硝酸−硫酸による堆積物中の有機物分解について
登録日: 2009年12月24日 最終回答日:2010年01月03日 水・土壌環境 地下水/土壌汚染
No.33910 2009-12-24 13:07:45 ZWlcf50 NN
課題研究において、堆積物中のヒ素濃度の測定を行っています。
泥炭や腐植など有機物を多く含む試料のため、前処理としてJISK0102に従い硝酸−硫酸で分解をしています。
ここで質問が2つあります。
1.二酸化窒素の褐色の煙が出なくなり、硫酸の白煙が発生するまで加熱した時、溶液は何色になっているでしょうか。
以前の実験では、透明〜黄色だったのですが、今回はややにごった褐色になりました。(加熱が足りない、または試薬が足りていないのでしょうか?)
2.試料1g、硝酸5ml、硫酸4mlの場合、加熱時間はどれくらいになるでしょうか。様々かと思いますが、自分の場合はこれくらい、というのを教えていただきたいです。
よろしくお願い致します。
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No.33942 【A-5】
Re:硝酸−硫酸による堆積物中の有機物分解について
2010-01-03 22:56:08 たそがれ (ZWla61d
試料の採取量等について
私は、1g以上が妥当だと思います。著しく均質な試料であり分解が困難な材料分析、あるいはスラグの分解等は0.1〜0.5gということもありますが、偏りを防ぐためにはもう少し採取する必要があると考えます。底質調査方法等、ほとんどそうです。
参考までに肥料等試験法のURLを載せましたので、砒素のところを見てください。ビーカーの形状、試料採取量、硫酸の量等が参考になります。(この方法は加熱温度が高すぎると思いますが)
http://www.famic.go.jp/ffis/fert/bunseki/sub9_shiken2009.html
ちなみに報告下限値も考える必要がありますよ。
たとえば、0.002mg/L未満は定量できない機器だとしたら・・・
1gを分解し50m定容にした場合0.1mg/kg未満は数字にできません。
採取量が少なくなるとこの報告下限値も大きな値になってしまいます。
再度、分解温度について
硝酸の沸点は120℃程度なので蒸発するまでホットプレートの温度は150℃程度でもいいでしょう。土壌はシリカを含みますので温度を上げすぎると突沸の恐れがあります。(硫酸のみになると通常、安全です。)
硝酸が蒸発した後ホットプレートの温度を上げると160℃くらいから微かに硫酸白煙が出始めます。したがって、今までの150℃では白煙は出ていないはずです。また、硫酸を4mL加えて分解後5mLでは硝酸が残っており何をしても温度は上がりません。A-4でいう硝酸のみの煮込み、という意味です。
更に機器は水素化物発生原子吸光だと思いますが硝酸が少しでも残っていると大変な負の妨害になります。
追記
参考書籍としては日本規格協会発行の「詳解 工場排水試験方法」があります。JIS K0102とその解説が詳しく載っていますので今後、分析とお付き合いしていくのでしたら入手をお勧めします。
No.33937 【A-4】
足しになるか。どうか?
2009-12-30 00:48:02 火鼠 (ZWl8329
ただ、色々な職人芸にあって、おもしろいな〜って事は教えてもらいました。
150度の熱板で、普通のビーカ?
オデンの煮込み状態では??長く煮込むと硝酸だけが逃げるとか?
金属分解に硫酸を使うということは、その金属が硫酸を使ってもいいんですよね?
砒素は、酸化性状態ならどっかいかないんですよね?
熱硫酸には酸化力がでるから、真っ黒がなくなるのでは?
今のビーカでは、分解ではなく煮込みです。硝酸の酸化力に頼ってます
乾溜のホントは、時計皿ちょっと下で白煙は消えます
この状態なら、硝酸はぬけません。
乾溜させれば、その酸量で充分なんでしょう。でも、煮込んでるだけだから、褐色かも?硫酸と、硝酸の沸点みなおしてみたらどうでしょう
補足
論点はずしてました。
沸点以上は、見えません。沸点ちょっと下だから、蒸気それが。=白煙 なんでわからん?相手は硫酸の蒸気だよ?手入れたら溶けるよ??
訂正
古い分析屋は、試料の分解にトールビーカを使ってました。標準ビーカは、試薬を溶かすためのビーカでした。
温度分布が違い過ぎます。
温度の分布が分解の早さと、酸の消費量を変えるんです
No.33932 【A-3】
意味はずしてるかも?
2009-12-28 18:39:53 火鼠 (ZWl8329
試料1gって多くないですか?
その容器の大きさは?
たとえば、トールビーカ(時計皿付き)で加熱すると、上のほうで還溜が起きて、硫酸白煙が戻りませんか?上で白煙が壁面に付着して戻る。また、上部は白煙がたまる。これは、熱板温度と、ビーカーの高さが大切になります。さらに、ビーカの底の形状により、部分的に乾固が起きると、ちと、あぶない。底の真ん中が上がっているようなビーカは乾固しやすい。硫酸4mlでは、200mlのトールビーカは使用しないでしょうから、熱板の大きさと温度はどんなもんでしょ?
たしか?砒素は、分解温度条件と、加熱条件JIS内にかなり詳しく書いてないでしょうか?
褐色に濁るとは、分解不十分もあると思いますが、希土類いっぱいなんて、時もあるかも?
砒素は、感度の良い元素だと思いますので、なるべく少ない採取量のほうが、コストパフォーマンスは良いのではないでしょうか?
