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環境Q&A

日本での樹木の保護活動 (Preserving tree on private land in Japan) 

登録日: 2008年06月04日 最終回答日:2008年06月07日 環境行政 法令/条例/条約

No.28224 2008-06-04 06:44:04 ZWlb43a カナ子

日本で樹木の保護活動、保護法律や条例、特に「私有地」、「民有地」、「住宅地」、「農村部」に関わる樹木保護について教えてください。

カナダやオーストラリアでは、National & Local Environmental and Preservation By-law のもとで、地方自治体が Private Tree By-law/Ordinance など通じて、私有地にあっても、決められた条件(サイズ、形、大きさなど)を満たせれば法律で守ら、伐採、もしくは枝おとしの為には、その自治体からPermitを受けなければいけません。Permitが必要になる樹木の条件は自治体によって異なるのですが、樹齢何十年もある大樹は、簡単には伐採できません。このような法律や条例は日本にないのでしょうか?

例:カナダ、 オンタリオ州、トロント (Toronto)
<http://www.toronto.ca/trees/private_trees.htm>

例:カナダ、ブリティッシュ.コロンビア州、City of Richmond <http://www.richmond.ca/services/environment/policies/treeremoval.htm>

日本国土の60%以上が既に森林である為なのか、木の保護活動にあまり力をいれてない印象を受けれいるのです。私が住んでいる近辺で、私有地にある何十本の樹木(樹齢何十年もの立派は木)が、オーナーの都合によって伐採されています。 植林活動や、森の保護活動については、いろいろな日本のNGOやNPOの方々がご活躍しているようですが、住宅地域や私有地にある樹木の保護活動にかかわっている団体を見つけるのに苦労しています。どなたかご存知でしょうか?

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No.28267 【A-4】

Re:日本での樹木の保護活動 (Preserving tree on private land in Japan)

2008-06-07 11:38:56 wmine (ZWl9357



とてもためになるディスカッションで、大変勉強になりました。

この中に割り込むようですが、単に意見として聞いてください。

統計的には、日本の森林面積は減りも増えもしていません。だからといって森林保全には国策として力を入れないとか、ボランタリーに任せるだけというのは良くないと思っています。

特に日本は京都議定書で世界に森林による吸収を約束しています。ですから、間伐などを含め徹底的に森林を管理する必要があると思います。
そして、もう一つ重要なのは戦後から今まで蓄積してきた樹木という財をどう生かすのかということです。今日のような管理では樹木の価値が下がり、今までの苦労が全て水泡に帰してしまうような気がします。

これらの森林の荒廃は、全て国民の意思によるといえば非常に悲しいことです。
(つまり国民は森林に関心がないので、日本国内の森林がなくなってもそれはそれでしょうがない、というもの)

ところで、

>仰ったとおり、「法律は必要性があってつくられるもの」なので、樹木保護法がこれからの日本に必要だと思います。樹木保護法をこれから厳しくするには、どうすればいいのですか?国土交通省に相談にいけばいいのですか?NGO経由で活動したほうがいいのですか?

とありますが、農林水産省に直接掛け合う必要があると思います。
国土交通省は森林を伐採しますが、それが直接の目的ではないし、彼らも森林の保護は最大限注意を払っている、といわれておしまいです。
また、こういう活動は団体で動いたほうが良いと思います。

これを書いていて気がついたのですが、カナ子様の目的は、都市の森林の保護についてなのでしょうか?それであれば、里地里山活動というボランティア活動が各地にあり、市町村も補助をしてところもあります。

回答に対するお礼・補足

Wmineさん、ご意見ありがとうございます。「里地里山活動」について調べてみます。このボランティア活動を通じて、私有地にある樹木保護を国や自治体と直接お話ができて、効果的な保護活動が出来ればと思います。NGPやNPO団体などは沢山あるのですが、もし樹木の保護に力をいれている団体をご存知だったら、教えていただけますか?宜しくお願いいたします。

No.28247 【A-3】

Re:日本での樹木の保護活動 (Preserving tree on private land in Japan)

2008-06-05 23:07:03 森野力 (ZWl2bf

これは、他の方の意見を聞いたほうが良いでしょう。私から言えるのは次の2点です。

1.
> 緑の条例のメリットが少ない
> 法律や条令で一方的に権利を制限することができない
> が日本での現実ですか?

