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環境Q&A

凝集剤の薬注率増加について 

登録日: 2007年10月03日 最終回答日:2007年10月15日 水・土壌環境 水質汚濁

No.25196 2007-10-03 02:08:20 ざく

下水処理場の汚泥脱水処理において無機凝集剤+高分子凝集剤の造粒調質法の後にベルトプレスによる脱水を行ってます。
最近無機凝集剤の使用量が増えてきて、薬注率で30%を超えてます。
使用量(薬注率)が増える要因は何があるのかを教えて下さい。

総件数 5 件  page 1/1   

No.25367 【A-5】

Re:凝集剤の薬注率増加について

2007-10-15 13:22:07 papa

>・MLSSを高く管理する。
・MLDOは0.5でも問題無い。
・好気嫌気のバランスが良い運転を見つける
回答を正しくご理解いただきありがとうございます。維持管理指針を読んでいただければ基本的な考え方に差異はないと思います。
低負荷処理場では指針に過度にこだわるあまり、汚泥負荷を調整しようする人が多いことも事実です。
しかし、どうやっても汚泥負荷は指針どおりにはなりませんし、無酸素時間を適切に管理するという操作方法からはMLSSを高くせざるを得ません。低負荷であると汚泥が解体するというような無意味な思い込みにとらわれて操作を誤る処理場もあることは事実です。

>アンモニアは流入29、放流0.3
硝酸は流入0.1、放流1.0
アンモニアと酸化態窒素の状況から見る限りでは、酸素供給はほぼ適正、無酸素時間が長すぎるようです。
攪拌装置の稼働時間をもう少しふやすか、発停サイクルを増やして無酸素時間の継続時間を減らすなどの変更が必要と思います。

>MLSS/MLVSS比は80前後です。
昨今の地方都市の処理場としては低いくらいです。
特に脱水に支障がでるレベルではありません

>MLSSを高くするとSVが高くなり、終沈透視度も悪くなる
設計値で、二沈の滞留時間は10時間程度はあります。現況では2日くらいあるわけですから、SVIにこだわる必要はまったくありません。下水試験法で通常のSV測定は標準法が前提になっているわけですので、このようなケースでは30分ではなく1日かけてSVを測定するべきです。一般的に沈降性が悪い汚泥ほど微細SSの捕捉ができますので清澄度が向上します。経験上は、正常に稼動している低負荷処理場での30分SVはほとんど90%以上です。

>MLSSは2,700以下で管理しています
前回答にも書きましたが、このような低いMLSSで低負荷処理場を運転するのは水温変動の対応も含め困難な状態であると思います。いまどきは、標準法(硝化型)でもこの程度のMLSSで運転している処理場がふつうに存在しています。
今後、水温低下とともに必要酸素量や無酸素時間の把握が困難になったり、亜硝酸蓄積になったりする可能性があります。お尋ねの規模の処理場なら斜軸機の採用はないと推察できますので、流入水量はどうあれ東日本地域ならMLSS4000くらいは保持しておくことをおすすめします。

No.25321 【A-4】

Re:凝集剤の薬注率増加について

2007-10-11 19:19:00 papa

>酸素供給を多少抑制した程度では大きな影響はないと思います。
少ないデータですが、無機の薬注率に影響を与えているとは思えない程度なのでしょうか?

ORPのデータがちょっと極端なので、場合によっては影響ありかもしれません。酸素供給が大幅に足りない状態でアンモニアが残存しているとか、無酸素時間を長く取りすぎている可能性もあります。
多少硝酸態窒素が残存するくらいの無酸素状態が安全です。ORPで見るよりアンモニア態窒素0.1mg/l未満、酸化態窒素5mg/l程度を目標に好気・無酸素スケジュールを設定してみたらいかがでしょうか。
供給汚泥のVS/TSは何%くらいでしょうか?

