一般財団法人環境イノベーション情報機構
テレビ内のちりに含まれるダイオキシンについて
登録日: 2004年10月07日 最終回答日:2004年10月08日 健康・化学物質 ダイオキシン
No.7846 2004-10-07 05:56:32 yoji
テレビにほこりがたまりすぎると火災の危険もあるというので掃除したのですが、最近テレビ内のちりに高濃度の臭素化ダイオキシンが含まれているという事実を知りました。一応窓は開け、掃除機で吸い取った後ウェットティッシュでふき取るという作業をしましたが、マスク等はしていませんでした。果たして健康に影響を与えるような程度の行為だったのでしょうか。ご回答よろしくお願いいたします。
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Re:テレビ内のちりに含まれるダイオキシンについて
2004-10-08 14:39:12 平井 (
今回の作業で摂取した臭素化ダイオキシン類の量を計算して、普段から食事などで摂取しているダイオキシン類の量と比較してみましょう。
結論を先に述べると、1年間の食事からの摂取量の1%以下であり、心配する必要はないと思います。
今回摂取した臭素化ダイオキシン類の量は以下のように計算できます。
摂取量=C×M [pg-TEQ]
C:ホコリ中の臭素化ダイオキシン類の濃度[pg-TEQ/g]
M:1回の作業で吸い込んだホコリの量[g]
それぞれ以下の値を使うことにします。
C テレビケースのほこりのダイオキシン類の濃度は、環境省調査(*)をもとに試算した280 pg-TEQ/gとします。
(*)平成14年度ダイオキシン類の蓄積・曝露状況及び臭素系ダイオキシン類の調査結果について 第4章より。2,3,7,8位置換体の臭素化ダイオキシン類濃度の合計値を採用。毒性等価換算係数は、高めに見積もって全て1とした。
M 決めるのが難しいところですが、かなり多めに見積もって1gとします。角砂糖1個分を粉にしてみると分かりますが、これはかなり多い量です。あるテレビ番組(あるある何とか)によると、普段の生活で吸い込んでいるホコリの量は1.6 mg(0.0016 g)だそうです。また、数年間使用した廃テレビに付着したホコリの総量は2g程度という報告があります。ホコリの半分を吸い込んだとは考えにくく、実際に吸い込まれた量は1gよりずっと少ない(おそらく1/10以下)と思います。
以上を仮定して、ホコリの摂取量を計算すると、
1×280=280 pg-TEQ
となります。
一方、食事からのダイオキシン類の摂取量は、体重1 kgあたり2 pg-TEQ/(kg・日)程度です。体重を50kgとすると、100 pg-TEQ/(kg・日)となります。
以上より、かなり多く見積もった場合でも、今回の掃除で吸い込んだダイオキシン類の量は、普段食事から摂取している量の3日分以下となります。1年間で平均して考えると、食事からの摂取量の1%以下であり、心配する必要はないと思います。
ただし、これからも掃除をするのであれば、ホコリはなるべく吸い込まないようにした方が良いと思います。ダイオキシン類が含まれているか否かに関係なく、のどが痛くなりますし、アレルギーなどの視点から、ホコリを吸い込むのは避けた方が良いと考えるからです。
以上です。参考にして頂ければ幸いです。
回答に対するお礼・補足
平井さん、とても詳しいご返答ありがとうございます。
とても安心致しました。
報道の記事などでは1グラムあたり4・1マイクログラムとかなり単位が大きいので驚いてしまったのですが、2,3,7,8-TCDDに換算するとそれほどの量ではないということなんですね。
作業をしていて風で舞うようなほこりは一部で、多くはブラウン管などにしっかりと張り付いたもので、これを吸ったとは考えにくいので、実際に吸い込んだ量はもっと少ないのかもしれません(恐らく1%未満)。
いずれにしてもおっしゃるとおりテレビに限らず掃除の際はほこりを吸わないようにすべきですね。
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