アーティクルのREACH対応
登録日: 2007年09月27日 最終回答日:2007年10月17日 環境行政 環境基準
No.25118 2007-09-27 11:53:44 クマクマ
初めて質問させて頂きます。
宜しくお願い致します。
早速ですが、REACHに関する質問です。
私どもの会社では切削工具の製造を行い、欧州のお客様へ輸出しております。
輸出側なので仮に製品が対象であっても、実際に届出や登録をする立場ではないのですが、含有物質によっては年間1tを超えており、仮にその物質が高懸念物質に該当されてしまうと、お客様への情報提供をしなければならないと解釈しております。
そこで、切削工具が、届け出ないし登録の該当となるのかという事を知りたいですが、意図的に何かしら放出させてはいないので、該当しないとは思っていました。
しかし、経済産業省のPRTRについてのQ&Aにて、第1種の化学物質を含む切削工具についての質問があり、その回答として切削工具の磨耗は環境へ排出しているものとみなすといった内容の回答が寄せられていました。
この回答を見て不安に駆られているのですが、意図的に放出させずとも、放出の可能性が有るという事で対象となってしまうのでしょうか?
ご教示お願い致します。
長々とした質問文で申し訳ありません。
総件数 7 件 page 1/1
No.25124 【A-1】
Re:アーティクルのREACH対応
2007-09-27 16:36:23 cerha (
まず登録について「成形品中の放出を意図する物質」に関して、参考までに自動車業界での欧州自動車工業会を中心とするTask Force REACHというところが作成したガイダンスによれば、「通常使用によるアーティクルの磨耗や破れは意図的な放出ではなく付随的な放出であると見なす」と判断してます。ただしこれは一部にREACH実施プロジェクト(RIP)3.8の見解に沿っていない部分もあるようです。この判断についてはまだ今後も議論が続くのではないかと。
つぎに届出についてですが、成形品中の高懸念物質の届出の場合、すでにその物質がその用途で登録されていれば届出不要(事業者ごとではない)とのことですので(これは登録にも当てはまるもよう)、極めて特殊な用途でその物質が使用されいるのでなければどこかの素材メーカーによる登録がすでにされている(よって登録・届出不要)と考えられないでしょうか?(成形品にその物質が含有するなら物質として市場に流通しているはずで、だとすれば素材メーカー(こちらは上市するなら事業者ごと用途ごとにほぼ必須か)によりその物質は登録されているのではないでしょうか?確認は必要かも。)
以上のように、登録や届出に関しては、成形品の場合、該当するケースは少ないのではないかと。
高懸念物質に関する消費者への情報提供義務については、先日他の質問でもやりとりしてますが、やはり注意が必要かと思います。情報提供義務以外でも、高懸念物質に指定されると物質として市場で入手しにくくなったり代替化が進んだりなど影響が懸念されますし、自社の部品が高懸念物質を含有するのかの注意は必要かと。高懸念物質のリストはまだ未定ですが、まずは現在の基準(67/548/EEC区分や76/769/EECなど)に照らしての物質を含有するかを確認しておいてはどうでしょうか?(心の準備としては)
長くてすいませんが、以上が私の個人的見解ですがよろしくお願いします。
回答に対するお礼・補足
cerha様
早々の回答ありがとうございます。
自動車業界だけでも意図的では無いと判断されていると聞いて、安心しました。
高懸念物質についても、何処かのメーカーが登録済みであれば届出不要なのですね。
ご意見を参考にまた色々と調べてみます。
有難う御座いました。
No.25140 【A-2】
Re:アーティクルのREACH対応
2007-09-28 18:20:13 えじ (
物質登録 意図的放出がある年間1トン以上の物質は登録を要する。(第7条.1)
SVHC届出 年間1トン以上かつアーティクル中濃度が0.1%以上ならば届出を要する。(第7条.2)
となっています。
意図的放出か否かは今後もウォッチする必要があると思いますが、SVHC届出については物質登録に関係なく総量&濃度で要否が決まります。
更にSVHCは認可対象でとなっており、
上流側で自身の使用条件を含めた認可を受けていれば川下ユーザーは物質を使用してもいい(第56条.2)
とあるため仮にSVHCに指定された場合はこの部分についても注意が必要かと思います。
回答に対するお礼・補足
回答有難う御座います。
お礼が遅くなってしまい、すみません。
SVHCに関しては総量と濃度そして生産者or輸入者単位での登録なので注意が必要という事ですね。
認可については、その物質が同じ使用条件での認可を受けている実績があれば、不要であるという事でしょうか?
