REACHの消費者への情報提供義務について
登録日: 2007年09月20日 最終回答日:2007年09月24日 環境行政 環境基準
No.25021 2007-09-20 12:10:10 matsu
ちょっと変わったパターンの質問ですが、以下の話の筋でおかしな点があればご指摘をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
1.EUのREACH規則では、今年の6月1日以降、高懸念物質を0.1%以上含む成形品の供給者は、消費者の求めがあれば45日以内に安全使用条件に関する情報を提供する義務があります。
2.REACHの高懸念物質リストはまだ空ですが、CMR物質やPBTなどのリスト選定条件は決まっているので、成分にこの種の有害性物質を含む成形品の場合、2009年6月にリストが確定して掲載されないことが確定するまでの間は高懸念物質だと考える義務が発生している?
3.日本の政府関係機関が、カーボンブラックが発癌性区分2のCMR物質だという分類を公表しているhttp://www.safe.nite.go.jp/ghs/0700.html
4.この結果、今日本からEUに輸出している自動車のタイヤに練りこんだカーボンブラックがあると、自動車メーカーはEUの消費者に安全使用条件の情報提供義務が出る?
5.ゴムや樹脂に練りこんだ微粉末が拡散しないことを理由に成形品の免除扱いにでもならないと、酸化チタンやシリカでも似たようなことが起こる。
以上どう考えてもおかしいことが起こっていると思うのですが、どこがおかしいのでしょうか。
また、このようなパターンの質問に対してのご意見もお待ちしております。
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No.25035 【A-1】
Re:REACHの消費者への情報提供義務について
2007-09-21 10:59:35 一歩一歩の14000 (
本サイトの化学物質規制に関する件で、matsuさんを知らない人はいないでしょう。
無謀とも言えますが、敢えて門外漢が発言致します。
1.法律はその内容を以て各種の制約を与える。
2.REACHが発効しても、具体的リスト提示はない。
3.従って、具体的義務は未だ明確になっていないと判断できる。
これを以て、「予測を基に騒がないこと」と発言されたのはmatsuさんでしたよね?
それに従って、静観している最中です。
EU規制が理念を制定し、その中味がないのに、日本の評価結果を基に、「規制されるかも知れないから・・・」と拡大解釈(質問の第2項)しているところが問題なのでは?
回答に対するお礼・補足
ご回答ありがとうございます。質問者のレベルや特定意図を持った質問設定などの議論があるので今の課題を質問させていただきました。
日本と違ってEUの規則はまず理想を目指して制定して後から現実を追いつかせようとする場合があります。今度の場合通知義務が先行して対象物が後から決まるという逆転手順になっているので、消費者から質問が来た場合の心の準備も必要かと思いまして、この疑問を公開させていただきました。基本は静観ですので貴重なご意見をぜひ政府関係の方にも参考にしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
No.25041 【A-2】
Re:REACHの消費者への情報提供義務について
2007-09-21 14:07:35 cerha (
質問に対する回答というより、私自身もREACH規則について勉強したく議論が深まるようにと思い、寄稿します。以下は、私の個人的な見解というか私なりの解釈です。(よって間違っている可能性も大ですが。)
この件、消費者への情報提供義務というのは、REACH規則の第33条の「成形品に含まれる物質に関する情報伝達の義務」の2項における規定と思われます。
成形品中に高懸念物質を0.1wt%超含有時は、サプライヤーは消費者の求めがあれば安全使用に関する情報を45日以内に提供しなければならないとのこと。
この高懸念物質は、第57条に基づく物質(現時点白紙の付属書XIVに掲載予定)で、発がん性については、指令67/548/EECの区分1または2に該当の物質とのこと。
以前matsuさんが紹介された67/548/EECの物質検索で、カーボンブラック(CAS No.1333-86-4)は引っかからないようなので、カーボンブラックはREACH規則の付属書XIVには掲載されない可能性があるのではないでしょうか。
http://ecb.jrc.it/classification-labelling/search-classlab/
いずれにしてもREACH発効により消費者への情報提供の義務は生じてますが、付属書XIVの掲載物質が発表されるまでは、要求のあった消費者へは「対象物質が未定のため現状では判断しかねます」という回答をする形ではだめでしょうか?
