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環境Q&A

GC-ECDによるPCBの分析方法。 

登録日: 2009年02月17日 最終回答日:2009年02月27日 水・土壌環境 水質汚濁

No.31312 2009-02-17 18:02:17 ZWl6031 taro

当方では、工場排水のPCBの分析を
『JIS K 0093 5.ガスクロマトグラフ法』 
で行っています。

その中で、「5.3準備操作」において、
GC/MS法では「固相抽出に代えてもよい」
と明記されているにも関わらず、
液液抽出法しか採用されていないのはなぜでしょう?

そもそもクリーンアップ操作はともかく
GC/ECDとGC/MS、どちらも粗抽出は同様の方法を
用いて構わない気がするのですが。
(液液抽出の中身も若干異なっています。)

少し理不尽なような気がしたので
どなたか解る方がいればお願いします。

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No.31435 【A-3】

Re:GC-ECDによるPCBの分析方法。

2009-02-27 18:43:35 筑波山麓 (ZWl7b25

「taro」さんへ。

私も固相抽出には種々の可能性を見出し、利用したいと考えている者の一人です。また、昔から新しもの好きで、新型PC、新商品、新機能が出ると、一番に試してみたいと取り組んできました。

固相抽出に関しては、「taro」さんの言われるとおり、「固相抽出の迅速さ・簡便さ」に魅力を感じておりますが、企業である以上、経済性を考慮しなければいけません。経済性を考慮すると、固相チューブの単価が高く、通常の利用方法ではコストを高くし、ペイしません。今では、他の簡便な、コストが安い方法がある場合は、固相抽出を選択しないようにしております。

ただし、固相抽出の採用により自動化ができ、固相チューブのコスト以上に人件費を圧縮できる場合は利用を考えるとしています。

No.31392 【A-2】

Re:GC-ECDによるPCBの分析方法。

2009-02-24 22:34:22 筑波山麓 (ZWl7b25

「taro」さんへ。

「亜希子」さんの回答に続く方がいないので、私が補足いたします。

下記は、福井県衛生環境研究センターのECD検出器付ガスクロマトグラフ装置を用いたPCB検査の前処理を、市販の固相カラムを用いた固相抽出法で検討した文献です。
http://www.erc.pref.fukui.jp/center/research/191115%8C%A4%8B%86%88%F5%8A%88%93%AE%95%F1%8D%90%8F%DA%8D%D7.doc
「1回のみの抽出操作ではPCBが抽出カラムに残存し、2回の抽出操作が有効と考えられた。また、条件(1)より条件(2)が高回収率であったが、抽出ヘキサン量や回数を増やしすぎると抽出カラム由来と考えられる妨害ピークが検出された。」と結果と考察にあり、適切な条件を設定することが困難なようです。

ガスクロマトグラフ質量分析法であれば、JIS K 0093に記載されているように、サロゲート物質を試料に添加し、サロゲート物質を内標準として定量しており、回収率がある程度悪くても(「回収率は50〜120%の範囲内が望ましい」とある)、補正できるので、JISに記載されている次第です。

「今度検討の際に参考に」なれば幸いです。

なお、JIS等には記載されておりませんが、神奈川県の公的機関が開発(と聞いております。この機関が発行し、方法が記載された本を持っております)し、計量証明事業所等で一般的に行われている方法でノウハウ本にも記載されており、一部のGC装置のメーカー等が推薦する簡易なクリーンアップ方法をお教えしますので、ご検討ください。

その方法は、「ヘキサン抽出−濃縮後のヘキサン層に発煙硫酸を添加し、振盪・攪拌し、ヘキサン層を清浄な容器に移す。この作業をヘキサン層が無色になるまで繰り返す。その後、ヘキサン層が中性になるまで水洗を繰り返す。中性になったら脱水後GC/ECDに注入・測定する」です。私は、発煙硫酸の濃度は20%程度のものを調整し使用しておりましたが、濃すぎると危険ですし、薄いと効果が少ないので、濃度はご自分でご検討ください。私の検討した範囲内ではJIS K 0093 とほぼ同様な測定結果を得ました。なお、発煙硫酸は濃度が薄くても危険なので保護具を必ず着用し、取扱いに注意してください。

回答に対するお礼・補足

丁寧な回答ありがとうございました。

固相由来のマトリックスは、硫酸処理でずいぶん効果がありそうですね。
今度検討した際にマトリックス成分で定量不能な際は考えてみます。
(ただ、"発煙"硫酸処理はちょっと敬遠気味です。)

しかし、今回の筑波山麓さんからの回答を考えると、
話がはじめに戻ってしまうかもしれませんが、
JIS K 0093の内容はもっと柔軟な解釈が可能な記載にしてくれるといいですね。
(例えばダイオキシン分析のように精度管理が担保されていれば、
 試料採取・クリーンアップetc記載外の方法を用いてもよい、など)

私としては、固相抽出の迅速さ・簡便さが好きなので、
次の見直しの際は使用できるようにして欲しいです。

ともあれ、文献等含めてありがとうございました。

なお、近日中に検討する予定なので、
もし結果が出れば情報を何らかの形でアップしたいと思います。


No.31317 【A-1】

Re:GC-ECDによるPCBの分析方法。

2009-02-17 21:39:19 亜希子 (ZWl7f21

固相抽出してECDで測定すると妨害ピークが多くてまともに測定出来ないと思います。
だから公定法で採用されないのだと思います。

違ってたらごめんなさい。

回答に対するお礼・補足

早速の回答ありがとうございます。

現在、固相(エムポアディスク)抽出法を
検討中だったので今回の質問となりました。

回答を戴いた辺りが
GC-ECD,GC-MS法の差になっているのでしょうね。

今度検討の際に参考にさせていただきます。
ありがとうございました。

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