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環境Q&A

活性汚泥の初期吸着による消臭効果 

登録日: 2012年09月07日 最終回答日:2012年09月15日 水・土壌環境 水質汚濁

No.38693 2012-09-07 17:02:43 ZWldb37 としくん

 私は現在、下水処理場(OD法)の運転管理を行っています。
つい先日、余剰汚泥の引抜量を間違えて、通常の5倍の量を抜いてしまいました。そのため濃縮槽から余剰汚泥が溢れ、流入ポンプ井に返っていってる状態でした。その時に気づいたのですが、ポンプ井はいつもアンモニア臭がするのに余剰汚泥が混ざった流入水は、全くと言っていいほど臭いがありませんでした。
 
 このことについて自分なりに調べてみたのですが、硫化水素については、「汚泥の初期吸着によりBODが急激に減少するため、嫌気化が抑制され硫化水素の発生も抑えられる」との報告を見つけ、これについては納得できたのですが、アンモニアについてはphが影響すること以外探すことができませんでした。
 明らかに臭気が減っているので、錯覚や思い込みではないように自分では思うのですが、アンモニアについても汚泥の初期吸着により脱臭されるのでしょうか?もし、このような効果があるとすれば、原理も教えていただけると嬉しいです。

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No.38712 【A-4】

Re:活性汚泥の初期吸着による消臭効果

2012-09-15 22:10:58 風林火山 (ZWl8e32

 過去の質問「農集の立ち上げ方法」http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=36247 では工事専門で管理については素人同然のように自己紹介されていましたが、別の質問「汚泥界面」http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=38422 では回分式の施設管理、そして今回はOD法の施設管理と今は管理部門に転属されたのでしょうか。
 そうであるなら僅かな期間で今回のような疑問が湧くということはかなり勉強されたのでしょう。観察力もなかなかするどいと思います。

 私の管理する処理場(OD)では供用開始後しばらくは圧送管への過剰な空気注入により管内で硝化が起こり流入水のアンモニア濃度が低かったという経験はありますが流入ポンプ井が無いので(完全圧送型で小さな着水井があるだけ)質問のような経験がありません。
ですから明快な回答は出来ませんがスペシャリストのお二人が言われているので間違いはないでしょう。
 なお、今回は偶然でしたが(浄化槽での循環も偶然から始まった)今後、消臭の為にわざとオーバーフローさせて流入ポンプ井に汚泥を戻すことはあまりしない方がよいとだけアドバイスしておきます。

 >うちの町の小規模下水道はみんな重力濃縮みたいでどこも濃度が1%くらいまでしか濃縮しないようです。

 そうでもないですよ。いくつかの条件は必要でしょうが2〜2.5%前後に濃縮しているところは私のところも含めて結構あります。papa様の言われるように夏場はちょっときついですが。

 最後に気になっていたことを一つ。農集は無事立ち上がったのでしょうか?

回答に対するお礼・補足

こんばんわ。
農集の件、見てもらったんですね。あの時はpapaさんに回答頂いた4日後から試運転する予定だったのですが、事情により工期が伸びてしまって、結局立ち上げしたのは1ヶ月後になってしまいした。papaさんのアドバスに従い運転してみたところ、最初3日くらいは透視度が30cmくらいだったのが、その後急に良くなってきて、役所の水質検査ではBOD0.6mg/lで、十分性能を満たしていました。
 このサイトでアドバイス頂いた方に報告を。と思ったのですが、予定より時間があいた事や、質問サイトで結果報告も変かなと思って、結局報告できずでした。

 その4月から維持管理に移動になりまして、最初は接触バッキと連続流入間欠バッキの処理場を週に2回、後の日は中継ポンプの管理といった仕事でした。今年の春に回分式に変わったのですが、そこは週に2回の点検ですので、7月からその他の日にODも見るようになりました。
 連間では汚泥界面を水面基準で計っていたのですが、回分でも同じでいいのかな?と思ったのが2度目の質問です。
 汚泥界面の測定方法について調べたのですが、以外に測定方法が載ってる書物が見つからなかったもので、基礎的な質問すぎるのでいろんな方にお叱りを受けるのかなと思いつつ、このサイトで質問させて頂きました。
 前回のことがあったので、「papaさん回答してくれないかなっ」思ってたところに、また適切なアドバイス頂いたって感じです。
 
 このような経過があったので、困ったときには「このサイトまた利用しようっ」て思って、今回の質問をしました。
 このサイトの色々な質疑応答を見ていると、ある程度自分で調べてから質問しないと、「叩かれるっ」てイメージあるので、回答者から見ればレベルの低い質問にみえても、自分なりに調べてから質問していること、ご理解ください。

 濃縮槽の汚泥濃度の件ですが、連間の施設(他の町)では、実験的に3日濃縮させたら3%くらいになったことがあるので、多分、時間を置けば濃度の濃い汚泥になるんだなとは思いますが、今の市ではタイマーで数時間に1回のいペースで、こまめに余剰を引いているので濃くならないのだと思います。ただこの時期、あまり滞留時間を長くすると腐敗するかなと思って、こまめに抜くようにしています。濃縮槽の管理や沈殿池での濃縮については、もっと効率よい運転ができるか研究してみようと思います。

