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環境Q&A

GC/MSの感度について 

登録日: 2005年11月22日 最終回答日:2005年11月24日 健康・化学物質 環境ホルモン

No.13496 2005-11-22 01:40:49 taro

HRGC/HRMSでなんですが、測定中、
インジェクションが進むにつれ、測定感度が落ちる傾向があり、
全く再現性がとれず、困っています。

そこで質問です。
こういった場合、原因には何が考えられるでしょうか?
また、この解決方法には何が考えられますか?

知識に乏しいもので、幼稚な質問かもしれませんが
ご回答いただければ大変有難いです。

ちなみに、質量較正にはPFKを用いています。

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No.13500 【A-1】

Re:GC/MSの感度について

2005-11-22 18:44:56 なかよし

>HRGC/HRMSでなんですが、測定中、
>インジェクションが進むにつれ、測定感度が落ちる傾向があり、
>全く再現性がとれず、困っています。
>


分析する対象物質が何であるか不明なので一般論で回答します。

@前処理不十分な試料液をGCへ注入すると、試料導入部のガラスライナーが次第に活性を帯びてきます。つまり、注入した対象物質がガラスライナー等に吸着したり分解したりします。また、ガラスライナーの底部にある金メッキシールも同様な事が起こります。適時、交換が必要です。

A注入された試料はカラムへと導かれますが、カラム自体も徐々に分離能が低下してきます。これは、難揮発性成分などがカラム内に溜まってくる事とカラム液相が昇温温度に耐えられず流出し、カラム母体(フューズドシリカ)が露出する事でカラム活性度に変化が生じた為によります。

BMSのイオン化部については、注入回数が増えるにつれてイオン源が汚れてきますので、当然ながら感度が低下します。注入前には、十分なクリーンアップを行う事が必要です。また、ロックマス(PFK)の強度がどの程度、低下してきているかモニターしながらイオン源交換などの交換時期を検討してみては如何でしょうか?

CMSの温度・真空状態など基本的な設定状態を的確に確認する事も必要です。また、分析室の室温変化によりマスズレも起こりますので、高分解能による分析時には室温変化も要注意です。ロックマスを確認して見て下さい。

回答に対するお礼・補足

迅速かつご丁寧な回答ありがとうございます。
これについては色々と思い当たる節があったので、
今後注意して分析したいと思います。
ただ、実は質問した当初気づかなかったのですが、
どうやら今回、感度が低下していたのはロックマス(標準物質(PFK))のみだったようです。
しかも感度減少が起こるのが、
1サンプルの測定中にじわじわと、ではなくインジェクションが変わる度に少しずつ減少する、ということです。
付け加えますが、分析対象物質はPCBです。
あくまで私の推論ですが、
イオン化電流及びエネルギーを通常(通常はダイオキシンの分析にGC/MSを使用しています)よりも高い値で
、行っていたためではないか、と今は考えています。
何かこういったご経験あれば教えていただきたく存じます。
長々、失礼しました。

No.13501 【A-2】

Re:GC/MSの感度について

2005-11-22 19:38:41 海月

>HRGC/HRMSでなんですが、測定中、
>インジェクションが進むにつれ、測定感度が落ちる傾向があり、
>全く再現性がとれず、困っています。
>
>そこで質問です。
>こういった場合、原因には何が考えられるでしょうか?
>また、この解決方法には何が考えられますか?
>
>知識に乏しいもので、幼稚な質問かもしれませんが
>ご回答いただければ大変有難いです。
>
>ちなみに、質量較正にはPFKを用いています。

なかよしさんの回答に付け加えです。

カラムをメンテナンス(例えばイオン化室側をカット)したときにカットした断面が綺麗に切れていないと切断面がギザギザしてしまい、そのギザギザした部分に試料が付着しやすくなりイオン化室に導入される量が少なくなるために感度低下をおこすこともあります。

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございます。
海月さんのアドバイスについても、
結構、私としては見逃していた点
(当方のカラムエンドを見たら大分ガタガタでした。)なので、
今後の測定感度の向上に役立てたいと思います。
ただ、今回の理由が、なかよし さんへのお礼の
とおりなので、何とも原因が違っているようなのです。
なにか更にアドバイスいただければ幸いです。
よろしくお願いします。

No.13513 【A-3】

Re:GC/MSの感度について

2005-11-24 17:27:56 なかよし

PCBの異性体分析を行っているとの事ですが、全異性体分析を行っているのでしょうか?

PCBを1塩素化から10塩素化まで分析する際、MSの測定条件をグループ分けして分析を行っている事と思います。その時、各グループにPFKのロックマス設定を行っていると思いますが、ピークアジャスト結果が正常な値を示しているか確認する事が重要です。

もう一点は、インジェクション毎に変化するとの事ですが、HRGC/HRMSによっては分析終了直前にイオン源のスリットQ1/Q2レンズを自動的に最適化する装置が有ります。この最適化が少々問題で、最適化時に夾雑ピークなどの成分が出ている時などに実施されると、最適どころか異常な設定値が計算される可能性があります。従って、分析終了後にスリットQ1/Q2レンズの設定値がどのような結果で有ったか確認してみる事が必要となります。

PCB分析では、イオン化電流と電子加速電圧の設定についても注意が必要です。PCBはダイオキシン類と異なり質量範囲がさらに広くなりますので、ロックマスの設定質量数(PFKの強度が比較的大きいもの)をどれにするかによっても異なります。全異性体分析を1回の注入で行う方法も可能ですが、2回に分けて無理なく分析する事も必要かも?

的外れな内容かも知れませんが、参考にして頂ければ!!

回答に対するお礼・補足

更なる回答ありがとうございます。
全然的外れではないです。大変参考にさせていただきました!
まず、PCBの異性体分析ですが、なかよしさんのおっしゃられるとおり、全異性体分析を行っております。
そして、1-10塩素は1度に測ってはおらず、1-3,8-10塩素と4-7塩素に分けて測定を行っているところです。
今日までのところ、ピークアジャストは正常でした。
おそらくQレンズも極端な変化はなかったようです。

それで本日ですが、あまりに不可解だったので、
ダイオキシンの分析(DL-PCB)と同条件で4-7塩素のPCBを測定してみましたところ、当たり前かもしれませんが、測定感度の変化が抑えられるようになりました。当方のダイオキシン分析では、イオン化電流、イオン化エネルギー、イオン化室温などがPCBに比べて、大分低値だったことが相違点として挙げられますが、それが本当に改善の原因かは定かでありません。
この3日間でGC/MSの奥深さをさらに知ることになってしまいました。
原因わかれば、またご報告させていただきます。
今回は様々なアドバイス、ありがとうございました!

またよろしくお願いします。

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