環境Q&A

No.8915 【A-1】

Re:21世紀半ばには，地球温暖化による世界の被害額が3040億ドルになるという国連環境計画（UNEP）の試算について

2004-12-30 19:52:56 平井 （

>この被害額についてなのですが，被害を抑制する為に必要な額なのか，それとも被害を受けたときの損害額なのかどちらなのでしょうか？

関連情報を見つけましたのでお知らせします。ただ、どの範囲までを含んでいるかの詳細までは分かりませんでした。
以下、分かった範囲で回答します。

UNEPのホームページに当該情報のプレスリリースがありました。
http://www.unep.org/Documents.Multilingual/Default.asp?DocumentID=192&ArticleID=2758&l=en
記事の中程に、$ 304 billion の内訳（種類×地域）が示されています。

温暖化に関連する費用を、以下の３種類に分けるとします。

A:そもそも温暖化が生じないようにするための対策費用（省エネ投資など, mitigation）
B:温暖化が生じた時点での被害を減らすための対策費用（堤防の構築など, adaptation）
C:温暖化が生じたことによって受ける損失（土地の海面埋没など, damage?）

内訳毎に見ていきます。（憶測です）

Coastal Protection measures →堤防の増築などと推測されます。Bに該当。
Loss of coastal land →水没による土地の喪失なのでCに該当。上の対策とダブルカウントになっているような気もしますが、詳細までは確認できず。
Coastal wetlands including losses to fishing →漁獲量の減少などのようなのでおそらくC
Other ecosystems →B or C タイトルのみでは分類困難。
Agriculture in the EU　→同上。農業でのGHG排出抑制費用を含むならばAの可能性もある。
Forestry　→同上。
Energy industry　→CO2濃度を２倍に抑制するための対策費用ならば、A。冷房需要の増加ならB。水循環が変わって水力発電できなくなるということであればC。詳細な情報がないと判断が難しいです。
Water management　→Bか？
Mortality　→これはおそらくC。ただし医療費の増加であればBも含む？
Air pollution　→？
Emigration　→？
Tropical cyclones　→C or B

以上です。参考になれば幸いです。