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環境Q&A

塩素殺菌し続けても良いのでしょうか 

登録日: 2002年11月19日 最終回答日:2002年11月21日 水・土壌環境 水質汚濁

No.1255 2002-11-19 18:55:57 風呂桶

12月5日からの県議会で、長野県ではレジオネラ属菌による感染被害者を出さない目的で、12月中に県条例を独自に作ろうとしています(田中知事の号令で)。
特に菌が多く発生し易いとされる“補給水無し循環式浴槽”に限らず、検査の頻度の違いはあれ、塩素殺菌を(オゾン殺菌等もありますが)“循環式”も“かけ流し”も衛生基準の「10CFU未満/100ml」を守らないと、菌検出浴槽の使用中止、菌未検出まで営業自粛(実質的には営業停止)という内容の条例になるようです。
公衆浴場法の対象施設では既に塩素消毒を「1日2時間以上遊離残留塩素濃度0.2〜0.4r/gを保つ」基準で営業していますが、公浴法対象外の“通常の温泉宿・ホテル”も今後“いつ検査をしても”上記の基準を(菌数10CFU未満/100ml)満たさねば成らなくなります。故に、オーバーフローの湯も残留塩素が残ったまま小川や河川に流すことになります(下水道にはオーバーフローと浴槽内の湯は規則で流せません。「排水は環境に影響の出ないよう処理すること」と厚生労働省通知には在りますが、設備的・経済的に全ての事業者には出来かねると思います)。
人体及び小川の水生昆虫・植物・魚、農業用水として残留塩素が環境にに与える影響度は、どの程度でしょうか?
勿論、温泉成分の変質も伴う衛生基準の条例となります。
知事と担当課との話し合いの席で質問したいので、教えて頂きたいのです。
説明不足でしたら、追記いたします。

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No.1267 【A-1】

Re:塩素殺菌し続けても良いのでしょうか

2002-11-21 14:35:09 LP

家庭で使用した生活排水,炊事やシャワー・お風呂などの排水は下水道処理されますが,下水処理場の放流水は次亜塩素酸ソーダにより殺菌されて放流されます。プールの水も同じように殺菌されておりますので入れ替えの際には殺菌能力の高い水が環境に放出されています。

自然に影響がないわけはないと思いますが,ほかに良い方法がありませんのでやむをえないと思います。

それらの放流水の影響からみて少量の温泉の消毒された放流水が及ぼす影響が相対的に大きいとは思えません。

もっとも放流水の中の次亜塩素酸は環境に放出されるとミネラル分などと反応して短時間で別の物質に変化し,殺菌力を失います。

レジオネラ菌の被害については2002年7月の日向市の温泉施設での事件が記憶にあたらしく,住民が公衆衛生を担当する行政に対策を求めるのは当然のことで,県としても実効性のある対策を早急にうたなければいけない責任もあります。

事業者は大衆の指向により経営が左右されますので,安全面よりも価格の安さやみてくれのよさを優先して行動してしまうわれわれ一般大衆にもその責任の一端があると思われます。安くてきれいな感じがすれば実際の安全は気にする人はなかなかいないと思います。

自然に悪いことは一切まかりならないのであれば,私達の生活のほとんどを変えなければならないと思いますが,ある程度環境と共生をはかっていくのであれば今回の長野県の対応はそれほど問題がないように思います。

回答に対するお礼・補足

LPさん、お答えありがとうございます。
「少量の温泉は相対的に見て云々」の部分や、「良い方法がありません云々」の部分で、さらに環境が侵されていくことに矢張り不安を感じます。

温泉地に住む私など、温泉街の小川で蛍を見られる今のこの自然をいつまでも残して欲しいのですが、何十軒ものお宿から塩素水が垂れ流しに成り、清掃時など泡だらけの相当濃度の高い(だろう)汚水が流れ込んでくることを考えると、“蛍を見れるのは今年が最後かな”と思ってしまうのです。

また、皮膚の弱い(アトピーの)方などは“塩素水温泉”には入りづらくなると思うのです。硫黄泉や鉄泉は塩素で明らかに泉質変化を起こします。アルカリ泉はそうとう塩素を入れないと効果が出ません。

「安全性重視」の基準と条例であることは判断できても、
「温泉の泉質と環境保護」の点を考えると利用者として、基準自体、細菌に対する考え方が“どこかおかしくない?”と感じてしまいます。
厚生省(当時)の作った「基準」の元は、アメリカの「上水道」の安全基準が流用されてきているものですから・・・。

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