そうです。それで、他の多くの国よりは緑が保全されています。
むしろ、そのために他の国から非難されることもあるほど。
(自国の森林を温存して、他国の森林をなくしていると)

条例のメリットは思わぬところにもあります。
市街地での高齢樹木保全を妨げる大きな要因は、所有者の意向ではなく、近隣住民からの苦情です。
「落ち葉でトイが詰まる。毛虫が落ちるから、樹を切ってくれ」という苦情には
「自治体の保護樹だから切れない!」という言い訳が効果的です。

2.
> 日本の私有地にある樹木が無くなるのは時間の問題だと思います。

法律は必要性があってつくられるもの。日本の法律が厳しくないのは、必要性が少ないからともいえます。
・カナダ、オーストラリアでは森林の伐採量が年間成長量を上回っているとの指摘があります。
 日本では、年間成長量の30%位しか伐採されていません。
 戦後の荒廃期に比べ、確実に増加しています。松戸市の昔の写真を見てください。
 
・江戸時代末期に、木曽地方では「木一本、首一つ」といわれるほどの厳しい政策がとられました。
 森林がどうしょうも無く荒廃していたためです。

・保護樹1本あたり2000円/年が、少ないか、多いか、立場によって違うでしょう。
 ちなみに、個人の敷地内に電柱が設置された場合、電力会社から支払われる「迷惑料」は1500円位です。

回答に対するお礼・補足

森野力 さん、リプライありがとうございます。とても productive な discussion になっていると思います。勉強にもなりますし、ご意見も参考にもなっています。

他の方々のご意見も聞きたいですね。

先進国になるほど、その国の森林面積が多くなるのはあると思います。日本もその一例です。仰るとおり、戦後の荒廃期に比べ、日本の森林は増えてます。それは日本の森林関係の法律や規制が成功したとも言えます。(日本が豊かになって、環境保護に力を入れ始めたことでしょう)

United Nations: UNSD- 各国の森林面積リスト:
< http://mdgs.un.org/unsd/mdg/SeriesDetail.aspx?srid=567 >


しかし、私有地、都心部での樹木増加についてはどうでしょうか?比較するようにデーターを探しているのですが、なかなか見つかりません。もしご存知だったら教えていただけませんか?

私が住んでいる千葉県松戸市では、10年前に比べて、住宅街のグリーンが激減しています。大手デベロッパーが、大きい土地を地主から買って、多くの樹木が伐採されています。その上、ご指定があったように、近隣住民からの苦情が理由で高齢樹木が伐採される例も少なくありません。樹木保護条例が効果を出してないと思います。

実際、樹木保護条例のメリットを訴えて、説明したのですが、「将来、土地が売れなくなるから」、「手続きがめんどい」、「土地に制限をつけたくない」と言う理由で、土地のオーナーは松戸市との「契約」をオッケーしてくれませんでした。その後、樹木は次々伐採されています。

仰ったとおり、「法律は必要性があってつくられるもの」なので、樹木保護法がこれからの日本に必要だと思います。樹木保護法をこれから厳しくするには、どうすればいいのですか?国土交通省に相談にいけばいいのですか?NGO経由で活動したほうがいいのですか?

教えてください!!

No.28241 【A-2】

Re:日本での樹木の保護活動 (Preserving tree on private land in Japan)

2008-06-05 14:03:55 森野力 (ZWl2bf

おたずねの趣旨と違っているのは、日本とカナダ等の法体系の違いが原因だと思います。

北欧諸国の everyman's right(日本では「自然享受権」と訳される)に見られるように、
森林や樹木は共有財産であるとする考えと、
南欧諸国のように土地の所有権に重きを置く考えがあります。

日本では、野生植物は土地の付属物で所有権は土地所有者にあります
(動物には所有権が無い=無主物)。
樹木の伐採権というのは農作物を収穫するのと同じで、非常に重要な財産権です。

そのため、法律や条令で一方的に権利を制限することができません。
だから、土地所有者と国や地方自治体との間の契約が必要になります。
これは、voluntary とは少し違います。所有者側にもメリットがある仕組みですから。

樹木保存法は比較的新しい法律で、国土交通省が所管です。
もともと、以下のような法律・制度によって樹木、森林が保護されています。

文化庁所管の「文化財保護法」に基づく「天然記念物」
林野庁所管の「森林法」に基づく「保安林」
 国有林野事業の内部規定による「保護林」
環境省所管の自然公園法による「特別地域など」
      自然環境保全法による「保全地域」
以上は、各地方自治体レベルでも条例が作られています。

