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環境Q&A

スラッジからの6価クロム溶出 

登録日: 2006年05月20日 最終回答日:2006年05月27日 水・土壌環境 地下水/土壌汚染

No.16609 2006-05-20 02:37:07 鹿田

めっき工場排水処理のスラッジ(脱水汚泥)から6価クロムが溶出し出し、困っております。
めっき製品が、6価クロムから3価に変わってから(まだ全てが3価ではない)溶出され出しました。
クロム排水はイオン交換し、前処理・シアン系・ZnNi合金排水を処理しています。
イオン交換再生廃液は単独で処理し、処理水を他の排水と混ぜています。
原因等わかる方、よろしくご指導お願い致します。

総件数 5 件  page 1/1   

No.16615 【A-1】

Re:スラッジからの6価クロム溶出

2006-05-21 10:54:52 筑波山麓

>めっき工場排水処理のスラッジ(脱水汚泥)から6価クロムが溶出し出し、困っております。
>めっき製品が、6価クロムから3価に変わってから(まだ全てが3価ではない)溶出され出しました。
>クロム排水はイオン交換し、前処理・シアン系・ZnNi合金排水を処理しています。
>イオン交換再生廃液は単独で処理し、処理水を他の排水と混ぜています。
>原因等わかる方、よろしくご指導お願い致します。

あなたは、すべての情報をご存知でしょうが、メッキ工場の排水処理にも、メーカーによって、処理方法、処理フロー、処理装置等いろいろあります。ほぼ、原因は推測できるような気がしますが、それらの基本的な情報を教えていただけないと、適切な回答はできません。

以下の点を教えてください(概略で良いです)。

@排水フローはどうなっていますか。
Aイオン交換は、六価クロム単独除去タイプですか、それとも六価・三価の両クロム除去タイプですか。
B前処理・シアン系・ZnNi合金排水とは、イオン交換処理したものを連続して処理されているのですか。それとも、違いますか。一例として、「クロム系排水、酸・アリカリ系排水、シアン系排水は、個別に処理され、クロム系排水は三価に還元後、シアン系排水はシアン除去後、酸・アリカリ系排水に合わせて、凝集沈殿で処理している。そのスラッジが……」のように書いていただけませんか。
C前処理とは、還元処理ですか。
Dシアン系の処理方法は?、文意から、処理しないでそのまま流しているようにも受け取れます。
EZnNi合金排水の処理は、凝集沈殿処理ですか。文面からは、そのまま流しているようにも受け取れます。

以上です。質問するときは、最低限、適切な回答に必要な情報を与えてください。

回答に対するお礼・補足

説明不足で申し訳ございません。
@B前処理排水(酸・アルカリ排水)は予備pH調整(pH2.0〜3.0)し、pH調整(pH10.5〜11・5)後、凝集沈殿・シアン系排水はアルカリ塩素法後、重亜硫酸ソーダで還元(鉄錯塩対策)し予備pHに合流しています。
イオン交換再生廃液は、シアン処理(アルカリ塩素法)、還元処理(pH2.0〜3.0、重硫酸ソーダでORP230mV)して凝集沈殿後の上澄みをpH調整に合流しています。
Aイオン交換は、6価クロム・3価クロムとも除去しています。
Bイオン交換したものは連続処理していません。
C還元処理ではありません。
Dアルカリ塩素法(次亜塩素酸ソーダを使用)で処理しています。
EZnNi合金排水は単独ラインで、捕集剤を用い凝集沈殿後、放流しています。
※スラッジは、全てを合流した汚泥と、イオン交換再生廃液の汚泥を混合して脱水しています。
脱水後2・3日は、6価クロムの溶出はないのですが、1週間ほど経過すると溶出される事がわかってきました。
よろしくお願い致します。
 

No.16617 【A-2】

Re:スラッジからの6価クロム溶出

2006-05-21 12:15:30 yone

>めっき製品が、6価クロムから3価に変わってから(まだ全てが3価ではない)溶出され出しました。
>クロム排水はイオン交換し、前処理・シアン系・ZnNi合金排水を処理しています。

6価クロムが検出されるのは脱水汚泥だけですか?
排水処理後の6価クロム濃度が高くなっていませんか?

