揮発性有機化合物(VOC)分解装置は地球温暖化の防止の敵ですか?
登録日: 2008年01月12日 最終回答日:2008年01月17日 大気環境 大気汚染
No.26537 2008-01-12 08:32:04 ZWl2c62 大気の味方
揮発性有機化合物(VOC)がSPE発生や、光化学オキシダント発生の原因になるとして、大気汚染防止法の改正によりVOCの排出規制が施行されました。
当社はこれに対応するため塗装ブース排出口にVOCを酸化分解(燃焼)して処理するVOC分解装置を設置しました(かなり高額でした)。
主なるVOCはトルエン、キシレン、エチルベンゼンなどですが、燃焼分解により、温室効果ガスのCO2が発生することになりました。
VOCそのものより有害性は少ないのは分かりますが、京都議定書の施行により
周りの人間の反応は冷たいものもあります。
トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどそのものは、法的には温室効果ガスに指定されていませんが、メタンあたりが指定されているくらいですから、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどそのものも温室効果があると思われますがどうなのでしょうか?
VOC分解装置設置主の小職の名誉挽回のため、わがままですが、どなたか救済のご回答宜しくお願い致します。
(経済産業局に問い合わせたところCO2発生施設の指定は受けないようですけれども・・・。実質は発生するので悩ましいところです。)
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No.26570 【A-1】
Re:揮発性有機化合物(VOC)分解装置は地球温暖化の防止の敵ですか?
2008-01-15 16:20:47 めむ (ZWla743
個人的見解では、明らかにトルエンなどの有機溶剤をそのまま排出した方が、環境負荷が高いと考えます。マスコミの過熱とも言える報道だけを情報源とする一般の人たちの反応なら、仕方ないと言えますが・・・。
このようなことで、まじめに大気汚染低減に取り組んでおられる質問者様のような方が、周りから白い目で見られるのは慚愧の念に堪えません。
回答に対するお礼・補足
めむ様 ご回答ありがとうございました。
出張していてご回答へのお礼のご連絡遅れて申し訳ありませんでした。
環境保全への取り組みは、今回の質問にかかわらず、一方を優先すれば、もう一方で悪影響がでてしまったり、なかなか、両者相立たずのパターンが多く本当に大変です。
白い目でみている人?(笑)は、環境への意識は大いにあるのですが、どうしてもマスコミレベルで話題になる環境問題を特筆してしまう傾向があります(VOCとかテレビで報道しても一般人にはわかりにくいですものね)。
環境教育等で温暖化以外の環境問題も、もっと周知していかなければいけないと思っています。
ご回答ありがとうございました。
No.26587 【A-2】
Re:揮発性有機化合物(VOC)分解装置は地球温暖化の防止の敵ですか?
2008-01-16 18:43:56 YASU (ZWl9233
VOCとして排出すると、健康にも影響を及ぼしますし光化学オキシダントの原因にもなるので、やはり分解装置は重要なのではないでしょうか。
CO2の排出を削減するには、固定されているCO2(VOCを含む石油製品や燃料、またはバイオマスなど)の使用を極力減らすしかありませんね。
回答に対するお礼・補足
YASU様 ご回答ありがとうございました。
なるほど、VOCは大気中で、そのまま浮遊したり、降雨などで土壌に染みこまれたり、人体他生物系に吸収されたりしても、微生物なり、なんらかのエネルギー系(熱とか光とか)の影響による分解反応等の過程(多くは最終形?)でCO2の発生はありえますね。
VOC除去の最大の課題である、有機過酸化物の発生(浮遊粒子状物質)や、光化学オキシダント発生過程(NOXとの相乗効果で発生するオゾン生成反応)においても、最終形は、CO2の生成に行き着くような気がします。
ご回答ありがとうございました。
No.26590 【A-3】
Re:揮発性有機化合物(VOC)分解装置は地球温暖化の防止の敵ですか?