回答に対するお礼・補足
回答ありがとうございます。
ビーカーは50mlか100mlのグリフィンビーカーです。熱板は約150℃で大きさは40×30cmくらいです。
乾固しないように、液量5mlくらいで加熱を止めていますが、底の真ん中が上がっているビーカーがあるか、気をつけます。
JISの情報は知りませんでした。JIS検索を使っているのですが、まだ分解温度条件などが見つかっていないので、また探してみます。
分解を続けたら色が変わってきたので、希土類いっぱいではないと良いなと思っています…。
試料1gが多いというのは、私もちょっと思っていたので、やはり検討しなおしてみようと思います。コスト面もありますが、時間がかかってしまうのが、少し気になっています。
最後に、初歩的なことかもしれませんが、
>たとえば、トールビーカ(時計皿付き)で加熱すると、上のほうで還溜が起きて、硫酸白煙が戻りませんか?上で白煙が壁面に付着して戻る。また、上部は白煙がたまる。
この部分は何が問題点なのでしょうか。上のほうだけで還溜がおきてしまうということでしょうか。
よろしければ、再度回答いただけると、とてもありがたく思います。よろしくお願い致します。
No.33924 【A-2】
Re:硝酸−硫酸による堆積物中の有機物分解について
2009-12-27 06:42:53 たそがれ (ZWla61d
炭化して黒くなったものでも更に硝酸を添加して加熱を続けると有機物はきれいに分解されますが、揮散している恐れがあるので絶対だめです。分解困難な試料は炭化の過程でこげたような色に変わってきますがこの辺で再度硝酸を添加するのが妥当です。
泥炭等を含む、ということはベースは土壌ですよね。
水試料や下水汚泥は有機物さえ分解されてしまえば100%近く砒素は回収されますが、土壌試料だと場合によってはそうはいきません。
私の経験でも文献レベルでも硫酸の温度を上げることによる揮散のリスクより上げないことによる回収されないリスクの方が高いです。
ただし、硫酸は300℃以上までいってしまいますのでホットプレートの温度は200℃以上くらいにするのが適当でしょう。
時計皿をしないと酸は還流より蒸発が多くなり非効率です。硝酸が入っている時くらいはかぶせるのがよいでしょう。
分析の妥当性確認について
一定濃度の標準溶液を添加した試料と添加しない試料について同様な一連の操作をして、添加標準の回収率を確認する方法(添加回収試験)があります。
ただ、試料からの溶出が不十分でも添加標準のみが回収される恐れもありますが、回収率が100%から遠いと一連の操作のどこかがおかしい、ということになります。
回答に対するお礼・補足
再びのご回答ありがとうございます。…必死さが伝わってしまったようです。
>試料や下水汚泥は有機物さえ分解されてしまえば100%近く砒素は回収されますが、土壌試料だと場合によってはそうはいきません。
土壌ベースのものが多いです。鉱物の内部構造と結合している場合とかでしょうか。
ホットプレートの温度ですが、回答いただいたものよりだいぶ低い設定でした。沸騰しない程度で調節し、150℃くらいかなと思ったのですが、これではあまり回収率が良くないかもしれないのですね。
時計皿は硫酸白煙が出ても少しずらして掛けたままでした。なので液量が減るまで2、3日加熱することもありました。これは長いのではないかと不安です。
添加回収試験、知りませんでした。年明けにやってみます。
分析は、方法として文章に書いてあること以外のことを知らなければ上手くいかないんだなと痛感しています。貴重なご意見ありがとうございました。
No.33915 【A-1】
Re:硝酸−硫酸による堆積物中の有機物分解について
2009-12-24 22:52:27 たそがれ (ZWla61d
水試料ではないので底質調査方法等を参考にしたほうがよいでしょう。
>1.二酸化窒素の褐色の煙が出なくなり、硫酸の白煙が発生するまで加熱した時、溶液は何色になっているでしょうか。
>以前の実験では、透明〜黄色だったのですが、今回はややにごった褐色になりました。(加熱が足りない、または試薬が足りていないのでしょうか?)
実際見ないと判断が難しいですが通常、分解されると明るい色になります。硫酸白煙が出ていれば加熱が足りない、ということはないでしょう。酸が足りないため分解されていない可能性があります。
硝酸、硫酸分解では分解しきれず有機物に負けてしまうと黒く炭化してしまいます。あまり炭化させると砒素は揮散してしまいますが、その過程でこんな色になることがあります。
>2.試料1g、硝酸5ml、硫酸4mlの場合、加熱時間はどれくらいになるでしょうか。様々かと思いますが、自分の場合はこれくらい、というのを教えていただきたいです。
あえて答えません。ホットプレートの温度にもよりますし時計皿の掛け具合でも大きく変わってきます。
注意が必要なのは、有機物が分解されれば砒素がすべて酸に滲出されるとは限らないことです。硝酸での還流、硫酸での加熱時間等すべて重要です。
底質調査方法や肥料等試験法といった固形試料の分解方法が参考になる、というのはそういう意味です。
回答に対するお礼・補足
早速のご回答ありがとうございます。
1.酸を加えて加熱を続けたら、以前と同じような明るい色になってきました。しかし、1試料真っ黒になったものがあり、これが炭化してしまったということなのでしょう…。失敗しました。
2.難しいです。あまり長時間だと、ヒ素が揮酸する量が多いとかあるのかなと思うのですが、どうでしょうか。時計皿の掛け具合は全く気にしていませんでした。やはり化学実験自体の勉強をしてみようと思います。実は硫酸白煙と湯気の判断に自信がありません。
確かに、固形試料ですし、底質調査法を参考にするべきでした。しかし、過塩素酸を使用したくないので、この手順を抜いて実験してみようと思います。
手探り状態の実験の中で、ひとつ正しい方向が得られたので、とても安心というか嬉しいです。お答えありがとうございました。
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