アスベスト分析
登録日: 2007年05月11日 最終回答日:2007年05月22日 大気環境 その他(大気環境)
No.22492 2007-05-11 02:22:44 MIKI
私は建設会社に勤務しており、クライアントから定性分析費用の見積提出を依頼され、知名度の高い調査機関に確認した所、JISA1481制定以前の価格より安価な機関が有る事が判明致しました。確かに需要と供給のバランスは有るかと思いますが現行のJIS法に沿って分析を行なった場合、以前の厚生労働省通達の分析法と比較した場合、手間と時間が多く必要になると考えます。適正な価格判断が困難な状況です。
実際にJIS法で作業しているのか疑わしく思いますが、分析報告書からJIS法と以前の通達法の判別は可能でしょうか。
又、定性分析費用と定量分析費用を比較した場合定量分析費用が定性分析費用の2倍程度が一般的と思いますがよく理解できません。差し支えない程度でご回答御願いいたします。
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No.22494 【A-1】
Re:アスベスト分析
2007-05-11 16:23:59 きら (
アスベストの分析機関を統括している日本作業環境測定協会というのがあります。
この協会に登録されている機関であれば、ある程度、信頼できると考えてよいでしょう。
日本作業環境測定協会のホームページ
http://www.jawe.or.jp/jigyou/seido-s/ishiwata/index.html
登録機関のリストをPDFで公開しています。
次に、分析報告書からJIS法と以前の通達法の判別についてですが、報告書に測定方法を記入してもらうとか、測定方法のフロー(手順)をつけてもらうぐらいしかないと思います。
定性分析費用と定量分析費用の違いですが、ご承知かと思いますが、アスベストは顕微鏡を使って測定します。
定性分析は、アスベストが何%含まれているのかを測定します。
定量分析は、各アスベストの種類(白・青・茶)ごとに含まれている量を測定しますので、費用が高くなります。
分析機関がきちんと測定しているかどうか心配というのであれば、その機関の分析室や測定状況を見せてもらうということもできます。
相手の事情もあるので、さすがに、いきなり訪問して見せてくださいというのは難しいでしょうが、事前に連絡しておけば、普通の分析機関であれば許可してもらえます。
うちの会社でも測定・分析を行っていますが、2〜3ヶ月に1回はお客さんがラボ視察・見学にきます。
(はやての様にあらわれて、はやての様に去っていくので、予定表には、月光仮面15:00とか書かれています)
以上、ご参考までに
回答に対するお礼・補足
早速のご回答感謝いたします。
No.22596 【A-2】
Re:アスベスト分析
2007-05-17 20:45:36 YASU (
まず,定性分析と定量分析について.
定性分析では,エックス線回折法と顕微鏡法の組み合わせでアスベスト(JIS A1481の場合は,クリソタイル,アモサイト,クロシドライトの三種類に限られます)が含まれているかどうか,含まれているとすればどの種類か?を判定します.濃度の判定はできません.
定量分析では,定性分析で検出されたアスベストの濃度をエックス線回折法を用いて測定します.
JIS制定前には基発第188号,基安化発第0622001という通達文に記載の分析法が用いられていました.基発第188号は,アスベストが1%以上含まれるかどうかを判定するだけの非常に簡易な方法です.基安化発第0622001は,JIS A1481と類似の手法です.基発第188号は0.1%という現在の基準に対応していないので,さすがにこの方法を今でも使っているという検査機関はないと思いますし,あえて基安化発第0622001を使い続ける機関もないのでは?と思います.
また,費用の面で,JIS A1481による分析料金が基発第188号を用いた分析料金よりも安い,というのは考えがたいですが,基安化発第0622001を用いた分析料金よりも少々安い,というのはありえるかもしれません.