SVHCついては届出如何関係なく情報収集していく所存です。ありがとうございます。
No.25146 【A-3】
Re:アーティクルのREACH対応
2007-09-28 23:04:08 cerha (
まず第7条の第6項には、「第1項から第5項までは、その用途についてすでに登録されている物質には適用されない。」とありますので、アーティクル中の物質の登録(第1項)やアーティクル中のSVHCの届出(第2項)は、いずれもすでに登録済み物質なら適用外かなと。(つまりSVHC届出も、登録済みなら適用外つまり届出不要と解釈できないでしょうか?)
ただしSVHCに指定された物質をアーティクル中に含有する場合に注意が必要との「えじ」さんの見解には私もまったく同感で、いくら届出の対象外になっていてもあるいは上流での認可により使用可となっていても、その認可を受ける前に(そのためのコスト面の障害などにより)市場から撤退という流れも予想され入手困難となる可能性もあると思います。(その物質を含む調剤も同様に入手困難または代替化の流れか)
よってSVHC指定物質の含有は、法的な遵守以外の点にも注意を払う必要があると思います。SVHC非含有が確認されていれば、アーティクルに限れば、比較的安心できるかなと。(物質/調剤を扱っているとそう簡単にはいきませんが。)
不安をあおった感じにもなりましたが、ただしSVHC指定予定の物質(CMR物質やPBT物質など)は、すでに規制対象で流通してない物質も多く含まれていると思いますし含有自体が稀なケースかもしれませんが。
以上いつも長くてすいませんが、みなさんの意見やこういったやりとりなどが私自身も勉強になりますのでドンドンやってみんなREACHを乗り越えましょう。
No.25151 【A-4】
Re:アーティクルのREACH対応
2007-09-29 08:46:49 matsu (
>私どもの会社では切削工具の製造を行い、欧州のお客様へ輸出しております。
> 輸出側なので仮に製品が対象であっても、実際に届出や登録をする立場ではないのですが、含有物質によっては年間1tを超えており、仮にその物質が高懸念物質に該当されてしまうと、お客様への情報提供をしなければならないと解釈しております。
>
あなたの会社がREACHでのORを立てると、製品のインポーターの代わりに輸出品に含まれる1t以上の物質の登録の代行をすることができます。
上の議論で気になったのは、物質の登録はサプライチェーンごとに別なので、どこかの誰かがでは無く自分のサプライチェーンの上流が登録をしている場合でないと自社に近い誰かが登録する義務を負うはずだという点です。
切削工具が金属の合金でできているとすると、成分の金属ごとの組成物とみなされるので、成分金属がSVHCになった場合条件によって届出等の義務が出てくると思います。
ユーザーへの情報提供義務に関しては、その物質がSVHCリストに公表される以前に公開データをベースにして該否判定をしなければなくなっている可能性について心配しています。
回答に対するお礼・補足
回答頂き有難う御座います。
お礼が遅くなり、すみません。
えじ様への回答お礼にても記載させて頂いておりますが、認可についてその物質が同使用条にて認可済みであれば不要という事ではないのですか?
また、切削工具は合金で出来ているのですが、アーティクル中にSVHCが含有されていても暴露回避可能なら、届出不要と聞いております。磨耗が放出に当たらなければですが、暴露回避可能とみて非該当。というのは安易な考えなのでしょうか?
若輩者でして、不躾な質問となっているかもしれませんが、ご容赦下さい。
No.25170 【A-5】
Re:アーティクルのREACH対応
2007-09-30 23:48:38 cerha (
私の解釈のよりどころも、先にも述べたように第7条の第6項の一文のみであり、どこかで(その用途で)登録されていれば登録・届出不要かなと解釈したわけで、かなり自分にいいようにとらえているのかもしれませんが。
RIP3.8の第6章に、このアーティクル中の登録を免除される「登録済み」かどうかの確認方法についての2つの方法の記述があります。
http://www.env.go.jp/chemi/reach/reach.html
一つはサプライチェーンをさかのぼって上流に対し要求して確認する方法。もう一つは化学物質庁のデータベースで探すか、化学物質庁へ情報要求するという方法です。CAS No.等の物質を特定する情報をもって「物質の登録有無」の情報要求を受けた化学物質庁は、潜在的登録者による用途特定にもとずき「登録の必要か否か」を回答するとのことです。
これは化学物質庁が、物質と用途の情報のみで潜在的な登録の有無を確認し登録が必要かどうかを判断するということで、サプライチェーンによらず誰かが(特定の用途で)登録していればよいということを意味しないでしょうか?(この解釈も無理あるかも?)
