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環境Q&A

OD法初期運転について 

登録日: 2007年04月02日 最終回答日:2007年04月09日 水・土壌環境 水質汚濁

No.21933 2007-04-02 03:47:16 竜馬

 維持管理を開始して1年程度の新参者ですが、下記の条件で運転に困惑しています。
供用して、1年経過しましたが以下の条件です。
・処理水量   :1,300m3/日(1系列 計画水量)
・流入量    :200m3/日
・反応槽持込DO:3.5mg/l
・反応槽MLSS:350mg/l
・反応槽容積  :1,300m3
・返送汚泥量  :240m3/日(流入比120%)
・余剰汚泥量  :20m3/日
・DOは縦軸型機械式曝気装置を約7分程度の高速(好気)運転と60程度の低速(嫌気)運転を行っています。
・流入水温    :18℃
・流入BOD   :110mg/l
・流入SS    :87mg/l
・流入NH4   :20mg/l
・放流BOD   :13mg/l
・放流SS    :9.6mg/l
・アンモニア性窒素:6mg/l
・NO2     :0.5mg/l
・NO3     :5mg/l
「種汚泥投入」、「凝集剤添加」を考えるべきですが、流入量が増える事は考えにくいので、運転管理費を押さえる意味で現状のDO、返送、余剰の運転で何とか放流水質基準を守りたいです。
 小職が理解している処理場の特徴は、処理施設に対して流入量が少ない状態で、反応槽内の活性汚泥濃度が低く、初期吸着が行われない。未処理SSが放流されている。(終沈のフロックもピンフロックで、SV30も2%程度です。)
無理にMLSSを上げても、活性汚泥分は少なく意味が無いと考えています。

以下の運転としています。
 <DO制御>
 ・高速運転を短くしていますが、自己酸化(終沈に白い帯状の物が浮かない程度)が起きない程度にしています。
 ・高速運転を短くしすぎると、反応槽内の流速が得られずに汚泥が堆積して行きますので、堆積しない程度にしています。(反応槽内の汚泥が堆積しやすい場所に水中ポンプを3台投入しています。投入後10日程度ですので、汚泥が入替わるまでのSRT40日程度まで様子を見ようと思っています。)
 <返送汚泥制御>
 ・反応槽の活性汚泥濃度が低いために、終沈で界面を作る時間が「もったいない」ので、100%返送としています。
 ・沈降性の低いSSですので低部への下降流を起こして、沈降性を上げたい。
 <余剰汚泥制御>
 ・難分解性SSを系外搬出したいので、最低の引抜きとしています。

 供用開始時の「コツ」等、無いものでしょうか^^;)
 (愛の手を。。。。。)

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No.21938 【A-1】

Re:OD法初期運転について

2007-04-02 17:47:09 papa

基本的なやり方は「下水道維持管理指針」に書いてありますので一度ゆっくり読んでみてください。
>・DOは縦軸型機械式曝気装置を約7分程度の高速(好気)運転と60程度の低速(嫌気)運転を行っています。
高速撹拌は一日1回30分程度持続し、汚泥や土砂の堆積を防止する必要があります。溶存酸素濃度が高くなってもかまいません。
>・アンモニア性窒素:6mg/l
>・NO2     :0.5mg/l
>・NO3     :5mg/l
硝化が徐々に進行しているようですので基本は逸脱していません。
>「種汚泥投入」、「凝集剤添加」を考えるべき
考えるべきではありません。立ち上げで水量の少ない時期の種汚泥の投入は解体して流出させるだけの操作になります。凝集剤は汚泥の体積と栄養塩類のバランスを崩すだけです。解体がひどい場合はごく少量の高分子凝集剤を使う方が事後の対応がやりやすいと思います。
>流入量が増える事は考えにくいので、運転管理費を押さえる意味で現状のDO、返送、余剰の運転で何とか放流水質基準を守りたいです。
そのような運転方針を推奨します。
>無理にMLSSを上げても、活性汚泥分は少なく意味が無いと考えています。
同感です。負荷が増えれば汚泥はそれに応じて増えてきますので、BOD/MLSS負荷などは考慮する必要がありません。
>以下の運転としています。
> <DO制御>
DOを制御することは考える必要がありません。
タイマーで4サイクル程度の間欠運転を行えば良いと思います。間欠運転で溶存酸素が検出され、放流水に硝酸態窒素が現状程度検出されていれば基本設定としては間違っていません。供用当初の低速撹拌では嫌気(無酸素)条件を作ることは、負荷がないためほとんど不可能です。低速撹拌を長時間続けることは汚泥の解体を進める以外に何の効果もありません。(表面溶解が無視できません)
MLSSが1000mg/l以上アンモニアが1mg/l以下になる程度までは多少の解体を我慢しながらの運転になります。
> ・高速運転を短くしていますが、
最初に記載したとおり高速運転で酸素供給を調節するという考え方は捨てるべきです。
長くなるので続きは欄をかえます

回答に対するお礼・補足

 回答、有難うございます。

 ご指導頂いた内容は、以下と理解しましたが、間違っていないでしょうか?