回答に対するお礼・補足
ご回答感謝申し上げます。
YASUさんにお尋ねいたしますが、分析結果においてばらつきが有ると良く耳に致しますが同じ分析方法を用いていてもそのような事が起こるのでしょうか。
No.22640 【A-3】
Re:アスベスト分析
2007-05-21 10:43:36 YASU (
顕微鏡観察も含めたアスベスト分析の研修などは行われているようですが、今のところ誰が分析を行ってもいいことになっているようです(シロウトでも分析可能)。
例えば、アスベストを1%含有する検体をAとBの2機関で分析してもらったとします。どちらもJISの手順どおりの分析を保証している機関とします。その場合でも、分析担当者の熟練度や技術によって、機関Aでは「アスベスト含有せず」となり、機関Bでは「アスベスト含有(種類:****)、1.0%)」という全く異なった結果が得られることがあり得ると思います。
なお、JIS A1481では定量に用いる数式が誤っており、このほどようやく正誤表が出されました(http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/JIS/html/jp/errata19/errata0705/jis_a_01481_000_000_2006_cor_2_200705_j_ch.pdf)。JISに記載の式を用いて計算したか、それとも誤りに気づいて正しい式で計算をしていたかによってもばらつくかもしれませんね。
出版されてから1年以上も放ったらかしにされていたことにも、個人的には疑問を感じます。
回答に対するお礼・補足
ご丁寧な回答感謝いたします。
正直な所、驚いています。私のばらつきの認識は定量分析と思っていましたが、定性分析の「アスベスト含有」でばらつきが有るならば大きな問題と思います。
発注者はアスベスト分析報告書を信頼出来るのでしょうか。
No.22662 【A-4】
Re:アスベスト分析
2007-05-22 10:21:29 YASU (
その際、ギ酸で処理する前(100mg)と後の比率 =残渣率が0.15以下に下がらなければ(つまり、溶解後の質量が15mg以下になっていなければ)、定量できないことになっています。理由はよく判りません。A1481には、残渣率が0.15以下にならない場合は溶解条件を検討する必要がある、と記載されています。もちろん、材質によってはなかなか解けませんし、溶解条件によってはアスベストそのものが溶解してしまう可能性もあるので、この条件(残渣率を0.15以下に下げる)は定量分析のネックになります。
この点を除けば、定量分析のための一連の操作はいわゆる「マニュアルどおり」に行うもので、それほど問題になるばらつきが出るとは思えません。
一方、例えば吹付け材を想像していただくと、場所によってアスベスト濃度が濃い所、薄い所があるかもしれないということはご理解いただけると思います。
従って、分析に供する試料を採取する場所が違えば、濃度も若干変わってしまいます。その影響をできるだけ小さくするためにA1481では3箇所から採取し、それらを混ぜて分析するように規定されていますが、それでも測定結果が変わってしまうことはあり得ます。
この様に、定量でもばらつきが発生してしまいますが、それは分析手法の問題というよりも、試料そのもののばらつきが原因です。
> 発注者はアスベスト分析報告書を信頼出来るのでしょうか。
これまでにも書いたように、逐一A1481に従って分析し、目を皿のようにして探しても見えないものは見えないし、必至になって条件を検討しても溶けないものは解けないのです。熟練すればできるようになるのかもしれませんが、「分析担当者が熟練していること」という条件はA1481には規定されていません。それに、通常の分析法は、誰がやってもそのマニュアルに従えばそれなりの結果が出せるように作られるべきものです。
私は、分析機関が「JIS A1481に準じた分析を行った」といっている以上、分析報告書は信頼できると思っており、結果のばらつきはA1481の限界だと考えています。
回答に対するお礼・補足
ご丁寧な説明で、非常に参考になります。
JISA1481も含めて、法制度に問題が有る様に感じました。
No.22663 【A-5】
アスベスト分析の補足
2007-05-22 12:37:34 C.K. (
JIS A 1481の分析方法が規定されましたが、この方法での定量分析はアスベストが5%以下のサンプルについて適用される方法で、5%を超えるサンプルについては基安化発第0821001号により、色々な方法での分析も行ってよいとされています。
また、天然鉱物中に不純物としてアスベストが存在するものもありますが、これについてはJIS A 1481では分析できませんので、基安化発第0828001号で規定されている方法で分析を行います。
アスベストの廃棄の規定では、0.1%以上のものを「アスベスト含有物」として扱うので上記の分析方法が採用されたと思います。
こんなものでよろしいでしょうか?
回答に対するお礼・補足
ご回答有難う御座いました。
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