている可能性もあるのではないでしょうか。

(理論としては上記で合っていると思いますが、なにぶん私は現場を長く離れていますので、現在の薬品仕様や凝集技術などをよくご確認頂ければと思います。)

回答に対するお礼・補足

ご回答ありがとうございます。

弊社ではアニオン系PAMのみの使用です。言葉足らずでした、すいません。その場合の塩化ナトリウムの添加は意味があるのでしょうか?
よろしければこの件についても教えて頂ければ幸いです。

また、有機高分子凝集剤に無機凝集剤を混合した状態で濁水に使用するということについても併せて教えて頂けないでしょうか?

どうかご回答をよろしくお願い致します。



No.29804 【A-2】

Re:高分子凝集剤に混ぜ物をしていいのですか?

2008-10-06 16:36:27 ヒゲ (ZWl4f36

アニオンPAMのみの使用であれば、A1での回答は的外れなようですね。


>その場合の塩化ナトリウムの添加は意味があるのでしょうか?

あまり知見がありません。
電気伝導度と関連して塩水を添加されているとのことですから、PAMの凝集作用を変化させる為の添加と思いますが、凝集処理の技術は対象とする処理水によって変わりますので何とも言えないところです。
アニオンPAMによる凝集後、その後の処理に適するよう粘度調整の為に添加することがあるのかもしれません。
将太郎さんが対象とする処理水はベントナイト汚泥などを含む処理水などでしょうか?このような処理水の場合、凝集物が沈降分離しやすいように水溶性塩で処理することを聞いたことがあります。

>有機高分子凝集剤に無機凝集剤を混合した状態で濁水に使用するということについて
無機凝集剤(凝結剤)としては硫酸アルミニウムなどが代表的かと思いますが、私の知る限り、1)無機凝結剤で小さなフロックを作った後、2)有機高分子凝集剤で大フロックを作るというように、1)→2)という処理手順をふむのがオーソドックスです。
(1)→2)の間にpH調整などの処理が入るかもしれませんが)
有機高分子凝集剤と無機凝結剤の種類にもよりますが、混合すると、それら同士が凝集することが多いような気がするのですが?
それとも無機凝集剤とは樹脂ピッチなどを吸着させる為に添加するようなものの事でしょうか?

回答に対するお礼・補足

ご回答ありがとうございます。
またまた、言葉足らずで申し訳ありません。
実は弊社は樹脂等を用いるような高度な排水処理を行っておりません。製造業等ではないからです。
主にPAC(ポリ塩化アルミニウム)⇒高分子凝集剤を中心に濁水処理を行っております。

そして弊社が濁水処理の対象とする処理水は、主に土木業における赤土等の土砂流出等を抑えるためのものです。ですから、処理の対象とされる濁水に重金属等が含有されている可能性は低いことを前提に処理が行われております。
また、濁水中の土砂等はその地域独特の特性がございまして、琉球石灰岩等を母岩とし、主要粘土鉱物はイライト、カオリナイトを含み、細粒質の重粘土の性質を持っております。

度々の質問で申し訳ありません。
有機高分子凝集剤(PAM等)・塩水(NaCl)・無機凝集剤(酸化Ca、酸化アルミナを主成分)を10:9:1で混合した溶液を有機高分子凝集剤の替わりとして使用(対象とする処理水は上記のような土砂等)することがあるのですが、この塩水・無機凝集剤を混合することに意味があるのかどうか、ご意見を賜りたいと思っております。

大変お忙しいとは存じますが、よろしくお願いします。

No.29822 【A-3】

Re:高分子凝集剤に混ぜ物をしていいのですか?

2008-10-08 09:26:10 ヒゲ (ZWl4f36

土砂を含む濁水が対象とのことで、現場での作業となるのでしょうか。そうすると作業効率や作業速度、脱水処理能も重要なファクターとなるのでしょう。その方面の技術についてはあまり知見がないのですが、乗りかかった船ということで回答させて頂きます。但し、あくまで参考程度に捉えてください。検討違いの回答でしたら申し訳ないです。

ご存知の通り、無機系の凝集剤は凝集力に優れ、脱水も行い易いという反面、凝集速度が遅く、形成されるフロックも小さいことから沈降速度も遅くなります。一方、PAMなどの高分子凝集剤は、形成されるフロックが大きく凝集速度も速いですが、凝集力に劣るため上澄み液が濁り、更には脱水性能も劣るのが一般的です。土木作業の現場などではスペースや設備の問題から無機凝集剤→高分子凝集剤という2段階での処理が行えない事もあるでしょうから、互いの性質を補うために両者を混合して用いることは一般的かと思います。

そこに塩水を添加することについては理由は定かではないですが、粉末のPAMを用いられているとのことで、PAMの分散性を加味しての添加ではないでしょうか。若しくはいわゆる磁土を含んだ汚濁の処理ということで、濁質の分散性を向上させている可能性もあるかと思います。一般的に塩水中でのPAMの脱水性能は極端に劣りますので、添加量のバランスは考慮すべきですが。因みに、PAMの脱イオン吸収能は自重に対して数百倍と言われていますが、海水中ですと20倍ほどにまで落ちるようです。これらはPAMのパンフレットなどにも記載があるかと思います。

もう一つ、塩水を添加することについて、電解処理を行うことはないでしょうか?
濁水中に塩化ナトリウムを添加し、電解処理することで次亜塩素酸や塩素分子が生成します。これらは、酸化性を有するため、濁水中の殺菌に効果があります。

回答に対するお礼・補足

度々のご回答ありがとうございます。
また、返信が遅れたことをお詫び申し上げます。

わたしどもの濁水処理事業では、脱水処理や電解処理等を行う事はめったにありません。通常は無機凝集剤(PAC)⇒有機高分子凝集剤(PAM)での処理が行われております。

今回、ヒゲさんから様々な専門的な知識を享受できたことをありがたく思っております。私は専門的知識・現場での経験が乏しいため、ワラにすがる思いで質問させて頂きましたが、あらゆるヒントを頂きましたので、これを機会に濁水処理について知識・経験を重ねていこうと思いました。

今回は本当にありがとうございました。

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