野生動物保護管理について学ぶには
登録日: 2007年07月23日 最終回答日:2007年07月26日 自然環境 野生動植物
No.23849 2007-07-23 11:45:21 haru
私は現在開業の動物病院に勤める獣医師です。小動物臨床に携わって2年目になります。学生の頃から、野生動物の保護に関わりたいと思い、全国にあるいくつかの野生動物保護センターなどで実習やボランティアなどの活動をしてきました。
もともと動物個体を扱える救護に興味があったのですが、野生動物保護の現場を経験するうちに、もっと大事なことがあると気付き始めました。それは、地域の人々の声に耳を傾け、そこに生息する野生動物保護と、住民が共生できるような社会のシステムを作っていくことだということです。
獣医師として、保護に関わることももちろん大切だと考えています。まだ未熟ですが、臨床の知識、技術、感染症のコントロールなどについてはプロとして力を発揮したいと思っています。ですが、それに加えてもっと包括的に、地域再生や、希少野生動物の保護、再導入について勉強したいと思うようになりました。そのためにはやはりアメリカやイギリスなどその分野の先進地へ留学を考えたほうがよいでしょうか。もちろん海外での実践例が、日本で通用するとは限らないことは承知しております。
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Re:野生動物保護管理について学ぶには
2007-07-26 09:44:36 環くん (
haru様がこれからどこのフィールドで活躍したいか、
と言う点がカギだと思います。
日本という国の中で保護計画や保護制度を考えるためには、
日本の法律・社会制度の歴史や現状の知識が不可欠ですが、
当然、海外の大学では日本の制度は全く教えてくれません。
(自力で勉強できるのであれば別ですが)
また、大学へ行ける期間や費用がどのくらいあるのか、ということも、
現実問題として考えておく必要があります。
なるべく短期間に費用を節約して勉強したいのであれば、
国内の大学をお勧めします。
語学習得や生活の基盤を作ることなど、
大学の専攻に直接関係ないことに時間を使わずにすむからです。
全く縁のなかった国に行くと、大学の勉強についていく余裕ができるまでに、
半年から一年くらいはかかることを覚悟しておく必要がありますので。
逆に、活躍の場を日本に限らないし、
勉強の費用も期間も余裕があるのであれば、
海外で勉強するのもよいのではないでしょうか。
その場合は、大学や講座名で選ぶのではなく、
研究者を選ぶことをお勧めします。
日本の大学の多くは講座制で、
教授が替わっても講座のテーマはあまり変わりませんが、
海外では教授が変わると、ガラリと教えるテーマが変わるケースもあります。
教授の移籍に伴い、指導学生も転学する、という例も少なくありませんので。
ついでに言うと、確かにWildlife managementは、
アメリカ・イギリス(とオーストラリア等の英国連邦諸国)が先進地でした。
アメリカはミューアやレオポルドの頃からの長い思想的歴史があり、
イギリスは植民地支配の一環として研究が進んだためです。
しかし今では、オランダ・ドイツ等のEU諸国でも、ユニークな研究をしていますし、
途上国の大学でフィールド研究している研究者も多いですから、
必ずしも英米諸国に限らずとも良いかもしれません。
(まぁ日本人にとっては英語圏の方が楽ですけど)
日本の大学へ行くにしても、海外の大学に行くにしても、
世界中の様々な国の制度や事例を勉強するのはとても良い事だと思います。
比較研究は、科学の最も基本的かつ有用な方法です。
様々な国の事例を比較することで、見えてくるものがたくさんありますから。
長くなって申し訳ありません。ご参考までに。
回答に対するお礼・補足
環くんさま
ありがとうございます。
必ずしも海外に拘らなくてもいいのかもしれませんね。たとえ海外で勉強したとしても、活動の場は日本でありたいと考えています。自分の専門分野以外にも、様々な分野の本を読んだり、野生動物保護の事例について調べるなど、自分でできることもまだまだあると気付きました。
詳しいご回答、ありがとうございました。
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