2008-01-16 22:06:12 万田力 (ZWl3b51
> 長期的な視点に立つと、VOCを先に処理してCO2として排出するのか、それともVOCとして排出し、大気中でCO2になるのか?の違いに過ぎません。
インシネで「燃焼分解」すると、燃料由来分だけCO2が余分に発生しますが……
> CO2の排出を削減するには、固定されているCO2(VOCを含む石油製品や燃料、またはバイオマスなど)の使用を極力減らすしかありませんね。
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=3541
をごらんになって下さい。
「VOCを含む石油製品」などの中の炭素は何万年・何億年にわたり化石燃料中にストックされてきたものですが、通常「バイオマス」と言われているものは、(京都議定書などでは「森林吸収」として固定されたものとされているようですが、)通常なら数年から数十年単位、長くても数百年で大気と循環しており、バイオマスの使用を減らしても大気中へのCO2の増加を抑制することはできず、逆にこれを使用することで化石燃料に固定されている炭素を開放しなくて済むというメリットがあります。
回答に対するお礼・補足
万田力様 補足説明ありがとうございます。
時間的スパンで考えるのも興味深いですね。
バイオマス系燃料がカーボンニュートラルと言われていますが、
植物が生存中に光合成でのO2発生(CO2も発生しますが)と、CO2吸収量(「森林吸収」)は、
本当にニュートラルなのか疑問に思っていましたが、数年から数十年単位、数百年のスパンでみれば、自然環境の中では、ニュートラルなのですね。
腐らせて温室効果の大きいメタン等の発生過程を通過するより、バイオ燃料として一気にCO2にしてしまった方がよいのかもしれません。
CDM等の取組みにおいても、温室効果ガス削減のための技術供与(開発)において、CO2削減以上に効果の大きいメタンやフロン系削減の施設開発が多いと聞きます。)
No.26614 【A-4】
Re:揮発性有機化合物(VOC)分解装置は地球温暖化の防止の敵ですか?
2008-01-17 21:08:57 万田力 (ZWl3b51
この件については記述が不十分だったため突っ込みがあると思っていましたが…
私が推奨しているバイオマスの利用はせいぜい使用済み天ぷら油を活用したBDFか木質ペレットまでで、バイオエタノールやBDFを目的に栽培された菜種油からのBDFは対象外です。
その理由は、木質ペレットは物理的な操作で比較的簡単に製造できますが、バイオエタノールの製造など化学反応を経て得られるバイオマスの二次製品の製造には膨大な化石燃料が使われるし、食料など他の用途のある物を燃やしてしまういうことには疑問を感じるからだけでなく、バイオエタノールでは投下したエネルギーより得られる利用可能なエネルギーの方が少ないと言うことも聞き及んでいるからです。(ペットボトルのリサイクルもでも似たような話を聞きますね。)
もしこれが本当か、あるいは回収率が採算をとれないほどに低いなら本末転倒で、化石燃料はバイオマスエネルギーの製造に使うのではなく直接利用したほうがよい。なぜなら、そうすることによって菜種油やトウモロコシなどBDFやバイオエタノールなどの原料は食糧や飼糧として別途有効に使えるからで、A−3で紹介している例もその延長です。
スローライフを掲げて趣味的に行うならトラクターより牛や山羊でしょうが、限られた農地と人手で膨大な人口を養うには、トラクターやコンバインの使用無くしては不可能ということを念頭に、無駄のない最適なエネルギー使用を心がけるべきではないでしょうか。
回答に対するお礼・補足
万田力様 詳細説明ありがとうございます。
3Rで言われる、リユース・リデュース・リサイクルにおいてリサイクルが優先順位の最下位に位置しているのと同じですね。
今回取り上げられている、バイオマス燃料を利用した環境保全活動すべてが、表面だけ見て、
これでいいんだと思い込むのでなく、裏に潜むそれまでの生成過程での環境負荷が、今の取り組に本当に見合った活動なのか、きっちり環境影響評価しなければなりませんね。 確かに同じバイオマスでも使用済み天ぷら油を活用したBDFや木質ペレットは負荷レベルは小さいと思えます。
ご紹介いただいた、
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=3541
に述べられている、使用頻度・資源循環性等を加味した機械もしくは動物の選択利用
も参考になりました。
今回はVOC分解装置の利用についてお問合せしましたが、本装置の利用は治療的取組みです。
本来は、水溶性塗料、粉体塗装など無溶剤系塗料を利用するなど予防的処置を考えるべきです。
※ただし、たとえば粉体静電塗装などはエネルギー(電気)が多くなると聞いてます。よかれと思って取組んだ施策が本末転倒にならないよう気をつけたいと存じます。
知見が深まりました。 ご回答ありがとうございました。
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