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環境Q&A

2H2をCO2と反応させ2H2OとCに分解する方法は? 

登録日: 2002年08月25日 最終回答日:2002年08月27日 地球環境 地球温暖化

No.1021 2002-08-25 01:32:04 kazpyon

水素2H2を二酸化炭素CO2と反応させ、水2H2Oと炭素Cに分解する。
というのが以下のページに載っていました。
http://www.shimadzu.co.jp/news/press/000714.html
さて本題ですが、この装置っていうのはすごく大きな施設が必要なのでしょうか?
文系の私にとって「水素2H2を二酸化炭素CO2と反応させ、水2H2Oと炭素Cに分解する。」だけならなんとなく簡単にできそうな気がして・・・。
こういう装置が小さくて簡単なものであれば、太陽光発電で電気作って水素作って、二酸化炭素を分解。

地球温暖化も解決するかなと思ったんですけど。
今までなかったということは大変大掛かりな施設になるからだと思いますが、こういう理由で難しいよというのを教えていただければありがたいです。
よろしくお願いします。

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No.1034 【A-1】

Re:2H2をCO2と反応させ2H2OとCに分解する方法は?

2002-08-27 23:17:40 茨城県 / 平井

 kazpyonさん、こんばんは。

 二酸化炭素の固定化が一般に困難となる理由がリンク先にあります。

「これまで様々な方式の二酸化炭素固定化システムが提唱されてきた。しかし固定化に必要な水素は、固定化反応の過程の外で水の電気分解などにより水素を発生する方法が採られることが多く、多大なエネルギーを消費することから、現在、実用化には至っていない。」

 つまり、「固定化装置の大きさや複雑さ」よりも、「水素を作る」という部分がネックになると思われます。太陽光発電で電気を作り水素を作るのが簡単ならば、固定化装置を使わずとも、火力発電所→太陽光発電とか、ガソリン自動車→燃料電池車と置き換えることでCO2削減ができますものね。

 島津製作所とサッポロビールとの共同開発によるプロセスが例外的に実用となるのは、以下のため。
条件1:メタン発酵によるメタンを用いた安価な水素供給
条件2:固定炭素を高品質原料(電池電極やコピートナー等)として販売

 この条件は、適用範囲を制約します。
<条件1による制約>
 有機廃棄物の分解で出来るCH4とCO2の体積比率は、だいたい1:1。
 リンク先の(1)〜(3)の反応をまとめると、
有機廃棄物->CH4+CO2 -> 2H2 + C + CO2 -> 2H2O + 2C
 これは、固定される炭素は、もともとの有機廃棄物中に含まれる炭素量と同程度ということを意味します。このため、有機廃棄物中の炭素を固定するのが精一杯で、大気中の二酸化炭素や発電所から出る二酸化炭素などの固定までは期待できません。(より多く固定するには、kazpyonさんが書かれたように、何らかの方法で水素を供給することが必要。)

<条件2による制約>
 高品質な炭素原料の需要量は、化石燃料中に含まれる炭素量に比べてかなり少ない。(電池を1人1年100個使ったとしても10kg程度、一方、1人あたり炭素排出量はトン単位。トナーの重さは、コピー用紙の重さより少ない。)

 以上、否定的な書き方になりましたが、適所に用いればそれなりの効果を持つ技術と思います。
「これさえあれば温暖化を解決できる」という技術はなく、いろいろな対策を組み合わせて実施することが必要なのでしょうね。

 以上です。参考にしていただければ幸いです。

回答に対するお礼・補足

平井さん
回答ありがとうございます。
なかなか簡単にいかないものですね。

だから国際的に問題になっているんですよね・・・。

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