No.38709 【A-3】

Re:活性汚泥の初期吸着による消臭効果

2012-09-14 18:16:27 papa (ZWlbd18

>「初期吸着(と言われる現象)によりBODが低下し・・・・・」、 
masshi様のご回答のとうり、吸着という用語が意味不明の使われ方をしています。硫化水素を基質とする細菌類も活性汚泥に含まれています。
返送汚泥と流入水を混合してしばらく放置してそのままろ過すればろ液のBODはほぼ処理水レベルになっています。
吸着というより細胞内のエネルギー代謝で基質が細胞内へ能動輸送されていると考えるほうが理解しやすいと思います。その証拠に無機りん酸イオンが嫌気ゾーンでは汚泥から吐き出されてきます。業界用語としては吸着でも構わないのですが、生化学的にもう少しわかりやすく表現できたら多くの人にわかりやすい水処理の仕組みになるのではないかと思います。

最終沈殿地での濃縮操作では夏季でも1.5%くらい、冬季なら2%近い余剰汚泥が作れます。そのまま脱水が可能です。いくつかの処理場でお勧めしてやってもらったことがありますが、いすれもご好評いただきました。ODの最終沈殿地にはピケットフェンスもあってほとんど重力濃縮槽と同じ池構造だからできることです。(JS仕様の処理場に限りますが)

回答に対するお礼・補足

お礼遅くなりました。アドバイスありがとうございます。
これから自分なりに維持管理の勉強していこうと思います!

過去にも質問したことがありまして、papaさんから回答頂き大変ありがたく思っています。私がこのサイトを見ることは、もうないです。が、これからの活躍願って
います!
 ホントにありがとうございました。

No.38706 【A-2】

Re:活性汚泥の初期吸着による消臭効果

2012-09-13 17:50:27 papa (ZWlbd18

失礼かとは思いましたが、mashi-nana様のご回答を待っておりました。
私の回答も全く同じですので、大変心強く思います。
初期吸着という呼称に疑問を投げかけられていますが、全く同感でして吸着というより処理が既に始まっていると考えるべきと思います。

浄化槽を含むし尿処理では返送汚泥の一部を受槽へ流入させるというような操作も行われているところがあります。合併浄化槽でも常時返送タイプですと同じような効果があると思われ、臭気対策としては実質的にはかなり普及していると思います。

余剰汚泥を濃縮槽へ引き抜いてオーバーフローしたとのことですが、ODの余剰汚泥を濃縮槽で重力濃縮することはかなり無理があります。汚泥引き抜きの半日くらい前に返送汚泥ポンプを手動停止して最終沈殿池に汚泥をためて濃縮したほうが効果的です。ここ十年ほどのJS仕様のODなら濃縮槽バイパスで直接貯留槽へ流入できる配管がある処理場がかなりあると思います。(但しこの操作は脱窒がうまくいってる処理場に限りますが)

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございます。

浄化槽の分野では、この方法による脱臭が結構普及してるのは知りませんでした。やっぱり消臭効果があるんですね!
 うちの町の小規模下水道はみんな重力濃縮みたいで、たしかにどこも濃度が1%くらいまでしか濃縮しないようです。アドバイスいただいた、沈殿池での濃縮も近いうち試してみようと思います。
 あと、追加質問するようで申し訳ないのですが、硫化水素が減少する原理については私が調べたように、「初期吸着(と言われる現象)によりBODが低下し・・・・・」で、概ね合っているのでしょうか?

No.38703 【A-1】

Re:活性汚泥の初期吸着による消臭効果

2012-09-13 08:28:06 mashi-nana (ZWlba51

最近、回答者が減ったのは、何か訳でもあるのでしょうか?♪  ♪
・・・
 OD余剰汚泥なので、硝化が完了し、DOも高いと思います。アンモニアイオンは、流入水が余剰汚泥と混ざった段階で硝化してしまったのではないでしょうか。
 蛇足かもしれませんが、余剰汚泥を引き抜きすぎると、OD内で脱窒が難しくなるかもしれません。
 混合実験を行い、試験紙で良いので、アンモニアイオン、亜硝酸イオン、硝酸イオンを計ってみてください。
 なお、初期吸着ですが、物理化学的な吸着の概念ではなく、生物学的な要素を含んだ曖昧な言葉です。活性汚泥法の初期吸着という用語がモディワイドエアレーション法などを理解する上で活用されてきた歴史的な経緯を考えるとき、この場合にまで広げて使用して良いのかいささか疑問です。

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございます。
 
早速、パックテストでアンモニアを測定してみました。結果、余剰汚泥混合前の流入水のアンモニア性窒素が真っ青(かなり濃い青)だったのに対し、余剰汚泥混合後のそれは、濃さが半分くらいになっていました。
 
 この結果から見ると言われたとおり、ポンプ井の中ですでに処理が始まっていると考えていいのかなと思います。アンモニア臭が減少する理由がよく分かりました。また、ポンプ井での流入水滞留時間が10分程度しかないのに加え、曝気もしてないのに硝化が進むことにちょっと驚きです!
 初期吸着の言葉の語源等については、また調べてみようと思います!

 

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