 現状の酸素供給は過剰であり、逆にロータを動かす事による解体が発生する可能性が高い。
 よって、表面溶解もありロータだけでの酸素供給は考えない。
 ロータの連続運転は行わずに間欠運転を行う。
1サイクルの時間は放流水質を見ながら停止時間を延長させていき、極力停止時間を長くする。
 汚泥堆積は、高速攪拌により堆積を防止させる。
 この状態をMLSS1000mg/l程度まで継続する。
 
 こうした時に、1点懸念される事があります。
 (維持管理指針にも間欠運転とありますが。。。。。)

 流入量が少ない状況で、ロータを回さないと反応槽内での流速が得られず、溜め池のような状態になり結果、活性汚泥に物理的な偏りが出来て流入下水と接触出来なくなり、放流水質が悪化しないでしょうか?
 バランスが重要で、懸念項目は考える必要は無いのでしょうか?

 お礼をするつもりが、質問してしまい、すみません。

No.21939 【A-2】

Re:OD法初期運転について

2007-04-02 18:02:35 papa

>反応槽内の汚泥が堆積しやすい場所に水中ポンプを3台投入しています。
努力の割には効果の少ない方法ですのでおすすめしません。
> <返送汚泥制御>
> ・反応槽の活性汚泥濃度が低いために、終沈で界面を作る時間が「もったいない」ので、100%返送としています。
返送率は考慮する必要がありません。界面がなければ間欠運転でかまいません。二沈の滞留時間が何日にもわたるので、腐敗浮上が防止できる程度で良いと思います。
沈降性が良くない場合は、曝気装置停止時のOD上澄水が二沈に移流する時間帯に返送を行い沈殿池負荷を最小とする操作も可能です。
> ・沈降性の低いSSですので低部への下降流を起こして、沈降性を上げたい。
ちょっと無理な操作と思います
> <余剰汚泥制御>
> ・難分解性SSを系外搬出したいので、最低の引抜きとしています。
余剰汚泥を引き抜く必要はありません。現在、活性がなくともこれからは無機分の多い活性汚泥の核として有用なものです。

OD立ち上げ運転のお手伝いをさせていただいた経験談です。このやり方で10数カ所を経験しましたが失敗したことはありません。
下水道事業団研修センターの水質担当教官に詳しい方がおられます。一度訪ねてみてください。

回答に対するお礼・補足

 いつも、拝見し勉強させて頂いているpapa氏からの回答に感動しています。
 大変、参考になり有難うございました。

 返送ポンプは現状の運転に意味が無く、ご指導頂いた主旨に従って運転させる事により少しでも運転コスト縮減を行います。
 
 是非、実践してみます。有難うございました。

No.21943 【A-3】

Re:OD法初期運転について

2007-04-02 21:33:34 イニシャル泥

供用から1年経っていますので、供用開始時の「コツ」というよりも、現在の運転状況から考えられる範囲で、今後の運転管理についてコメントいたします。

処理水質ですが、特に高濃度の流入水ではないようですので、OD法における現状のBODやアンモニアの残存濃度は好ましくないレベルにあると思います。
流出しているSS値から見て、BODへの影響はわずかですから、文面から察する限り、自己消化を懸念して少し抑制しすぎている点が最大の原因と思います。

管理する上でのファクターは、曝気制御(ローターの制御)と引抜き制御、返送設定ぐらいでしょうか。

確実にお勧めするのは、papa氏同様、MLSSの引き上げ(余剰引抜き抑制)です。好気時間比との兼ね合いもありますが、供沈効果を考えると、やはり1000mg/L程度は確保すべきでしょう。
ローターの間欠運転は過少負荷の施設ではよく行われていますが、1サイクルの時間とその中での嫌気好気時間比の調整は、管理者ご自身で試行錯誤し、決定すべきだと思います。
返送ですが、BODが残らないくらい酸化を進めれば、よほど終沈で長く滞留しない限り汚泥の腐敗は起きませんので、MLSSをつり上げ、現状の返送率である程度汚泥が滞留するようになったとしても問題ないと思います。また、終沈に少し汚泥が溜まっていたほうが、SSが捕捉されやすくなり、見た目が綺麗になると思います。

回答に対するお礼・補足

 イニシャル泥様 有難うございました。

 お礼に加えて、少し質問させて頂きます。(すみません。理解力が無くて^^;)

>自己消化を懸念して少し抑制しすぎている点が最大の原因と思います。
 「自己硝化を懸念して」とは、酸素供給量を増やす事でしょうか?
 酸素供給量を増やす事は間欠運転と方向性が逆ではないでしょうか?