違反すれば罰則があります。ただし、指定するためには土地所有者の同意が必要ですから、
「契約」であることには変わりありません。
ただし、一度指定されると、所有者側から一方的に指定解除することだできません。

最初に述べたように、根本的な違いは野生生物の所有権に関する基本法の違い
に基づきます。ヨーロッパの各国での違いを参考にされてはいかがでしょう。

回答に対するお礼・補足

森野力さん、またまたご丁寧なご説明ありがとうございます。

なるほど。納得です。仰るとおり、「根本的な違いは野生生物の所有権に関する基本法の違い」の認識は重要だと思います。もっと詳しく、ヨーロッパの各国の基本法の違いは調べたいとおもいます。

それをどのように日本で活かせるかが課題です。(…)

確かに文化、環境に基づき、樹木保存法も国によって異なるのでしょうけど、そこでとどまったら、日本の私有地にある樹木が無くなるのは時間の問題だと思います。

北欧諸国の考えを日本に押し付けたくは無いのですが、それらをうまく日本に取り入れることは難しいのでしょうか?

「樹木保存法」が国土交通省が所管だと分かって助かりました。(環境省経由で調べていて、情報がなかったのが分かりました)。国土交通省がまとめたデータにびっくりしたのですが、国内で緑化.緑地域保管に関連する条例はいろいろあるのですが、指定されている地域がすくないと思いました。

指定されていなかれば、その分、樹木保存法が難しいってことだと思います。

Links

<http://www.mlit.go.jp/crd/city/park/toshiryokuchi/hozonjyu/index.html>


仰ったように「法律や条令で一方的に権利を制限することができない」ので、「指定するためには土地所有者の同意」が必要になるのですが、それにはインセンティブが必要になります。

森野力さんが仰る「所有者側にもメリット」が重要になることだと認識しています。

ただ、現在、そのメリットが voluntary cooperationのcatalystになっていないと思います。たとえば、千葉県松戸市の「緑の条例」の場合ですが、保護される樹木に指定されたとしても、自治体からは樹木につけれるプラカードが発行され、補助金は年間わずか2000円しか出ないのが現状です。(自治体によって、補助金やサービスは異なるとは思いますが)

緑の条例のメリットが少ない => Not much incentive to preserve the tree on the private land
法律や条令で一方的に権利を制限することができない => No real legal enforcement power to implement tree preservation

が日本での現実ですか?

No.28238 【A-1】

Re:日本での樹木の保護活動 (Preserving tree on private land in Japan)

2008-06-05 11:02:27 森野力 (ZWl2bf

>日本で樹木の保護活動、保護法律や条例、特に「私有地」、「民有地」、「住宅地」、「農村部」に関わる樹木保護について教えてください。

法律としては、以下があります
都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律
(昭和三十七年五月十八日法律第百四十二号)

また、多くの市町村で樹木の保護条例が制定され、
所有者への保護義務と引き換えに税の減免、補助金の支払いなどが行なわれています。

大都市のほとんどで制定されています。列挙するには多すぎますので、ご自分で調べてください。
「樹木保存条例」の検索で57,700件ヒットしました。

なお、既に天然記念物(国、県、市町村)に指定されている樹木は対象外です。
質問者が例示されたものは、日本では天然記念物に指定された樹木に相当するのではありませんか。

回答に対するお礼・補足

森野力さん、ご回答ありがとございます。日本語でのKey word を教えていただいて、いろいろと調べれます。本当にありがとうございます。

(日本語が母国ではないので、ニュアンスが変なところもあると思います。すみませんがご了承ください。)

「都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律」は辞書を引きながら調べたのですが、保存樹の指定、指定解除、標識の設置、所有者の保存義務、届出等についてきめられているのですが、罰則はなにもない。私有地のオーナーが voluntaryに、自治体とCooperateする形だと認識しているのですが、正しいですか?

国が、昭和37年に作った法律のもとに、各自治体が樹木保存関係の条例を作れるようですが、これもかなりVoluntary的なところがあると。たとえば、千葉県の松戸市には「みどりの条例」という条例があって、決められた条件をみたす樹木は保護されるとあるのですが、Land owner が松戸市とvoluntary cooperate して、松戸市とオーナーの間に契約が交わせて、樹木が保存される仕組みです。しかし、このれが伐採の防止にはつ、この条例を使うのは難しいです。もっと、mandatory obligation to protect treesは日本にないのでしょうか?

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