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環境Q&A

海水の蒸発による大気への熱輸送について 

登録日: 2007年06月07日 最終回答日:2007年06月08日 地球環境 その他(地球環境)

No.22817 2007-06-07 06:16:32 タキンスキー

こどもに質問されて悩んでいます。

大気と海洋間の熱輸送は、大胆な近似をすると、大部分が太陽からの放射による大気から海洋への熱輸送と海水が蒸発する際の潜熱による海洋から大気への熱輸送の和であらわせると本にあります(顕熱輸送や長波放射による熱輸送は上記の熱輸送量と比べると小さいそうです)。こどもに、海水が蒸発するということは海面の水が100度になって沸騰しているということか、と聞かれました。正直答えに悩んでいます。

調べものをした結果、海面のごく薄い層は「クール スキン層」と呼ばれ、下層の海水よりも温度は低いそうです。そんな状況で海水は(とくに寒い地方でも)絶えず蒸発するのでしょうか?

これは、特にに海に限ったことではなく、コップに入れた水を室内にふたをしないで数日間保管すると、水面が減少していることがあります。だれもが、「水が蒸発した」と考えるでしょうが、水が蒸発するということは、液体から気体にかわったわけですから、コップの水面のごく表層の水温は100度近くになっていたということですか?

確かに風呂のお湯は、たかだか40度程度でしょうが、すごい水蒸気が出ています。昔学校で水は100度で沸騰して液体から気体になると習ったので、習ったことが正しいのか疑問にも思います。

物理をしらない私なので、なにかとんでもない間違いをしているに違いないと思います。子供の前で恥をかきたくないので、どなたかご教授していただけますでしょうか?

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No.22819 【A-1】

子供の質問に答えるのは難しい

2007-06-07 08:42:40 今回も匿名で・・・

>海水が蒸発する

だから、蒸発潜熱で

>海面のごく薄い層は「クール スキン層」と呼ばれ、下層の海水よりも温度は低い

と思いますが・・・
(専門家ではないので間違っていたらごめんなさい。)
子供の前で知ったかぶりも良いのですが、「分からないから一緒に調べよう」でも良いと思います。 お子さんの年齢次第ですが・・・

http://www10.plala.or.jp/naruhodokagaku/jugyo/1B05johatu.htm

No.22820 【A-2】

Re:海水の蒸発による大気への熱輸送について

2007-06-07 09:30:50 環くん

お父さん、お互い親は大変ですね〜。

「水は100度でなければ気体になれない」という前提そのものが誤りですね。
正しくは、「水は(1気圧の下で)100度以上になると液体ではいられなくなる」のです。

固体、液体、気体というのは、この順に分子の結びつきがゆるいのです。
エネルギーを得れば、分子はどんどん活発に動くようになり、
固体から液体へ、液体から気体になります。
コップの中の水も液体ですから、分子は絶えず動いていますが、
中心付近の水は、まわりの水圧のために、分子が逃げにくい状態になっています。
しかし表面付近では圧が弱いため、徐々に分子は逃げていきます。

例えが良くないかも知れませんが、
豆の入ったペットボトルを想像してみて下さい。
ぎゅうぎゅうに詰まっていると、振っても豆は動きません。
これが氷の状態です。
しかし少し余裕のある状態にして、ちょっと揺すってやると、中の豆はジワジワと動きます。
また、口からは時々豆がポロポロこぼれます。
コップに入った水はこれと同じ状態なわけです。

では、このペットボトルをものすごい勢いで振ってみましょう。
すると、どんどん豆は外に飛び出てきます。
つまりこれが、外からエネルギーが加えられて分子が勢いよく動いて、
液体でいられなくなってくる、という状態、つまり沸騰している、ということです。

回答に対するお礼・補足

いやあ、お父さん同士、かしこい子供を持つと大変ですな。。。(親バカですな、こうなると)

「環くん」さん、わかりやすい説明本当にありがとうございました。あなただけが説明をしてくれました。

私の先入感では、蒸発=沸騰ということが頭にありましたが、それが間違いの種だったようです。100度未満でも気体になれる分子がいることがよくわかりました。

そうすると、さらに質問が出てきます。。。

分子の「元気度」とも言いましょうか、エネルギーは温度とは関係あると容易にに想像できます(高校でそんなことを習ったのを覚えているので。。。) そうなると結局のところ蒸発量は温度に関係しているということでしょう。

その一方、またまた本で調べ物をしてみたら、海の蒸発量はバルク法という方法で見積もることができ、その方法では、蒸発量は(1)風速と、さらに(2)気温での比湿と海水温での比湿との差、に比例するとありました。 そもそも 比湿とは何なのかを理解していないのですが、とにかく蒸発量を見積もる式のなかに温度が出てこないのが不思議です。これはどのように説明されるべきなのでしょうか? 

また、蒸発量が風速に比例するというのは直感的には納得できますが、そのしくみが(言い方を変えると「なぜ」なのか)わかりません。 ずばり、なぜでしょう??

