精米中のカドミウム分析の前処理について
登録日: 2007年10月11日 最終回答日:2007年10月17日 環境一般 その他(環境一般)
No.25316 2007-10-11 05:13:21 みほ
はじめまして。以前にも皆様方にお世話になりました「みほ」と申します。研究所では食品の分析を主に携わっており、まだまだ駆け出しの初心者です。当研究所では、通常は精米中に含まれる重金属を分析する際の前処理に「硝酸30ml」→「王水30ml×約3回」→「硝酸30ml」の順で行っっております。場合によっては灰化法でも行っております。最終的にはICP-AESで定量しております。試料の前処理にはケルダールフラスコを用いて加熱処理しております。先日、ある精米について酸処理でいつものように前処理したところ、油膜のようなものが浮いて、なかなか分解されません。文献等を調べてみると、米中に含まれる「米油」と言われるものと察します。検体には「精米」と記されておりますが、精米のわりには何となく色自体も若干褐色かかっており、粗悪な精米か玄米のようなものも若干含まれているかもしれません。油膜らしきものは、そのせいかもしれません。私の行っている酸分解処理できちんとした結果が得られるか心配です。そこで質問なのですが、@酸処理後、残った油膜は濾過してしまってもかまわないのでしょうか?A違う前処理が必要でしょうか?もし、間違った方法や良いアドバイスがあれば、ご指摘願います。素人質問ですみません。誇りを持って、今後も分析業務に携わっていきたいと思いますので、お手数とは存じますが、分析経験豊富な先輩方のアドバイスのほどよろしくお願いします。
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No.25318 【A-1】
Re:精米中のカドミウム分析の前処理について
2007-10-11 18:31:35 火鼠 (
その辺も踏まえて、雑誌を調べてみた方がいいと思います。たくさんあると、思います。
回答に対するお礼・補足
おはようございます。質問者のみほです。
早速のご回答感謝いたします。
やはり、お米のCd,Pb分析には、皆さんも苦労されているようですね。過塩素酸での分解は使用しておりませんが、酸分解はドラフトの中とはいえ、怖いですね。今朝も朝から酸分解をしておりますが、私も文献等をもう少し調べてみます。お忙しい中、ご丁寧にご回答ありがとうございました。また、何かほかに良い情報がございましたらお教え下さい。この度はいろいろお世話になりました。
No.25341 【A-2】
Re:精米中のカドミウム分析の前処理について
2007-10-12 20:55:34 たそがれ (
できれば昇温で550℃8hくらい灰化。(石英ビーカーがいいです) 実際には炭化している部分も多いですので電気炉から出してホットプレートで時計皿をかぶせて、きれいになるまで硝酸、過酸化水素水で交互に数回乾固。塩酸で溶かしてキレート抽出します。短期間で多量の検体をさばくのでしたら原子吸光による溶媒直接噴霧、ICPだったら酸に戻してかける方がいいでしょう。
湿式ですが、安全を考えるなら硫酸、硝酸分解です。注意点は、アルカリ土類金属が多いと鉛が沈殿する恐れがあるので回収率の確認が必要です。時間もかかりますね。
ただ、私は湿式分解をされている方でしたら過塩素酸分解を避けて通れないと思っております。
確かに米油はやっかいと思われるでしょうが普通、食品分析と言ったらゴマもあれば揚げ物だってあります。油に関しては米の比ではありません。硝酸で十分分解した上で使われても良いと思います。(上司の方に十分習ってからにしてください。)
その後の処理ですが、20ml位に定容すると塩類が濃縮されますのでキレート抽出は避けられないでしょう。
油膜をろ別できるか?ですが・・・状況を見ていないのでわかりませんが、今回くらいなら量としては無視できるかもしれません。油中に重金属はイオン以外の形態として存在可、のようですしもっと油のある検体はろ過くらいしても機器に導入したくないですね。