以上が、私なりの解釈ですが。
この件、ご指導をよろしくお願いします。
回答に対するお礼・補足
ご回答ありがとうございます。
環境省さんが仮訳してくれているRIP3.8というのがあって(http://www.chemical-net.info/pdf/RIP3.8draft_1.0.pdf)101ページからのケース2で、タイヤ用可塑剤のエキスパンダー油に含まれる多環芳香族炭化水素の蓄積性や発がん性を見積もっている部分があるので、日本政府がカーボンブラックをあのような評価をしたままだと、これに足そうとする人が出てくるのではないかと思ったしだいです。確かにみんなが76/769/EECに記載に無いものの回答を2009年まで先送りすれば話が単純になりますね。これからRIPがどうなっていくか注意深く見守っていこうと思っています。ご回答ありがとうございました。
No.25045 【A-3】
タイヤの件は、様子見です
2007-09-22 16:55:09 todoroki (
これを利用しない手はありますまい。
・カーボンブラック ならびに、
・タイヤ用可塑剤のエキスパンダー油に含まれる多環芳香族炭化水素
の件については、
タイヤ業界と自動車業界にアンテナを張っているものの、
今のところアクションが聞こえてこない(見えてこない)ため、
一歩一歩の14000さん同様 静観しております。
後者は少なすぎて0.1%のしきい値を超えないと聞いた記憶もあります。
上記に間違いまたは新たな動きがありましたら、教えてください。よろしくお願いします。
PS.
「どう考えてもおかしいことが起こっていると思う」のは我々だけで、行政当局者はそう思っていないのでは?
回答に対するお礼・補足
回答ありがとうございます。
カーボンブラックは混煉時にゴムと化学結合して、微粉末として希散しないのですよね。そう言ってSDSが免除にならないと手間が大変です。REACHや安衛法は物質のハザードだけで物事を決める部分があるため、常識的な使用条件とかけ離れた有害性がでてくる場合が有るという一種の欠陥を持っていると思います。とくに粒子形状や大きさによってハザードが出ているケースがひどいことになっていますね。シリカなんか微粉末シリカとシリカゲルを区別しないと・・・。日本でアスベスト>0.1%なんぞと言っている影響がとんでもないところに出てこないか行政に見ていてほしいものです。
No.25062 【A-4】
Re:REACHの消費者への情報提供義務について
2007-09-24 12:53:13 cerha (
日ごろこのコーナーにて質問者に対するmatsuさんの回答において参考となる話しも多く時々拝見はしておりましたが、今回そのmatsuさんが質問者に立たれ(実際は問題提起?)、しかも最近産業界を騒がしているREACH規則に関して(実は私も自動車関連業界で環境関係の業務に携わってます)ということもあり、先に初めて投稿させていただきました。
今回の件で、カーボンブラックが日本政府関係機関によりあのような評価をされていると初めて知りました。確かに現在カーボンブラックはゴムの補強用途や樹脂の着色用途など幅広く使用されてるようですし、もしREACHのSVHCに指定されることになれば、あとは「成形品に対しては放出を意図される物質が対象」というところをよりどころとして逃れるしかないのでしょうか。
REACHのSVHCに指定されると、各種の煩雑な手続きを考えると(閾値や成形品に対する免除が適用されなければ)実質代替勧告みたいな扱いへ進むことも予想されますし、今後注視していくことが必要かとも感じました。
日欧などの行政側が常識的な使用条件によらないハザード面のみにより動くケースがあるとの話しも参考となりました。ただ一方では、過去の例からも行政側というのは、技術面などの問題による産業界の混乱をさけるための免除や猶予は設けてくれるのではないかという希望を個人的には持っていますが。
アロマオイル中のPAHの件、将来的にはタイヤ用途以外のゴム製品などへの影響もあるかもいう噂を以前聞いたのですが、今回の話しでタイヤ用途でもまだ静観中というtodorokiさんの話しも参考となりました。(matsuさんご紹介のRIP3.8中でも、含有率は0.003%以下と見積もっているようですし。)
いずれにしても、今回の結論はREACHに対しては「(情報提供義務に対して)心の準備はしならがらも(リスト公開までは)静観」というスタンスということでしょうか。
今回はいろいろ参考となる有益な情報も得られ、また勉強にもなりましたし、今後とも引き続きよろしくお願いします。(また今後も注視すべき物質などもありましらご教示願います。)
回答に対するお礼・補足
まとめのコメントありがとうございます。
化学物質管理で混乱が起こるのが、どんなものを有害として規制していくかがずれた場合ですが、今度のREACHの場合、化学物質のハザードをデータにより民間が協議して一義的に決められるという前提を置くのでけっこう厄介なことが起こってきていると思います。データを示すのにはお金も時間も手間もかかるのに、取り扱い品が有害だと決めてかかってこられるケースに対しても45日で答える義務があるのですから、何が有害化という点を各国の行政側にきちんと国際整合をとっていただきたいものです。
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