一般財団法人環境イノベーション情報機構
地球温暖化指数の意味合い
登録日: 2002年03月07日 最終回答日:2002年03月15日 地球環境 地球温暖化
No.643 2002-03-07 11:23:27 KM
様々な温室効果ガスの影響をみる目安として、IPCCが報告している「地球温暖化指数(GWP)」があり、一般的に100年の積算期間による指数を使用しているように思います。
その他IPCCでは、20年、100年、500年の積算期間による指数を提示しており、物質の性状や寿命によって増減していますが、どうして一般的に100年の値を使用するのでしょうか?
物質によっては、寿命が何千年や何万年のものもあるため、一概に100年間の積算期間では各物質の相対的な比較ができないように思えるのですが。
乱雑な文章で申し訳ありませんが、これに関して知見がある方教えてください。
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No.657 【A-2】
Re:地球温暖化指数の意味合い
2002-03-15 10:26:19 君山銀針 (
(京都議定書の枠組みは多くの参加国の議論の中で相当な苦労の末に合意されたものですので、これに変更を加えるというのはしばらくは考えられません。)
科学的議論としては、100年値にとらわれなくてもいいと思いますが、科学的な議論とは別に、制度としては当面、ある程度の重みを持って100年値で考えることに決まっていると認識したほうがいいと思います。
No.654 【A-1】
Re:地球温暖化指数の意味合い
2002-03-13 15:59:59 君山銀針 (
当時の議論の一端は
環境省の平成9年8月6日の記者発表資料「AGBM7第3日目(8月4日)の状況」
http://www.env.go.jp/press/press.php3?serial=908
京都会議、COP3報告
国立環境研究所社会環境システム部環境経済研究室研究員
川島 康子
http://www-cger.nies.go.jp/cger-j/c-news/vol8-9/vol8-9-1.html
「GWP(=温暖化指数)が、分解速度の違いなども含め、IPCCでもまだ今後変更される可能性があることである。削減率何パーセントとして国際社会に約束をした後に、GWPが変わると、目標を達成できないおそれがあることから、日本及びEUは、前者3ガス(二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O))のみを今回の議定書の対象とすべきであると主張していた。最終的にはIPCC第2次評価報告書にある100年GWP(ある気体が大気中に放出された100年後の温室効果係数)を用いて、6ガスを対象とすることになった」
などの資料でもうかがうことができます。
分子中に水素を含まないPFC (パーフロロカーボン) やSF6 (6フッ化硫黄) は大気中の寿命が数千年から数万年もあり、20年値<100年値<500年値と 高くなっていきます。
一方、HFC410Aの主成分のHFC32では寿命が5〜6年しかなく、20年値>100年値>500年値となっています。
このように20年値や500年値をとると、影響の差が大きくなるため、中庸をとってまんなかの100年値にしたのではないかと思います。
各物質の20年値 100年値 500年値は
http://www.jal-foundation.or.jp/html/TaikiKansoku/html/a-1_onshitsukokagas.htm
にも掲載されています。
ただし、100年値は短期評価には向いているものの、結局は大気寿命が長く温暖化効果が大きい化合物に過小評価し、大気寿命が短い化合物は過大評価することになる、という指摘(参考 日本機械学会誌 2001.7
地球の温暖化評価と代替化合物
http://www.jsme.or.jp/publish/kaisi/010704t.pdf )は存在しますし、川嶋さんの報告「GWPが、分解速度の違いなども含め、IPCCでもまだ今後変更される可能性がある」という指摘も気になるところです。
回答に対するお礼・補足
君山銀慎針さん、回答ありがとうございます。
現在は、温暖化係数(100年値)が目安としてあるが、係数は今後変化していく可能性も高く、また長期的評価に適していないことから、あまりこの数字に囚われすぎてはいけないということですね。
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