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環境Q&A

ガラス体積計の不確かさ 

登録日: 2007年03月01日 最終回答日:2007年03月19日 水・土壌環境 水質汚濁

No.21435 2007-03-01 07:35:58 めーめ

先日より水質のVOC測定についてバリデーションを確保しようと試みています、めーめと申します。

今回はガラス体積計の不確かさについて質問させてください。

JIS規格のガラス体積計の目盛りは、水温20℃の時の体積を表すものとして付されています。

試料分取の際の不確かさは、@許容誤差からの不確かさ+A繰り返し分取の不確かさ+B水温の変化による不確かさであると解釈しています。

試料を常温(20℃前後)にできる試料については、Bが小さくできると思うのですが、VOC試料などはその性状から試料が凍らない1〜4℃で保存することになっています。
ですので測定に際しても試料を常温に戻してから測定するのではVOCが揮発してしまう可能性があるので、水温が低いまま分取するのが一般的だと思っております。

そこで分取の際のガラス体積計ですが、20℃の時の目盛りを1〜4℃の水を分取する時に使っているわけですので、不確かさについては大きくなって当然なのでしょうか?

以下私が考えている10mLホールピペットのBの計算式です。
・試料が常温(20±5℃)の場合
 10×(2.1×10^−4)×5/√3=0.0061
・試料が1℃〜4℃の場合
 10×(2.1×10^−4)×19/√3=0.023

(2.1×10^−4)は水の熱膨張率です。
この計算式が妥当なのかどうかという質問です。特に下の式の19=20±19℃というところが不安に思っています。

試料を分取する際は常に水温が1〜5℃くらいなので、妙に19という数値が大きく思えてしまいます。

宜しくお願いします

総件数 9 件  page 1/1   

No.21765 【A-9】

Re:ガラス体積計の不確かさ

2007-03-19 17:50:52 筑波山麓

「めーめ」さんへ。公私共に多忙で返事が遅れて申し訳ないです。お尋ねの件は、不確かさの合成における感度係数のことですね。私は、試験所試料からのサンプリングも含めてすべての不確かさを算出するために(2つほど遣り残したこともありますが)、数十頁以上の計算、表及び図を費やしました。この中には、最新の考え方も多く含めております。その中から、一例として、メーメさんに回答したのがお尋ねの数値です。

不確かさの合成においては、感度係数(実際の影響)が重要です。例えば、メスフラスコ校正時の水温を測定し、その表示が20℃で、20℃に対する不確かさが±0.5℃であったとすると、温度計の相対不確かさは、0.5/20=0.025です。この0.025を温度計の不確かさとして合成不確かさを計算している例も見られますが、温度計の不確かさが直接メスフラスコの不確かさに影響するわけではありません。この場合は、水の比重に影響し、その水の比重(秤量値)がメスフラスコの不確かさに影響するわけです。19.5℃の比重が0.998305、20℃の比重が0.998200、20.5℃の比重が0.998095とします。そうすると、実際の温度計による不確かさ(水の比重への影響)は、(0.998305-0.998095)/0.998200=0.0002104です。感度係数は、0.0002104/0.025/2=0.004208となります。したがって、温度計の不確かさを0.0002104として合成することとなります。このように、他の要因、室温、気圧、湿度等の影響もすべて機械的に不確かさを合成するのではなく、実際の影響を考えて合成する必要があります。なお、室温測定を通じて、ガラスの体膨張率への影響については、字数の制限からここでは省略いたします。

なお、実際の計算では、感度係数も計算しておりますが、バジェットシート計算上では、一つ一つその不確かさ(この場合、0.0002104、拡張不確かさは19℃及び21℃の比重を使用)を求めて、総合不確かさを計算しております。

また、水の比重に関しては、資料を探したのですが、1℃刻みのデータしかなかったので、直線補間で比重を求めましたことをお知らせしておきます。

最後に、唐突ですが、この場を借りて改めて「レス」さんの御親切に感謝します。このところ、公私ともに多々あり、配慮が足りなかったようです。以後、気をつける所存です。

回答に対するお礼・補足

筑波山麓様 丁寧な御回答ありがとうございます。
おかげで感度係数について理解できました。

現在の所私の不確かさの算出方法は、機械的に合成しているだけです。。。
しかし、確かに筑波山麓様がおっしゃる様に実際に影響を与える因子に変換?して不確かさを合成したほうが理にかなっていると思います。