回答に対するお礼・補足
たそがれ様
質問者のみほです。
ご丁寧にご回答感謝いたします。
やはり、湿式分解法でしたら、高分解の硝酸+過塩素酸が良いみたいですね。危険な過塩素酸の取り扱いに関しては使用する際は熟練の上司に付き添って頂きます。どうぞご安心下さい。ただ、酸分解すると、どうしてもドラフトから漏れた酸蒸気が気になります。特に周辺機器の錆や一番は、やはり女性としては肌荒れが気になるので避けたいところです。(最近の若い男性なら女性より気になるのでは?)あと、よく考えてみれば、他の食品中の油分に比べれば、お米中の油量自体はたいした量ではないですね。早速、お教え頂いた灰化法と湿式分解を用いて、私なりに、お米中に含まれるCdのクロスチェックをしてみようと思います。お忙しい中、ご丁寧にご回答ありがとうございました。大変参考になりました。また、何か他に良い情報がございましたらお教え下さい。この度はいろいろお世話になりました。
No.25353 【A-3】
Re:精米中のカドミウム分析の前処理について
2007-10-12 23:58:46 火鼠 (
一例です。絶対ではありません。
米の分析粉にして、水で分散して、塩酸+水で80度に加温、一晩放置(加水分解)硝酸+過塩素酸で加熱分解(過塩素酸の対流がなければ無意味)ただし、過塩素酸がある中で、乾固や、硝酸が足りなくなれば、爆発します。5gの試料と10mlの過塩素酸で、ドラフト1つぐらいは、バラバラになります。ですから、使う容器の形状も大切な要因です。乾固しなければ、基本的には、米等は、爆発しません。分解は、ノウハウ問題なんで、その、サンプルごとのニュアンスがことなります。一言では、言えません。言ったとうりやったら。ドカンでは、洒落になりませんから。
回答に対するお礼・補足
火鼠 様
質問者のみほです。
ご丁寧にご回答感謝いたします。
いろいろご心配をおかけしました。
たしかに過塩素酸の取り扱いは慎重にする必要があると重々承知しております。火鼠様のアドバイスも参考にしながら、湿式法と灰化法でのお米中のCdの定量も試してみようと思います。時々こちらのサイトに、素人質問ばかりしてお世話になっております。火鼠様をはじめ、皆様のような分析経験者のアドバイスが私にとって、何よりも参考になります。また、何か他に良い情報がございましたらお教え下さい。この度はいろいろありがとうございました。
No.25422 【A-4】
Re:精米中のカドミウム分析の前処理について
2007-10-17 21:23:20 たそがれ (
米所の都道府県(都と府はなさそうですね)では民間検査機関に毎年200〜300検体くらいは平気で米の検査を依頼してきます。私どももそれを受ける立場にある者です。A-2の前段に記載した乾式灰化法はそれを受けるにあたり、○潟県農業総合研究所(県の出先機関)から指定されたCdの分析法なのです。農水省関係から出たやり方なのではないかと推測しますが、別に非公開でもないので、頼めばもらえるのではないかと思います。また、私どもの確認した範囲では湿式法との差異もそんなにありませんでした。
尚、その中でキレート剤としてAPDCが指定されていますがどうも高濃度で検量線がのりません。DDTC-Na抽出、原子吸光で溶媒直接噴霧なら、MIBKが適当でしょう。
湿式の補足ですが、みほ様がされておる王水分解は分解後、乾固したものの溶解等には有効ですが、有機物の多い食品分解には硝酸が少ない分、あまり効果的ではないと思われます。(また、肌も荒れますね)
追加
分析、前処理の勉強をされ始めたばかりでそれどころではないのでしょうが、公定法もしくはそれに順じたものを探す、という姿勢も大切です。
たとえば、「農用地の土壌汚染に関する法律」で米の分析法があり、硫硝酸分解になっています。(日本環境測定分析協会から書籍として出ています)
報告書の説得性が大きく高まります。
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