水質VOCの精度管理
登録日: 2007年05月02日 最終回答日:2007年05月07日 水・土壌環境 その他(水・土壌環境)
No.22427 2007-05-02 05:41:32 めーめ
いつもこのサイトで勉強させていただいておりますめーめと申します。
以前より排水のVOC測定(ヘッドスペースGCMS法)についていろいろとご教授頂いておりますが、さらにもう一つ質問させて下さい。
VOC測定の精度管理のために、試験ラン毎に回収率試験を行って精度管理を保とうと思っております。
以前は検量線作成用のバイアルを追加で作成して、それを試験の最後に追加分析し管理幅内ならばOKとしていたのですが、それだけでは機器の変動のチェックにしかならないとISOの審査機関に指摘されました。
回収率試験用のサンプルの調製方法ですが
@メスフラに標線近くまで十分冷やした水を張る。
Aメスピペットで混合標準原液を分取してメスピペットの先端を水の中まで差し込んで添加。
Bメスピペットを水で洗いこむ。
C水で定容
例えば重金属分析の場合であったら、メスピペットの先端を水の中まで入れなくても回収率80〜120%を十分確保できると思います。
しかしVOCとなると、上記方法でサンプルを調製しても物質によりますが毎回回収率80%を確保することができないのです。(80%を下回ります)いろいろ添加方法を試しましたが、納得いく結果が得られません。
回収率を上げるよい方法はないでしょうか?
またはVOCの試験精度を確保するためのコントロール試料として、他に適当なサンプルはあるのでしょうか?
ご教授宜しくお願い致します。
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No.22445 【A-2】
Re:水質VOCの精度管理
2007-05-07 18:19:19 きら (
当然、行っていることと想いますが、回収率の確認の前に、装置の安定性・再現性はどうでしょうか?
同じサンプル(または標準液)を複数回測定し、変動係数はどの程度でしょうか?
JIS K 0125では、繰り返し分析精度を10〜20%としています。
この精度が確保できていない状態で、回収率を求めても意味がないと思います。
次に、VOCの測定装置(たぶんGC-MSだと思いますが)は、ちょっとしたことで、再現性が変わります。
昨日は良くても今日はダメとか、1検体前のものは良くて次のものはダメということがあります。
そこで、5検体に1回とかの頻度でブランク(または標準)を使い機器のチェックが必要になります。
実験室のドアを誰かが開けただけで測定結果が変わったり(多分、気温とか気圧の関係でしょうか)します。
また、多くの測定装置を同時に動かしていると、一瞬ですが蛍光灯が暗くなったりすることがあります。
このような、瞬間的な電圧の変動でも測定結果が変わる場合もあります。
最後に回収率試験用のサンプルの調製方法ですが、具体的に、何mLのメスフラを使い、何mLのメスピペットを使っているのでしょうか。
このQ&Aに以前、私がコメントしたものがありますので、ご参考になればと思います。
No.8722 ガラス器具の公差
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=8722
メスピペットではなく、ホールピペットかマイクロピペットを使ってみるという方法もあります。
余談ですが、「VOCで回収率を求めなさい」という法令とかJIS規格のようなものは、存在しないのでは?と思います。
大事なのは、やはり繰り返しの分析精度ではないでしょうか。
回答に対するお礼・補足
きら様、御回答ありがとうございます。
当方の試験の繰返し性はもちろん確認しております。
十分JISの要求精度を満たしております。試験項目によりますが、繰返し性が5%程度、再現性が10%程度です。
通常試料の分析精度についても技能試験で確認する限り全く問題ないと思っております。
今回回収率を求めているのは、17025の技術審査において回収率試験を要求されたためです。
当初私は回収率試験=標準バイアル(ヘッドスペース法ですので)の測定と考えていましたが、それではNGだと指摘されました。
なんとかようやく質問欄の方法で80%を上回ったのですが、常に80%を上回る訳ではありません。
常に80%を上回ることができたならこのサンプルを日々の精度管理に使ったほうがよりよい精度維持をできると思いましたので今回質問させて頂きました。質問欄にも書きましたが標準バイアルの測定では精度管理としては不十分だと指摘されましたので。
さてサンプルの調製方法ですが、さらに詳細を書きますと、200mLのメスフラに0.5のメスピペットを使って0.2mL添加しています。
原液は1000mg/L(メタノール溶液)で調製されたサンプルは1mg/Lとなるはずです。
ISOの技術審査は何とかなりましたので、あとは試験毎の精度管理を改善したいのですが、よいコントロール試料が思いつかないため、回収率試験で使用するサンプルで精度管理を、と思っておりました。
ご存知のように、標準のバイアル作成はJIS通りですと水10mL(一定量)にメタノールで希釈した標準液1μL(一定量)をマイクロシリンジ添加して作成します。
標準添加サンプル作成時とかなりスケールが違うので、このスケールの違いが回収率低下に繋がっているのかもしれません。
No.22435 【A-1】
Re:水質VOCの精度管理
2007-05-03 22:43:27 tom (
これはよくないのではと思いますが・・・
全量ピペットである場合は、ピペットの液を自然落下で出して定容で、内部を洗うことはないと思うのです。
http://kuchem.kyoto-u.ac.jp/bukka/member/yyosuke/uebung/last_drop.htm
水を用いて、天秤で重量から希釈の状態を確認なさってみてはいかがでしょう。
それがクリアーできれば、メスフラスコの空隙の問題かもしれません。
>@メスフラに標線近くまで十分冷やした水を張る。
メスフラスコも、使用温度設定があると思いますが・・・
回答に対するお礼・補足
tom様、御回答ありがとうございます。
メスフラの使用温度も承知しておりますが、原液添加時のVOCの揮発を少しでも抑えるため敢えて冷やしております。試験ランの精度管理のためなので、温度による体積誤差は非常に小さいと判断して無視しております。
またピペットの洗いこみですが、通常項目でしたらピペット内部を洗ったりしません。測定項目がVOCなので洗いこんでいます。
重金の分析の様に添加するだけでは、回収率が50%を下回ることさえあります。
いろいろ試して質問事項の欄の方法をとると、やっと回収率70%を超えてくる次第です。もちろん個人差はあると思います。
ISOの審査員のお話を伺っていた所、ちょっと大げさな書き方になりますが、回収率向上の為ならなんでもするような事を伺いました。
標準液がメタノール、溶媒が水ということが多少なりとも関係しているのでしょうか?
この試験については、回収率試験は難しいです。サンプルを上手く作れません。
日本分析化学会主催の技能試験においても、他の項目はサンプルを標準液から調製しているのに対し、VOCのサンプルは何処からか汚染試料を採取してサンプルとしていたように思います。
試験ラン毎に精度管理を行いたいので、よいコントロール試料(精度管理に使えるサンプル)をご存知でしたら教えてください。
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