深層曝気と窒素の過飽和と気泡化について
登録日: 2009年07月16日 最終回答日:2009年07月20日 水・土壌環境 その他(水・土壌環境)
No.32817 2009-07-16 15:11:59 ZWlc861 mmas
経験豊富な皆様にご意見頂戴したく質問させて頂きます。
早速ですが、深層曝気の私の理解としては以下の通りです。
曝気水深が深くなるにつれ、その水圧のために気体の溶解量が増加していく。すなわち気体の溶解効率は増加していく。
深層曝気の欠点として、過飽和となった窒素が気泡として汚泥に付着し、沈殿槽等で汚泥の沈降性が悪くなる。そのため、脱気槽を設ける等の対策が必要な場合がある。
また過飽和状態とは、ある圧力においてその気体(単体または混合)を溶解させた限界量以上が溶解している状態を言う。
上記について、まずは間違いは無いでしょうか?
これらを踏まえ、
例えば、一般的な曝気水深の5mでも、底部は大気圧のおよそ1.5倍の圧力となり、窒素に関しては単体の飽和量を超える(過飽和となる)はずですが、脱気槽は設けないと思います。
対して10mの曝気水深ではおよそ2倍の圧力となり、当然窒素は過飽和となりこの水深では脱気槽を設けることが普通のようです。
この5mの違いはどれ程大きいのでしょうか。
また6〜9mの場合、脱気槽の設置についてどう考えればよいのでしょうか。
「散気水深と沈殿槽での発生気体の量的な関係について」
「過飽和状態でも気体化しない飽和量の目安はあるのか(許容飽和量?)」
「曝気水深と沈殿槽水深や滞留時間に関係はあるのか」
ご存じの方おりましたらご教授下さい。
宜しくお願い致します。
総件数 1 件 page 1/1
No.32841 【A-1】
Re:深層曝気と窒素の過飽和と気泡化について
2009-07-20 19:48:33 papa (ZWlbd18
深層曝気についてはあまり詳しくありませんが、把握のしかたとしては間違っていないと推察されます。
通常の汚泥混合液は窒素飽和と考えていますが、ふつうの反応槽では攪拌強度がかなりあること、容量の約40%は嫌気槽または無酸素槽で攪拌のみが行われていることから、ここでも過飽和の解消が行われていると考えています。
一般に古いタイプの超微細気泡全面曝気を運転している処理場職員の間ではでは「汚泥が軽い」というような感触が話題になります。これが過飽和の影響ではないかと考えています。
最近は超微細気泡でも、旋回流反応槽が多いので過飽和を余り気にするところもありません。
いまどきの処理場では深層曝気のメリットは好気槽の占有面積をわずかに小さくできる程度です。2階建沈殿池のほうが占有面積の有効利用としては優れていると考えられます。
固液分離を重力沈降に依存している限り活性汚泥濃度の限界があり、酸素溶解効率のみを効率化してもプラント全体として効率向上にはなかなかつながりません。(溶解効率向上だけなら超微細気泡にすれば済むことです)
高濃度原水ならUASBとか好気処理以外の選択肢もあります。
また、水深の大きい反応槽は耐震設計や浮上防止の点で建設コストも不利になります。送風機など補機類まで考慮すると水深5〜6m程度の一般的な反応槽で今のところ過不足はないと考えています。
実稼動している森ヶ崎水再生センターなどに直接お尋ねになるのも良いと思います。
回答に対するお礼・補足
papa様、ご回答誠にありがとう御座います。
お礼が大変遅れましたこと、大変申し訳ありませんでした。
長期出張によりパスワードが分からず歯がゆい気持ちでしたが、やっと帰って参りまして、今になってしまいました。
他のご質問者に対するご回答もそうですが、papa様は大変豊富な経験と知識をお持ちですね。
こちらで回答されている常連の方々も含め常々尊敬致しております。
私の周りには経験重視思考(感覚論)が強く、質問の回答も説得力に欠けることが少なくありません・・・
この度、papa様のご意見と併せて現場の実情もご説明頂いたことで、溶解効率の向上や省スペース化に関して散気水深よりももっと着目すべき点があることにも気づかされました。
実稼働している森ヶ崎水再生センターには是非一度は見学していろいろ話を伺って見たいと思います。
この度は貴重なご意見ありがとうございました。
私もこちらで恩返し出来るよう、さらに精進していきたいと思います。
総件数 1 件 page 1/1