一般財団法人環境イノベーション情報機構

ヘルプ

サイトマップ

メールマガジン配信中

環境Q&A

最確法とメンブランフィルター法について 

登録日: 2003年12月16日 最終回答日:2003年12月16日 水・土壌環境 水質汚濁

No.4292 2003-12-16 01:25:58 Maeda

皆さん、初めまして。 アメリカの環境NPO、Anacoatia Watershed Society (AWS)でお世話になっていますMaeda と申します。 標記の件について質問させてください。

まずは、前置きから説明させてください。 ワシントンDCの東側を流れるAnacostia川で2年間に渡り、糞便性大腸菌の測定をしています。 一昨年は最確法を使いましたが、最確法は精度が悪いため、2年目はメンブランフィルター法を利用しました。 測定法を変更するにあたり、両法の値を比較するため、split test(同じ水を2方法で分析する)を実施しました。 これらのデーターを統計的に処理した結果、両法には約4.6倍の差があることが判りました(最確法の方が高い)。 Standard Method(日本のJISと考えてください)によると、「最確法で得られる結果は、メンブランフィルター法で得られる結果と比較して、統計的に約23%高い値が得られる。」と書かれています。 これからすると、4.6倍の差は、異常に大きいことが解ります。 同書はさらにメンブランフィルター法についての緒言で、「高濃度の大腸菌以外の細菌あるいは毒性の化学物質により、大腸菌数が低めにカウントされることがある。」と述べています。

この異常ともいえる差について、以下の説明をしようと考えています。
1 最確法に内在する問題(値が高めに出る)
2 最確法を用いたとき、各試験管の陽性/陰性の判断が各測定者に依っている問題(経験の浅い人が判断すると、陽性とはいいにくい試験管を陽性と判断するケースがある)
3 Anacostia川のように、汚染度の高い河川水には、大腸菌以外の細菌が多く存在し、これらの細菌が培養中に抗生物質を分泌するため、大腸菌の発育が抑制され、大腸菌数が低くカウントされるケースがある。

前置きが長くなりましたが、質問です。 上記の説明文3は正しい(あるいは考え得る)と言えますでしょうか? 私は微生物を学んだ事がないので自信をもって言えません。 私のプログラムの出資者であるEPAにレポートを提出しなければいけないので困っています。 よろしくご教示ください。

ちなみに、分析は当方ではしておらず、民間の分析機関を利用しています。

Maeda

総件数 2 件  page 1/1   

No.4307 【A-2】

Re:最確法とメンブランフィルター法について2

2003-12-16 20:48:52 とも

メンブラン法は、試料をフィルタで漉す方法ですが、日本では、9cmのフィルターを使います。
9cmのフィルターに、(確か)赤い点々がぽつぽつと出て、数を必死に数えます。
その数が50個前後であるときのデータを試料量から計算して報告します。
ですから、メンブランフィルターを何枚か、試料量を変えてろ過して使うことになります。それは結構な手間です。点々(コロニーといいます)がダブって出たりすることもありました。
分析機関がそれを怠っている可能性はありませんか。
また、そのフィルターは、試料をろ過した後に、寒天が入って固まっている培地の上に置き、または培地を吸収させたパットの上に置き、培養するのですが、最確数の培地より育ちがいいのかはわかりません。
メンブラン法は、試料の量を変えてろ過することができるので、結果的に濃縮ができるというメリットがあります。転じて、あまり汚くない水に採用されることが多いようです。

抗生物質については、知識がありません。
大腸菌が抗生物質に弱いなら、最確数法にも同じ挙動を示す可能性はありませんか。

勝手な記述をいたしましたが、
私なら、クロスチェック(同じ分析を複数の業者に頼むこと)を他の分析センターに頼んで値の信頼性を確認すると思います。
言うだけ言ってすみませんが、
なにぶん、素人ですので、確認してください。
よいレポートができること、お祈りしております。
>

回答に対するお礼・補足

早速、ご丁寧にご回答いただきありがとうございます。

>メンブランフィルターを何枚か、試料量を変えてろ過し
>て使うことになります。それは結構な手間です。点々(コ
>ロニーといいます)がダブって出たりすることもありま
>した。
>分析機関がそれを怠っている可能性はありませんか。
可能性は、十分あります。 ただ、驚いたことに、私の近辺でメンブランフィルター法で測定できる分析機関が1機関しかなく、需要と供給の関係で弱い立場にあるため、聞き質すことができないでいます。 一度試験機関なりの意見を求めたのですが、まったく頓珍漢な返答か返ってきたためそれ以上聞くのをあきらめてしまいました。 Proficiency Testというのがありまして、既知の大腸菌数の試料(といっても生き物ですので、ある程度のばらつきはあります)を分析機関に分析させ、その分析精度を測ることもしたのですが、結果は問題無しでした。 ただ、このtestの問題点は、試験水がきれいな水であることだと思います。 つまり多少の経験があれば誰でもきれいな結果を出せる試験水なのだと思います。

>抗生物質については、知識がありません。
>大腸菌が抗生物質に弱いなら、最確数法にも同じ挙動を
>示す可能性はありませんか。
ネット上で収集した情報に依りますと、かびなどの移動できない細菌類が抗生物質を分泌するようです。 想像するに、最確法ではかびが固着しにくいため発芽(萌芽?)がメンブラン法に比べ遅れると思います。 従って抗生物質による影響は、メンブラン法で顕著になるのではないかと考えました。 ただ、私は化学系の人間なので、やはりこの推測にも”自信が持てない”でいます。

No.4306 【A-1】

Re:最確法とメンブランフィルター法について

2003-12-16 20:32:17 とも

はじめまして。
まず、お断りしておきますが、私は微生物はおろか、生物学に関しても、素人に近いです。
仕事が、環境分析なので、その項目の大腸菌等が私の担当であるということもあり、独学で勉強したのです。
ですから、信頼性には欠けると思いますが、わたしなら、こう考える、ということを書かせていただきます。

最確数法というものは(日本では確か)LB培地というものを使います。ラクトースブロス、というのだったと思いますが、その成分は、(調べられるとわかりますが)栄養の塊です。
JISで記述があるのですが、[貧栄養下での大腸菌の培養は、生理食塩水でなく、りん酸緩衝液を用いる]云々
お気づきのように、生理食塩水よりりん酸緩衝液、よりLB培地、の方が、より微生物が繁殖しやすいと思います。
その川がどのくらいの汚さかわかりませんが、栄養が十分でなかったら、最確数法が高く出る可能性はあります。
また、試験管の中の小さな管(ダーラム管)に気泡がたまる、という判別方法ですので、分析精度にあまり個人差はないと思います。

回答に対するお礼・補足

ご回答ありがとうございました。
一度、培地の違いも見てみようと思います。

私は、一般大腸菌を最確法で測定したことがあるのですが(といっても、私の担当ではなく、忙しい時期に他の人を助けただけ)、「これば微生物により生じたのでは ないのではないか。」という気泡がときどきありました。 生物系の上司に尋ねたところ、「これはカウントすべきでない。」というケースがありました。 ただ、そのカウントの個人誤差が、どれぐらい結果に反映するか、調べたことはありません。

総件数 2 件  page 1/1