一般財団法人環境イノベーション情報機構
騒音の減衰の式
登録日: 2008年03月05日 最終回答日:2008年03月11日 大気環境 騒音/振動
No.27164 2008-03-05 06:48:40 ZWlaf37 ゆきんこ
工場騒音の予測をするに当り、室外(壁の高さam,幅bm)での予測値に、今までL3=L2+10log(a・b/r2^2)-10という式を使っていましたが、環境省の廃棄物処理施設生活環境影響調査指針では外壁面における室外騒音レベルの算出の仕方が、点音源と考えた場合(b/π<r2)L2in=L1out+10log(a・b/r2^2)-8となっていることに気づきました。公害防止の技術と法規騒音編では-8の所が-10になっています。どちらが正しいか教えていただけますでしょうか?社内に聞ける人がいないので投稿しました。宜しくお願いいたします。
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No.27230 【A-1】
Re:騒音の減衰の式
2008-03-10 19:37:48 TF (ZWl8f10
環境省の式を変形してみます。
L2in= L1out+10log(a・b/r2^2)-8
= L1out + 10log(a・b) - 20log(r2)- 8
= Lw_1u + 10log(a・b)- 20log(r2)- 8
= Lw_all - 20log(r2)- 8
ここで、Lw_1u:面音源の単位面積あたりのパワーレベル
Lw_all:面音源の全パワーレベル
つまり、Q=2の無指向性点音源の距離減衰式がベースになっています。
(Q=2は面音源が半空間放射であるため)
注意せねばならないのは、Lw_1u = L1out を仮定していることで、
ピストン振動する面音源から平面波が放射されている場合のように
面音源要素が正面方向への強い指向性を持つ場合は成立しますが、
無指向性点音源の集合と考える場合は、上記仮定は成り立ちません。
(無指向性の面音源に接近すると音圧は無限大に発散する)
それなのに、無指向性点音源の距離減衰式がベースになっている所に
少々の矛盾を含んだ式だといえます。
(そのような特徴をもつ計算方法の一種だということです。)
公害防止の技術と法規の式は、
・距離が a/π までは減衰無し(面音源扱い)
・距離が b/π までは3dB/DD(線音源扱い)
・距離が b/π 以上では6dB/DD(点音源扱い)
という大前提のもと、減衰が不連続にならないように整合させた式です。
この大前提の根拠については、私にはよくわかりません。
(ご存知の方がいらっしゃれば御教示願いたいと思います)
ただ、やはり面音源近くでは全く減衰しないと仮定されており、
実際の多くの現象とはいくぶんの誤差が生じると思ってよいでしょう。
つまり、これも計算方法の一種だということです。
これらの式の違いはベースとなる考え方の違いに起因するもので、
「どちらかが正で、どちらかが誤」というものでは無いと思います。
面音源は要素の指向性まで気にし始めると奥が深いので、
あまり深入りしたくなければ、「安全側」の式を使うということで
選択されてはいかがでしょうか。
(深入りしたいのであれば、騒音振動対策ハンドブックにエネルギー
ベースの面音源距離減衰に関する記述があって参考になると思います)
私個人としては、公害防止の式の大前提の根拠や精度がよくわからない
という理由によって、どちらか選ぶというなら環境省の式を選びます。
(でもそれは私の勉強不足によるものです)
回答に対するお礼・補足
とても判りやすい説明ありがとうございました。大変参考になりました。何で面音源の単位面積あたりのパワーレベルがL1outなんだろう?と思っていました
が、それが仮定なのですね。後、今回の質問には書いていませんでしたが、環境省の式で面音源として考えた場合L2in=L1in-TL-6という式があるのですが-6って何ですか?ついでと言っては失礼かとは思いますが
是非ご教示ください。
No.27238 【A-2】
Re:騒音の減衰の式
2008-03-11 09:29:57 TF (ZWl8f10
これは室内から外壁を透過する音の計算式で、
L1in:室内平均音圧レベル
TL :外壁の音響透過損失
L2in:透過音の音圧レベル
ではないでしょうか。
-6というのは、室内を完全拡散音場と仮定した場合に、室内の単位面積辺りに入射するPWLが、室内平均音圧レベルよりも6dB(=10log(4))小さい値となる、という拡散音場理論から出てくる値です。
L2inというのは、本来は外壁の単位面積辺りから放射される音のパワーレベルですが、先の投稿で書いたように、外壁近傍の音圧レベルはこれに等しい(値となる)として扱う場合が多いようです。
回答に対するお礼・補足
重ね重ねの回答ありがとうございました。
大変助かりました。ハンドブックを読んでみたいと思います。
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