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環境Q&A

温暖化対策と森林の吸収源について。 

登録日: 2001年07月19日 最終回答日:2001年07月26日 地球環境 地球温暖化

No.251 2001-07-19 14:11:00 しょうしょう

 京都で開催された、いわゆる地球温暖化防止条約会議(COP3)で、日本は6%削減を目標とすることになりましたが、その削減量の半分近くは森林を吸収源としてカウントすることが前提になっていると聞いたことがあります。
 この場合の「森林」の定義ですが、1990年以降の成長分と、新たに植林が行われた森林(つまり1990年時点で既に存在していた森林は含まない)のことを指すのだと思うのですが、そういう認識で正しいのでしょうか。もし正しいとすれば、その後新しい植林が進んでいるとは思われない日本で、森林を吸収源としてカウントすることは可能なのでしょうか。

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No.265 【A-3】

Re:温暖化対策と森林の吸収源について。

2001-07-26 10:09:03 君山銀針

桶屋さんの発言があったので、私の前の発言に補足しますが、今回認められた3.7%は国内での森林吸収分のみについてのカウントです。
他国でのプロジェクト1%はそれ以外の削減としてカウントできるようです。

今回の合意の結果、先進国全体で3.4%の削減に相当する吸収量が認められ、先進国全体での吸収源を除いた削減目標は、5.2%から実質1.8%まで目減りしてしまいました。

NGOなどではこれらを大きな抜け穴と批判しています。
(NPO法人 地球環境と大気汚染を考える全国市民会議の声明など)
http://www.netplus.ne.jp/casa/cop6bis-tsushin2.htm

No.264 【A-2】

Re:温暖化対策と森林の吸収源について。

2001-07-26 09:41:59 桶屋

自国の「森林管理」加えて、開発途上国への植林、再植林事業を森林吸収量として(1%を上限に)認めることもあります。

No.263 【A-1】

Re:温暖化対策と森林の吸収源について。

2001-07-25 20:32:18 君山銀針

吸収源をどの程度認めるか、また、計算方法をどうするかについては、先頃COP6再開会合で「上限を国ごとに設定できる」という方向で決着し、日本は1990年の3.7%分にあたる森林吸収分を削減量の中にカウントすることが認められました。

もともと京都議定書では、議定書第3条第3項により「1990年以降」の「直接的かつ人為的」な「植林・再植林・森林減少」に限って算入できることになっており、また、1990年の基準年については、人為的排出量から吸収源による吸収分を差し引かない計算方法(グロス・アプローチ)で計算し、温室効果ガスの削減を評価する約束期間(第1期は、2008年〜2012年の5年間)では人為的排出量から吸収源による吸収分を差し引く計算方法(ネット・アプローチ)を取ることが決められています。

つまり、議定書では約束期間で基準年より増加した排出分について吸収源という下駄をはかせてあげるよ、ただし、その下駄は1990年以降努力した分だけだよというところまでは決まっていたのですが、どういう活動を「植林」に含めるかという問題は決まっておらず、COP6再開会合まで議論が続いていました。

なお、日本が森林を吸収分をカウントすることにより、排出量の3.7%削減できるとしている計算は、IPCCが示した植林の定義シナリオ(IPCCシナリオと国連食糧農業機関シナリオがあり、後者は更に3つのオプションがある)のうち、国連食糧農業機関が提示した計算方法の1つで、林業による伐採を森林減少にはカウントせず、植林はカウントする方法を想定したものです。交渉の段階では日本以外の国はこの計算方法を支持していなかったため、日本の主張が認められるのは難しいと見られていました。日本に吸収源分3.7%を認めるとする合意は、最初に書いたように「森林による吸収量を排出削減分として利用できる上限について国ごとに設定できる」とする政治的な決断によるものとなっています。

なお、吸収源の計算方法の議論はかなり複雑です。
国立環境研究所のサイトにある「IPCC特別報告書『土地利用、土地利用変化と林業』とCOP6」(地球環境研究センター 研究管理官 山形与志樹さんによる)
http://www-cger.nies.go.jp/cger-j/c-news/vol11-3/vol11-3-2.html
などにその議論についての説明がありますので、読んでみてください。

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