回答に対するお礼・補足

返信ありがとうございます
確認のためですが、
・MLSSを高く管理する。
・MLDOは0.5でも問題無い。
・好気嫌気のバランスが良い運転を見つける
 
水質ですが
アンモニアは流入29、放流0.3
硝酸は流入0.1、放流1.0
供給汚泥のVS/TSは測定していませんが反応タンクMLSS/MLVSS比は80前後です。
MLSSを高くするとSVが高くなり、終沈透視度も悪くなる傾向でしたのでMLSSは2,700以下で管理しています。

No.25320 【A-3】

Re:凝集剤の薬注率増加について

2007-10-11 19:01:00 papa

>1回の脱水で6.5tの脱水ケーキを出す必要があり、(供給汚泥濃度1.6%で70㎥必要)流入量が少ないため、短時間の停止では必要な量が確保出来ないためです

単純に考えると、流入が少ないのだから池のMLSSをもっと高くすれば二沈への移流量が少なくても固形物量の確保ができます。MLSSを4000〜5000くらいにすれば前日夕方停止、作業日通常勤務時間で作業可能と思います。造粒濃縮なら給泥濃度は現状の半分でも十分脱水可能ですからあまり二沈での重力沈降を期待する必要もないと思います。低負荷時にはMLSSが高いほうが無酸素状態を形成しやすく、運転管理はやりやすいと思います。

>終沈のピンフロックを懸念して曝気を抑えていることです。(実際、終沈で白っぽい細かな汚泥が浮いています。これが過曝気のせいと言うのが理由です。)

ピンフロックが出ると何でもかんでも過曝気のせいにしてしまいますが、標準法以外の処理場はすべて過曝気であることを認識してほしいと思います。
低負荷処理場でのピンフロック発生の原因は好気・無酸素のバランスが取れていないことによるものがほとんどです。発生時に”反射神経”的に酸素供給量を減らすような運転操作はしないほうがよいと思います。
酸化態窒素の簡易試験法が下水試験法にあります。
酸化態窒素の消長を追跡することで適切な酸素供給量と供給スケジュール・無酸素時間のを設定することができます。

>高速運転時でもMLDOは0.5程度あれば良いと言う考え
好気・無酸素のバランスが取れていればMLDOはゼロでもよいのです。(究極の目標は供給量と必要量がバランスするようDOゼロで運転することです)

>反応タンクのORPを測定しているのですが
ORPは極端なケースを除き低負荷処理場では管理指標にするのは困難です。

>何かの資料で2〜3mg/Lと書いてあったと思うのですが
浄化槽関係のテキストにはそのようになっているものがあります。浄化槽のように保守頻度や汚泥引抜頻度が少ないケースでは負荷変動や汚泥保持量の変動に対して安全に運転するために多少の電力原単位上昇を許容するという考え方と思います。浄化槽では適切な運転思想と思いますが、下水処理場ではそのような運転操作は電力の無駄使いであると認識してください。

No.25214 【A-2】

Re:凝集剤の薬注率増加について

2007-10-04 12:56:52 papa

当処理場の状況は
>pH設定値は4.2〜4.3で制御しています。
電極が正常なら適切な範囲と思います。

>アルカリ度が上昇する件についてですが、曝気を抑えた運転を行うと汚泥が腐敗すると言うことはありますか?
そのようなことはないと思いますが、硝化を抑えると確実にアルカリ度は上昇します。地方都市の処理場では標準法でも通年硝化運転を行っているところが多いので、酸素供給を多少抑制した程度では大きな影響はないと思います
>汚泥受槽の滞留時間ですが、貯留(2日間)→引抜(1日間)→脱水は約3〜4日程度の滞留時間になっています。
水処理引抜から脱水ケーキになるまで約1週間を要しています。このような操作方法では添加率30%超は当然です。
造粒濃縮は低濃度供給で濃タンを省略するために開発された手法です。濃度を高く給泥するという考えは捨てて、新鮮な汚泥なら低濃度でも確実に脱水できるというふうに考えて、貯留なしで脱水機稼働日のみ余剰汚泥引抜き実施、即日脱水という作業工程を組めば添加率10%程度で運用可能です。
お尋ねの状況と同じような処理場のアドバイスを行ったことがありますが、従事者の考え方を変えていただくのに2年余りを要しました。変えて見ればどうってことのない日常業務になっています。

回答に対するお礼・補足

お礼が遅くなって申し訳ありません。
次の脱水時に向けて分析項目の検討とその試験の手順を勉強中でなかなか返事が出来ませんでした。汗)