No.22821 【A-3】

Re:海水の蒸発による大気への熱輸送について

2007-06-07 09:41:12 たる吉

私も全然専門でもなんでもないですが,難しく考えすぎではないでしょうか?
蒸発と沸騰を勘違いされています。

簡単にいうと,水分子にも100度まで待てないやつらがいるということです。

蒸発と沸騰の違い
http://www.tensaiji.net/answer72.html

洗濯物はなぜ乾くのか
http://www.chemistryquestion.jp/situmon/shitumon_koukoukagaku_kagaku31_water_phase_diagram.htm

補足:ヤカンで水を沸騰させると,ヤカンの口のすぐそばは蒸気が見えないところがあります。それが水が100度で気体になった状態です。後の白い分は冷やされて水に戻った状態です。

回答に対するお礼・補足

>>蒸発と沸騰を勘違いされています。

まさにそのとうりのようですね。ご指摘どうもありがとう。

小学校で蒸発と沸騰とはどのように異なるという説明を受けた覚えがなく、実際、私の質問に最初に答えたくれた方(「今回も匿名で」さんの回答を参照してください)のリンクをたどってみても、まさに、

「水は沸騰しないと、気体にならないと思っている生徒がたくさんいますので、常温でも気体になっていることを、身近な例で確認しました。」

というコメントがあります。

おそらく、かなり多くのの生徒(私もその一人)が沸騰と蒸発を区別できないでいる「事実」を考えると、学校がどんな言い訳をしようと、学校での教え方にも問題があったのでしょう。。。 なんて、人のせいにしたらいけないかなあ(笑) 

No.22834 【A-4】

Re:海水の蒸発による大気への熱輸送について

2007-06-08 09:57:54 環くん

どうも。再び登場します。

ま、教科書にはちゃんと「100度で水蒸気になる」ではなく、
「100度で『沸騰』する」と書いてあったとは思いますが、
ここで「沸騰って何?」と疑問に思わなければ、スルーしてしまいますよね・・・

さて、再度ご質問の件ですが、私も物理の専門家ではないので、
「確実にこうだ」と断言はできませんが・・・たぶんこういうことです。

まず、蒸発量(水が気体になる速さや量)には、以下の3つが関係します。
1.水そのものの温度(水温が高いと蒸発しやすい)
2.周りの空気の温度と湿度(冬より夏の方が洗濯物は乾きやすい)
3.圧力(富士山の頂上では約90度で沸騰する)

ここで考えているのは海面なので、ほぼ1気圧で一定ですので、
3の条件はあまり関係ないですね。

では、前後しますが、まず「(2)気温での比湿と海水温での比湿との差」について。
比湿は「一定量の空気中に含まれる水蒸気の質量」のこと。
「空気の比湿が小さい」というのは、日常語(?)で言うと「湿度が低い」ってことです。
要は、上に挙げた1と2の差が大きいほど、蒸発しやすくなるってことですね。
冬場や雨の日は洗濯物が乾きにくい、というのと同じです。

さて次に「(1)風速」です。
水面に近いほど、水蒸気が濃密になり、ほぼ飽和しています。
風によってこの飽和した空気が取り去られ、
新たに湿度の低い大気が水面に触れるようになり、蒸発が促進されます。
当然風が強いほど、この混ぜっ返しが強いのですね。
ただし大気全体の湿度が高すぎると、風が吹いてもあまり蒸発しません。
蒸し暑い夏の日は、扇風機に当たっても涼しくないですもんね。

すみません、この説明が違っていたら、どなたか詳しい方、ご訂正下さい・・・。

あ、あとひとつ補足です。
確かに「温度=分子・原子の運動量=エネルギー」と考えてよいのですが、
固体、液体、気体という三態の変化は、
分子や原子がどれだけ自由に動き回れるか、ということなので、これらとイコールではありません。
同じ温度でも、周りの圧力で動きにくくなったり、動きやすくなったりしますからね。
(これが「富士山の上では90度で沸騰する」ってことですね)

回答に対するお礼・補足

再度、詳しく且つわかりやすい説明、ありがとうございました。


私でもわかるような説明をしていただいたので、私よりカシコイ娘は、すぐに理解することでしょう。このページをプリントして、娘にサッソク渡します。

こころよりお礼申し上げます。

No.22835 【A-5】

Re:海水の蒸発による大気への熱輸送について

2007-06-08 10:30:33 みっちゃん(お手付き二回)

 気が付いた時にはよい回答が出ていたので迷いましたが、質問者の方にはもう少し詳細な回答をご希望なようなのでご参考までに。

http://bbs.com.nifty.com/mes/cf_wrentT_m/FCHEM_B038/wr_type=C/wr_page=5/wr_sq=FCHEM_B038_0000017306

 ここのスレッドをお読みください。

 まだ不十分でしたら、この回答に対する礼でなく回答にお書き下さい。そうでないと気が付きませんので(^_^メ)

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