原因として2つが考えられ、「3価クロム」は3価クロメート処理との前提で回答します。
1.3価クロメート処理液にはコバルトが含有されているため、6価クロムの還元処理後の廃液と混合して凝集沈殿処理を行ったり、単独処理後の沈降スラッジを混合して脱水処理すると、排水中の過剰の還元剤が溶存酸素で酸化される時にコバルト水酸化物が過酸化物となって(誘発酸化?)、同時に存在する3価クロム水酸化物を酸化して6価クロムとなります。
3価クロメート処理に完全切り替えがすむまでは、3価クロム排水を硫化物処理してコバルトの触媒能力を失活させてから混合処理すれば、6価クロムへの酸化を防ぐことができます。
2.ニッケルにもコバルトと同様に過酸化物を生成して3価クロムを6価クロムに再酸化します。
3価クロム導入に伴って、6価クロム処理量が減少し、結果的に過剰の還元剤量が減って溶存酸素による酸化が進みやすくなった、と考えられます。

余談ですが、pH調整槽〜沈降槽は休み明けに6価クロム濃度が高くなっていますので、確認の上、処理を行って下さい。

回答に対するお礼・補足

ご回答ありがとうございます。
6価クロムが検出されるのは脱水汚泥だけで、処理後の排水に6価クロムはなく、全クロムもほとんど検出されません。
こちらの3価クロメートの処理としては、イオン交換の再生廃液処理だけですが、6価も含まれているため重亜硫酸ソーダによる還元処理を行っています。
この沈降スラッジを、他の排水の沈降スラッジと一緒に脱水しており、まさにこれが原因なのでしょうか?
ニッケルについては、凝集前で3ppmほど含まれていますが、この濃度でも影響があるものでしょうか?

脱水後2・3日では6価クロムの溶出はなく、1週間ほど経過すると溶出してくる事がわかりました。
排水・脱水時のろ過水のコバルトは0.5mg/l以下、全クロムは0.2mg/l以下でした。
水分以上の6価クロムが溶出するということは、固形化したものからの変化もあることになりますか…

ご回答を参考にもう少し調べてみます。


No.16627 【A-3】

Re:スラッジからの6価クロム溶出

2006-05-22 23:51:23 筑波山麓

早速、排水フローの情報をありがとう。排水フローをまとめてみると、
酸・アルカリ排水→<予備pH調整>→≪pH調整→凝集沈殿処理≫
シアン系排水→『アルカリ塩素法(次亜塩素酸ソーダ)→重亜硫酸ソーダで還元処理』→<予備pH調整>→≪pH調整→凝集沈殿処理≫
イオン交換再生廃液→『アルカリ塩素法(次亜塩素酸ソーダ)→重亜硫酸ソーダで還元処理』→凝集沈殿→上澄み液を→≪pH調整→凝集沈殿処理≫のようになります。

「鹿田」さんの返事、「脱水後2・3日は、六価クロムの溶出はないのですが、1週間ほどすると溶出されることがわかってきました」ということと、「土壌中、泥中、沈殿物中、産業廃棄物中、またはそれら類似物質中に含まれる三価クロムが、アルカリ性下において酸化され、六価クロムになることがある」から、スラッジ中の酸化性物質/酸化性雰囲気が、アルカリ性下において、三価のクロムを六価に酸化していると考えられます。

また、今まではこのような酸化反応は起こっていなかったか、起こっていても測定値となってあらわれないほど微量であったと考えられます。スラッジに酸化性物質が混入する、または酸化性雰囲気になる原因に思い当たることはありませんか。

ちなみに、次亜塩素酸ソーダは強力な酸化剤、重亜硫酸ソーダは強力な還元剤です。

下記は、土壌中の六価クロム測定法である「EPA3060A」の分析方法のURLです。分析方法は、今回の排水処理とは直接関係ありませんが、スラッジのORP値とpH値を測定し、このEPA3060Aの「FIGUR2 Eh/pH PHASE DIAGRAM」図からスラッジの酸化/還元性雰囲気を推測でき、太線Aより上に、ORP−pH値があれば、酸化性雰囲気で「三価クロム→六価クロム」の酸化が生じている可能性があると考えることができます。
http://www.epa.gov/epaoswer/hazwaste/test/pdfs/3060a.pdf
なお、これの邦訳はhttp://www3.ocn.ne.jp/~tukubasa/にあります。