また、質問になって申し訳ないですが、当処理場では脱水をH17年度から開始しており今まで汚泥の引き抜きは
金曜日に返送汚泥を停止→二沈に汚泥を貯留→月曜日に余剰汚泥ポンプで汚泥貯留槽に引抜き→火曜日に脱水
とやっています。
この理由は
1回の脱水で6.5tの脱水ケーキを出す必要があり、(供給汚泥濃度1.6%で70㎥必要)流入量が少ないため、短時間の停止では必要な量が確保出来ないためです。(設計2,000㎥に対して400㎥/日程度)
計算上 流入水量は余剰汚泥濃度×余剰汚泥量/MLSS
=16,000×70/2,500=448㎥必要。MLSSが薄くなるのを考慮して丸2日停止です。

今までこのやり方で無機の薬注率は20%程度だったのですが、7月ぐらいから上昇し始め最近は30%を超えてしまってます。

ここで今までと何が変わったかを考えると、終沈のピンフロックを懸念して曝気を抑えていることです。(実際、終沈で白っぽい細かな汚泥が浮いています。これが過曝気のせいと言うのが理由です。)
高速運転時でもMLDOは0.5程度あれば良いと言う考えで運転しており、反応タンクのORPを測定しているのですが(撹拌機停止後40分後に測定)前は140以上あったものが50以下でひどい時には-50ぐらいになってます。

>酸素供給を多少抑制した程度では大きな影響はないと思います。
少ないデータですが、無機の薬注率に影響を与えているとは思えない程度なのでしょうか?
また、時間的に好気・嫌気に分けた間欠・曝気運転を行っていますが好気時のDOは0.5程度で問題無いのでしょうか?(何かの資料で2〜3mg/Lと書いてあったと思うのですが)

No.25200 【A-1】

Re:凝集剤の薬注率増加について

2007-10-03 17:44:16 papa

>最近無機凝集剤の使用量が増えてきて、薬注率で30%を超えてます。
通常の実負荷添加量の2倍以上になっていますので、この状態は処理障害レベルと認知できます。

>使用量(薬注率)が増える要因は何があるのかを教えて下さい。
1 制御系について
無機凝集剤添加をpHで制御されていると思いますが、設定値が適切かどうかご確認ください。(おそらく4〜5の範囲内と思います)また、pH電極の液絡部の閉塞や電極面の酸化鉄皮膜などで応答性が低下している可能性があります。通常は塩酸洗浄などで復旧しますが、あまり長期にわたって使うよりも、電極だけなら安いものですから1年に1回程度の定期交換を推奨します。

2 汚泥の腐敗について
汚泥の腐敗によりアルカリ度が上昇して緩衝性が大きくなり、pHが所定の範囲に制御しにくくなっている可能性があります。
濃タンや汚泥受槽の滞留時間が過大になり、汚泥の腐敗が進行している可能性があります。実質滞留時間をご確認ください。液位制御している場合は汚泥ポンプの発停レベルが適切かご確認ください。

 造粒濃縮のOD処理場でしたら、返送汚泥ポンプを半日くらいタイマー停止し濃タンバイパスで余剰汚泥ポンプ直送で脱水することをお勧めします。(但し、配管があればですが最近のJS仕様ならたいていの処理場が可能です)
水処理負荷率が50%を超える処理場でもこの方法で添加率10%前後で10年以上の実施例があります。(熟練した運転技能があるスタッフで運営する処理場にお勧めします)

経験上は、無機凝集剤の添加量が増加するのはたいてい上記の二つが原因でした。

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございます。早速アルカリ度を測定してみようと思います。

当処理場の状況は
無機凝集材添加量はph制御をしています。ph設定値は4.2〜4.3で制御しています。電極は今年の1月ぐらいに交換していますがそれから洗浄はしていませんので応答性が低下している可能性はあります。

アルカリ度が上昇する件についてですが、曝気を抑えた運転を行うと汚泥が腐敗すると言うことはありますか?
汚泥受槽の滞留時間ですが、貯留(2日間)→引抜(1日間)→脱水は約3〜4日程度の滞留時間になっています。

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