ぜひ私もトライしてみたいと思います。
貴重な御回答ありがとうございました。

No.21737 【A-8】

Re:ガラス体積計の不確かさ

2007-03-16 20:35:57 火鼠

17025取得のためでしょ。
温度補正も、気圧補正も、実測値には、ほとんど無意味でしょうね。でも、監査員は、そのような補正があることを技術員ガ知っていることを求め、その要因が入っているシステムを求めてますよ。あと、容器の校正が人任せ(メーカー)任せではなく、主体性をもって、校正されているか否かが大切ではないでしょうか?また、いくら校正しても、それが、世界標準にいかにトレサーブルかを説明できないと。校正の意味が不明になります。

回答に対するお礼・補足

火鼠様 お心遣いありがとうございます。
火鼠様のおっしゃる通り、温度補正、気圧補正等は実測値には影響をなさないと私もおもっております。

しかしやはり不確かさの詳細要因図や、バジェットシートを作成していくと、どうしてもこういった部分を外せないので悩んでおりました。

ガラス器具の校正についても火鼠様のおっしゃる通りで、私も当初メーカー容量精度証明書のようなものでトレーサビリティが確保できると考えておりましたが、それでは駄目なようです。
自社校正(私はとりあえずは容量精度確認試験だけにします)をしたガラス器具等を使わなければならないとのことです。

メーカーからこの容量精度証明書のようなものを有料で購入してしまった後にこのことを知ったので、無駄なお金を使ってしまいました。

No.21645 【A-7】

Re:ガラス体積計の不確かさ

2007-03-13 18:42:17 筑波山麓

これらの不確かさが、0.00000463であったと1仮定して、不確かさを合成すると、√(0.00011547^2+ 0.00214263^2+0.00000463^2)= 0.0021457となります。これがホールピペットの不確かさ(校正)です。次に、使用時の不確かさを求めます。これは、使用時の環境条件(水温、室温、気圧、湿度等)を統計的に処理し、その管理範囲を求め、その影響下の不確かさを求めることです。ただし、気圧及び湿度の感度係数は無視できる程度に小さいです。
しかし、「めーめ」さんの特殊な事情を考慮すれば、このような方法をとるよりは、以下の方法をとった方が誤りが少ないように思いますので、そちらをお奨めします。それは、1〜4℃における分取ですから、その範囲の中心付近の水温(t℃、水温、室温、気圧等を測定すること)でホールピペットを校正し(10回の平行試験)、平均値(Vml)、標準偏差(σ)を求めます。その不確かさは、√[{(V-10)/10}^2+(σ/V)^2]となります。この結果を利用して、1℃及び4℃時での不確かさを計算します。計算は、VOCの場合は溶媒を使用しますから、液温による溶媒の比重変化、室温によるガラス膨張率、気圧による浮力の影響等を考察します。

以上ですが、式そのものは不確かさの合成の繰り返しですので、簡単ですが、不確かさの考えそのものが新しいものですから、なかなか理解しづらいかもしれません。JAB主催の「不確かさセミナー」に参加されることをお奨めします。
私も今回、ISO/IEC17025の本審査も無事終了し、不確かさの推定セミナーの講師役を依頼されましたので、おりよくあなたにお会いすることがあれば、詳しいお話をしたいと思います。

また、不確かさに関して不明なことがあれば、EICネットで、質問をしてください。

回答に対するお礼・補足

以前の質問に続き、今回も御回答ありがとうございます。

御回答していただいた内容の概要については理解致しました。紹介していただいた資料についても保有はしていたのですが、今回改めて読み込みました。

しかし、どうしても筑波山麓様が御回答してくださった以下の部分
「水温、室温、気圧を計測する温度計の不確かさを算出します。私は体積計の不確かさに対するこれらの感度係数を算出しております。その算出方法は、温度計が20℃に対して1℃不確かさがあった場合の水の密度に対する影響@(水温)、ガラス体積計の体膨張率の影響A、空気密度に対する影響B(室温)、気圧が1013hPa(1気圧)に対して1hPa不確かさがあった場合の水の密度C及び空気密度D(浮力)への影響です。詳細を省略しますが、@が2.2/10000、Aが0.0001、Bが約0.0013、Cが約0.000000045、Dが約0.0000010でした。」
の部分が理解できません。図々しいお願いですが、この部分を詳しくご教授いただけないでしょうか?JABの不確かさガイドにも同様の箇所がありますが、今一理解できないのです。