薬剤の種類、使用条件、使用量等のパラメーターとこれらの測定値から、原因の追究、及びスラッジの六価クロム溶出の予防対策をたてることも考えられます。

以上ですが、分からないことがありましたら、ご連絡ください。

回答に対するお礼・補足

ご回答ありがとうございます。
スラッジに酸化性物質が混入することはありません。
強いて挙げるとすれば、予備pH調整の補助として捨てている硝酸廃液でしょうか…
しかし中性以上では、硝酸の酸化力は無くなりますよね。
滞溜時間が長い為、空気が酸化性雰囲気にしている事もあるのでしょうか?
また、重亜硫酸ソーダは酸性では還元剤であるが、アルカリ性では弱い酸化作用があるとも聞きました。
まだ、調べる事がありそうです。

6価クロムの測定法は、私にとっては少し難しいですが、参考にさせていただきます。

ご指導、ありがとうございました。

No.16655 【A-4】

Re:スラッジからの6価クロム溶出

2006-05-24 20:20:20 マッシー・ナナ

記述から推測しますと、処理システムは十分なお金をかけられた施設と思います。しかし、潜在的に汚泥から六価クロムが生じる危険性がありました。今回は一部のクロムメッキ施設を三価クロムメッキ施設に変更したことから、還元される六価クロム量が少なくなり、問題が顕在化したものと考えられます。現時点での解決策は、クロム含有汚泥を別に保管することをお勧めします。厳密には、汚泥の酸化還元雰囲気をORP計で測定して酸化雰囲気の汚泥と還元雰囲気の汚泥を分けて保存するべきと思います。将来的には三価クロムメッキが増えるとさらに危険性が増すことになりますので、出来るならば、上記の解決策をヒントに処理システムに修正を加えてください。具体的な修正法は貴社の処理システム設計者にご相談してください。このQ&Aでは個々の施設上の問題点を列挙する場ではないと思いましたので、申し訳ないのですがこの程度の回答にとどめました。RoHSに対する業界の過剰反応には多くのメッキ業者が苦労されているようですね。ご同情申し上げます。

回答に対するお礼・補足

ご回答ありがとうございます。

汚泥は、酸・アルカリ系・シアン系汚泥と、イオン交換廃液汚泥(クロム含有)とで分かれております。
両方とも、汚泥のpHは10.0で、ORPは0mV以下(排水がそうなので)だと思いますから、還元雰囲気の汚泥という事になりますか…

実際に、ORP計で測定してみます。

No.16694 【A-6】

追加策です。

2006-05-27 00:30:29 マッシー・ナナ

御社のコメントの「酸化還元電位0mv以下」が事実であれば、当方の主張は退けられています。事業場の調査もせずに処理システムに問題があるかのような回答したのは、御社に対して無礼でした。ただ、ORPはPH値によって変化します。PH10では亜鉛白法のORPは0に近づきます。
一般的に、亜鉛白法では、亜鉛を触媒として、PH6-7で最終ORPは700mvから200-300mvへ低下させ、フェリ錯体からフェロに変換しています。これに対して、クロム還元処理時のORPは、PH2-3で-350mvの強還元側です。ですので、私は御社の汚泥は、通常時は弱い酸化状態で、クロムが混合している際は還元状態で生成されていると考え、この結果、両者の汚泥を混合して放置すると、量的に少ないクロム含有汚泥は徐々に酸化雰囲気の汚泥に侵食されて、最終的には六価クロムが生成されると考えた次第です。
また、
3価クロメートの親和性との観点から、御社は、近日中にノーシアンへの移行をも考慮していると判断しましたので、処理施設の改善を図らず、対症療法のみ記述させていただいた次第です。
対策1.が的はずれの場合の追加策を記載します。
2、脱水時、常時、硫酸第一鉄をスラリーに混合する。
3、亜鉛白法の錯体対策時のORP計が強還元状態(ORPがマイナス状態)になるまで亜硫酸ソーダの添加量を増やす。これは試したことはありません。沈殿生成に影響があるかもしれません。
4、イオン交換のクロム再生は外部委託するか別途処理する。
これで、事態が改善されれば良いのですが・・・

回答に対するお礼・補足

とんでもありません。
ご丁寧にありがとうございます。

ノーシアンへの移行は、今のところありません。
環境のために毒物をやめていく方向はのはいいのですけれど、処理の方が難しくなるので困りものです。

硫酸第一鉄か、硫化ソーダを使えばいいようですね。

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