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環境Q&A

海域の溶存酸素について 

登録日: 2002年05月02日 最終回答日:2002年05月08日 水・土壌環境 水質汚濁

No.720 2002-05-02 09:12:35 安人

 沿岸海域の調査で夏場に溶存酸素が飽和濃度を下回ることがあります。その原因について考察した論文や報告書をご存知でしたら教えて下さい。底層が低酸素状態になることや、表層が植物プランクトンの光合成の影響で過飽和状態になることは理解できます。表層や2m層で飽和濃度を下回るということは汚濁が進んできている兆しかと考えています。

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No.725 【A-1】

Re:海域の溶存酸素について

2002-05-08 16:43:20 東京都 / ちしゃ

WEB上では国土環境(株)ホームページの中に
湾口部が浅くなっている閉鎖性の海湾での特例についての説明があります。http://reuters.metocean.co.jp/eco/news/bcknmbr/column/hinsanso2.htm
http://reuters.metocean.co.jp/eco/news/bcknmbr/column/hinsanso.htm
「閉鎖性の地形にあって、湾奥部に大量の都市下水や汚濁河川水が流入する東京湾・伊勢三河湾・大阪湾などで夏季の底層水が貧酸素化することがよく知られています。しかし、湾口部が浅くなっている閉鎖性の海湾(シル)では特に人為的な影響が強くなくても夏季の底層水が貧酸素ないし無酸素化することがあります。」「水温が上昇すると水中の微生物の働きが活発となって有機物の分解に多くの酸素が消費されるとともに、水中に生活している動物の呼吸速度も高くなることから、水の流動が緩慢な水塊中では、酸素の消費量が供給量を上回るために溶存酸素濃度が低下する現象(貧酸素化)が出現します。」
という情報がありました。

なお一般的な密度成層(表層と底層がまざりあわなくなる状況)形成についての説明としては、

マリン技研
http://www.marin-g.co.jp/product/jet/jet1.html
「閉鎖性の強い水域や海域では、夏期の高温期に水温及び密度成層が形成され、底層の酸素は消費される一方で貧酸素あるいは無酸素状態 となり、水域の汚濁が進行します。」

東京湾の水質−有害物質と有機汚濁
http://infoshako.sk.tsukuba.ac.jp/~toshiw3/Labo/kawabe/waterquality.html
などに説明があります。

表層水で溶存酸素濃度が夏季に低下する現象についてはよくわかりません。測定時間はいつでしょうか。

例えば神奈川県の河川と水 http://www.netpro.ne.jp/~hama/seito/sakuhin2/1_2.htm の説明のように、「表層で藻類が大量に発生していると,昼間は光合成によって溶存酸素が過飽和になり,炭酸ガスが消費されるためにpHが高くなり、夜間は藻類の呼吸によって表層水でも溶存酸素がかなり低くなる」ことがあるという説明があります。

回答に対するお礼・補足

 早速いろいろ教えて頂きまして有難うございました。
測定地点は遠州灘、測定時刻は午前中(7時〜10時頃)です。当海域のDOの環境基準値は7.5mg/lですが、塩分と水温によっては飽和濃度でもこの値に達しないことがあります。
測定結果が飽和濃度を下回ると言っても、大きく下回るのではなく90〜95%程度の値となります。ほとんどの値は過飽和状態で環境基準を満たしています。一般的な傾向として、透明度が10m前後では過飽和状態、透明度が15mを超えると飽和濃度を下回ることが多いのです。植物プランクトンが少なくて透明度が高く、従って、光合成による酸素の供給が少なく、DOが低いということなのか、或いは、潮流の影響で、紹介して頂いた国土環境鰍フHPにあるような「水の流動が少ない水塊」になっているのかなどと考えています。

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