>終沈に少し汚泥が溜まっていたほうが、SSが捕捉されやすくなり、見た目が綺麗になると思います。
 これは、底部に溜まった汚泥が沈降性の悪いSSを補足する仕組みは池の中でどのようなことが起きてるのですか?
 素人ですみません。

No.21954 【A-4】

Re:OD法初期運転について

2007-04-03 13:26:04 papa

>現状の酸素供給は過剰であり、逆にロータを動かす事による解体が発生する可能性が高い。
供用1年程度と考え、現状の水質とすると、アンモニアが残存していることは酸素供給不足、硝酸態窒素が残存していることは嫌気条件が十分に達成されていないことになります。
>よって、表面溶解もありロータだけでの酸素供給は考えない。ロータの連続運転は行わずに間欠運転を行う。
低速撹拌により微好気状態が持続して嫌気条件が維持できずに解体しているのではないかと思います。
>1サイクルの時間は放流水質を見ながら停止時間を延長させていき、極力停止時間を長くする。
通常は1日4〜6サイクルを考えれば良いと思います。低負荷時は脱窒のための嫌気条件が形成されるのに時間がかかります。4サイクルならば1時間曝気して5時間停止というようなサイクルでしょう。汚泥返送は曝気停止から4時間後くらいから曝気装置起動直前までの間に行うことになると思います。
JS仕様のODは一日あたり高速撹拌12時間で硝化まで含めた計画処理量の酸素供給ができるようになっています。
計画処理量時点でも12時間の嫌気時間(無酸素時間)が確保できるよう設計されています。
>汚泥堆積は、高速攪拌により堆積を防止させる。
その方法が一番確実と思います。
>この状態をMLSS1000mg/l程度まで継続する。
MLSS1000mg/l程度があれば負荷的にもSRTも硝化できるレベルに達しているという意味です。縦軸攪拌機ならば、MLSS3000〜4000mg/l程度が嫌気条件が作りやすいので流入負荷にかかわらずこの程度までは余剰汚泥の引き抜は不要です。
>流入量が少ない状況で、ロータを回さないと反応槽内での流速が得られず、溜め池のような状態になり結果、活性汚泥に物理的な偏りが出来て流入下水と接触出来なくなり、放流水質が悪化しないでしょうか?
池容量が日流入水量の6,5倍もあり、二沈容量も日流入水量の2,5倍程度はあるはずです。
反応時間、沈殿時間は十分にありますので、当面は堆積防止の高速撹拌のみで汚泥と汚水の接触は十分確保できます。
>バランスが重要で、懸念項目は考える必要は無いのでしょうか?
考える必要はないと思います。

No.21955 【A-5】

Re:OD法初期運転について

2007-04-03 13:48:26 papa

イニシャル泥様にフォローしていただき有り難うございました。
>ローターの間欠運転は過少負荷の施設ではよく行われていますが、1サイクルの時間とその中での嫌気好気時間比の調整は、管理者ご自身で試行錯誤し、決定すべきだと思います。
全く同感です。実際の運転条件は管理者が試行錯誤の中でしか獲得できないものですから。最近の風潮は何かしらハウツー的なやり方ばかり聞かれてちょっとうんざりですが、質問者のような取り組みの姿勢はありがたいと思います。
>返送ですが、BODが残らないくらい酸化を進めれば、よほど終沈で長く滞留しない限り汚泥の腐敗は起きませんので、MLSSをつり上げ、現状の返送率である程度汚泥が滞留するようになったとしても問題ないと思います。また、終沈に少し汚泥が溜まっていたほうが、SSが捕捉されやすくなり、見た目が綺麗になると思います。
これにも全く同感。
>酸素供給量を増やす事は間欠運転と方向性が逆ではないでしょうか?
逆ではありません。間欠運転は必要な酸素量確保と脱窒に必要な嫌気条件を形成させるために必要不可欠です。計画処理量となっても間欠運転です。その時点では十分にMLSSと流入負荷がありますので停止時間=嫌気時間と考えて良いのですが、低負荷時、低MLSS時は停止時間>嫌気時間です。
嫌気時間を十分に確保できれば、基質である有機物やアンモニアによる酸素消費がなくなった時点で供給酸素は過剰となるだけのことで、直ちに解体するわけではありません。
>これは、底部に溜まった汚泥が沈降性の悪いSSを補足する仕組みは池の中でどのようなことが起きてるのですか?
硝化細菌が増殖するためには、硝化に関する一連の酵素系の中で鉄や銅といった金属イオンが大きな役割を果たしています。無機化した汚泥でもこういった成分には富んだ組成となっていますので、返送汚泥としてODに戻ったときには活性汚泥形成の重要な役割があります。
また、こういった汚泥は真比重が大きく、活性汚泥中に取り込まれることによって沈降性が良くなります。活性汚泥のできにくい流入水の場合は、珪藻土、パーライトなどの微粉末を添加することさえあります。