EU域外で調剤を調達しEU域外でアーティクルを製造し、そのアーティクルをEU域内へ輸入し流通させる場合は、もしその調剤そのものがEU域内で流通してないものなら、そのサプライチェーンの上流による登録はされていないでしょう。物質や調剤を製造していなくアーティクルのみを扱っている事業者の場合は、物質の登録・届出の業務というのは困難が予想され、またサプラチェーンの上流への登録を依頼するという場合もその企業がEUでの事業を考えていなければこれまた困難が予想されます。(このような場合には、「matsu」さんも言われているように、EU域内に「唯一の代理人(only representative)」を立てるか、日本での代行委託を考えないといけないのかもしれませんが。)もちろん困難だから登録不要というわけではありませんが。
アーティクル中の物質の扱いについては、先の「放出が意図される」という件や、今回の「登録済みの判断」など今後も議論が続きそうですし、今後も各種情報でのケーススタディなども注視していきたいと思います。(いつもホント長くてすいません。)
回答に対するお礼・補足
度々の回答ありがとうございます。
皆さんのご意見、とても勉強になります。
セミナーも良いのですが、未熟者の私にはこの様な皆さんからの直のご意見は大変勉強になり、感謝しております。
サプライチェーンでの登録なのか、何処かが登録していればいいのか、等などその他についても情報収集に努めたいと思います。
No.25251 【A-6】
Re:アーティクルのREACH対応
2007-10-06 00:06:14 cerha (
みなさんけっこう閲覧されている様子の例のJ-Net21の10/5付けコラムでこれについての見解が出ていました。(すでに見られたかもしれませんが。)
http://j-net21.smrj.go.jp/well/rohs/column/050.html
詳細はこちらをご覧いただきたいと思いますが、結論をいうと私の解釈が否定され、さすが「matsu」さん見解(サプライチェーン上流での登録が必要)が正しかったようです。(ただし成形品の登録については、その前に「放出を意図」の条件により、かなりのケースで登録免除されることには間違いないと思いますが。)
REACHに限らず法律の解釈にあたっては、他の法規や報告書などの周辺情報から条文に記載のない裏を読み取る必要がるとのことで、私自身も情報収集には努めていたつもりですが、それでもなお条文のみにこだわった解釈になってしまっていたようです。
今回の件では、当初の協議文書に記載のあった「サプライチェーンの上流の行為者によって、その使用が登録されている物質には登録義務は適用しない」の文言が、最終の公布文書で「サプライチェーンの上流の行為者によって」の部分が削除されたわけですが、これはその部分が該当しなくなったということではなく、裏には引き続きその意図が隠れていると解釈するようです。
このコラム筆者の解釈の間違いの可能性も否定できませんが、やはり私の解釈に無理があったということでしょう。引き続き情報収集に努めていきますが、以上とりあえず参考までに投稿いたします。
No.25400 【A-7】
Re:アーティクルのREACH対応
2007-10-17 00:29:31 matsu (
もし合金の元素がSVHCに指定された場合、0.1%なり量の条件などにもよりますが、登録や届出が発生しうると思います。
最近のドイツ政府Q&Aなどで出てきている登録時の注意点としては、EU域内のインポーターが登録した場合、輸入元を変えても再登録不用などと言う、REACHのサプライチェーン単位管理の思想からはずれたことを言い出しています。
このため、苦労してお金をかけた登録に中国品のような他のルートのただ乗りをされないためには、登録を現地インポーターに任せずに直接ORを立てて行い、インポーターが勝手にフリーライダーを連れてくるのを防ぐといった配慮が要るようです。
回答に対するお礼・補足
回答ありがとうございます。
輸入先任せな姿勢では損をするやもしれぬという事ですね。
新しい情報有難うございます。
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