No.21956 【A-6】

Re:OD法初期運転について

2007-04-03 14:03:12 papa

ついでに気のついたことですが、
間欠運転時の縦軸曝気装置の起動は高速低速にかかわらずVVVFモードで起動することをおすすめします。MLSS上昇に伴い起動トルクが大きくなって過負荷でトリップするリスクが小さくなります。

No.21974 【A-7】

Re:OD法初期運転について

2007-04-03 23:40:55 風林火山

処理能力1500m3に対し、供用開始から1年たっても80m3しか流入量がなかった超低負荷運転の経験者としてアドバイスをするなら、
@種汚泥は入れない
A余剰汚泥はしばらく引き抜かない
BDOが気になるのならローターを完全水没させる
以上3点です。
種汚泥の投入はpapa様の言われるとおり解体をひどくさせるだけです。余剰汚泥は私の場合日量300m3になるまで一度も引き抜きしませんでした。

縦軸型の曝気機の場合サブマージェンス0で運転していると低速であっても低負荷の場合DOを上げてしまうので、私はローターを完全水没させて空気を取り込まないようにしました。
完全に水没させるには流出ゲート堰を10cmほど閉じることになり、ローターの負荷も大きくなるので高速回転の出力を90%から75%くらいに下げて、トリップをさせないようにした記憶があります。

毎朝、2台高速運転は30分は確保して、あとは4時間サイクルくらいで主機は高速15分と低速15分、補機は低速30分とし残りの時間は2台とも停止して様子を見てはいかがでしょうか。

No.21979 【A-8】

Re:OD法初期運転について

2007-04-04 09:52:49 papa

風林火山様、この話題に参加していただきありがとうございます。
>毎朝、2台高速運転は30分は確保して、あとは4時間サイクルくらいで主機は高速15分と低速15分、補機は低速30分とし残りの時間は2台とも停止して様子を見て・・・

こういうところから始めて、硝化や脱窒の状態を確認しながら調整してゆくというのが普通だと思います。

現在、JS仕様のODは衛生工学の教科書にあるような流路での好気・無酸素のゾーニングはほとんど不可能ですが、完全混合の単槽間欠ばっきと考えて運転すればそれなりの良い結果が得られます。二沈設計がよく配慮されているために、水面積負荷が小さい(浄化槽や集排よりも小さい)こと、水深が確保されていること、ピケットフェンスで汚泥界面以下のガス抜きができることなどを常に記憶に留めておいてほしいと考えています。
T-N 5mg/l以下、T-P 2mg/l以下程度になれば、BOD、SSとも5mg/l以下程度にはなると思います。お手伝いした施設は供用数年でほとんどこのレベルになりました。

回答に対するお礼・補足

お礼が遅れ、失礼しました。
有知識者様の議論を読み、色々と勉強になりました。

ご指導頂いた運転方案に変更して運転してみます。
処理水質向上されてきたら、またご報告させて頂きます。

本当に、有難うございました。

No.22030 【A-9】

Re:OD法初期運転について

2007-04-06 20:19:54 風林火山

「いまさら何を」と思われるかもしれませんが、ちょっと気になることがあるので教えてください。
処理水量1300m3(処理能力のことですよね)に対し、池容量も1300m3と書かれていますが、本当ですか?

 通常、OD法では滞留時間を36時間で設計するはずですので処理能力の1.5倍の約2000m3を池容量とするはずですが・・・

回答に対するお礼・補足

処理能力です。すみませんでした。
書類を再々度確認して、其々のスケールイメージを頭に入れます。(この辺の曖昧な所が、素人なのでしょう。)

色々、本当に勉強になりました。
ご指導頂いた運転方案に変更して行きます。
また、結果が出たら報告します。

No.22054 【A-10】

Re:OD法初期運転について

2007-04-09 17:07:52 papa

ODの標準設計は「小規模下水道計画・設計・維持管理指針と解説」(日本下水道協会)によれば、
設計基準として
HRTは24時間(24〜48hrの範囲内)
最終沈殿地有効水深3.5m、水面積負荷8m3/m2・日
SOR2.1kgO2/kgBOD
となっています。
したがって、特段の事情がない限りODの池容量はHRT24時間で日処理量と同じなので1300m3/日処理なら池容量も1300m3になっていると思います。



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