17025の本審査お疲れ様でした。当方も来月本審査を控えております。なんとか本審査までに不確かさについての極意?を掴めたらと思っております。

それと「不確かさセミナー」の件ですが、ぜひ参加させて頂きたいと思っております。楽しみにしております。

No.21644 【A-6】

Re:ガラス体積計の不確かさ

2007-03-13 18:35:52 筑波山麓

以下、各論です。ただし、複雑な式なので誤りがあったら、どなたかご指摘ください。通常は、違う方法で2回以上検算して誤りがないことを確認しています。

水については、熱膨張率ではなく、理科年表の水の密度表を使用します。
ホールピペットの不確かさ算出について。
ホールピペットの校正を行うか、JIS R 3505の体積の許容誤差(呼び容量10mlのホールピペットで、クラスAで±0.02ml、クラスBで±0.04ml)を使用するかで違いますが、クラスAの許容誤差で進めます。また、メーカー出荷時の製品検査が行われているかどうかで違ってきますが、行われていないと仮定して計算を行います。すると、これの不確かさは、0.02/√3/100= 0.00011547とまります。
作業者Aがホールピペットを使用し、10ml採取(5回以上の平行再現性試験)の不確かさを求めます。方法は、JIS K 0970-1989、確認 1999 プッシュボタン式液体用微量体積計を参考にして下さい。空気浮力の影響を除外できる方法で不確かさを算出した方が計算が楽になります。なお、水の密度もここに記載されています。平行再現性試験の結果が、平均A=10.01ml、標準偏差σ=0.02134であったとする。これの不確かさは、0.02134/10.01= 0.002132となります。これに天秤の不確かさ(JCSS基準分銅の不確かさ、天秤秤量の平行再現性の不確かさ、偏置誤差、天秤の直線性の不確かさ、秤量値の丸めの不確かさ、及び0合わせの不確かさ等を合成したもの)を合成します。なお、大体、天秤の不確かさは、ホールピペットの平行再現性の不確かさの1/10程度以下になります。仮に、0.0002132としておきましょう。合成すると、√(0.002132~2+0.0002132^2)= 0.00214263となります。なお、計算途中では、数値の丸めを避けて、最後に丸めるようにしましょう。次に、水温、室温、気圧を計測する温度計の不確かさを算出します。私は体積計の不確かさに対するこれらの感度係数を算出しております。その算出方法は、温度計が20℃に対して1℃不確かさがあった場合の水の密度に対する影響@(水温)、ガラス体積計の体膨張率の影響A、空気密度に対する影響B(室温)、気圧が1013hPa(1気圧)に対して1hPa不確かさがあった場合の水の密度C及び空気密度D(浮力)への影響です。詳細を省略しますが、@が2.2/10000、Aが0.0001、Bが約0.0013、Cが約0.000000045、Dが約0.0000010でした。−再度、続く−

No.21643 【A-5】

Re:ガラス体積計の不確かさ

2007-03-13 18:29:42 筑波山麓

ISO/IEC17025本審査が終了し、やっと時間がとれたので、久しぶりに回答します。

不確かさを詳しく説明するには、1000文字どころか、10000文字でも不足しますので、詳細については、@ホールピペットの許容誤差は、JIS R 3505:1999 ガラス製体積計を、A繰りかえし分取の不確かさは、JAB NOTE 1-1999を、B水温の変化による不確かさも、JAB NOTE 1を参照ください。JAB NOTE1-1999の入手先を以下に示します。JAB NOTE1-1999のアクロバットマークをダブルクリックすれば入手できます。
http://www.jab.or.jp/cgi-bin/bal/jab_bal_lab_j.cgi
また、私の以下の回答も参考にして下さい。
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=20425

4月中に可能ならば、私「筑波山麓」のサイトにWRC(Water Recearch Centre)の文献の翻訳(定量下限値の求め方、IUPACと同じ方法)、その他を順次掲載していく予定なので、将来はそちらを参照ください。今は、分析方法の英訳のみです。
http://www3.ocn.ne.jp/~tukubasa/

−続く−

No.21466 【A-4】

Re:ガラス体積計の不確かさ

2007-03-04 18:06:47 なんちゃって計量士

めーめ 殿 少し難しく考え過ぎの様です。

水温20℃のとき0.99823
水温 4℃のとき1.00000
水温 3℃のとき0.99999
水温 2℃のとき0.99997
水温 1℃のとき0.99993

 数値は必ず、御自分で再度ご確認ください。

20℃で100ml計量したときの重量は99.823g
これに対して他の温度のときどれだけ差が出るか?
また20℃のときどれだけ差が出るか?
と単純に考えてください。

 温度は厄介です。二次標準温度計(所謂我々が温度計メーカーから購入出来る校正温度計)を使用したとしても、計測温度と現場温度が平衡するのに時間がかかります。
 4℃を計測して20℃を計測するなら数時間程度で平衡になりますが、逆に20℃を計測してから4℃の場合には、経験上24時間程度かかるようです。
 以前、二本の二次温度計を平衡させ、片方を80℃近辺を計測し、室内放置で再度平衡するのに24時間では平衡まで達しませんでした。
 大体、標準温度計自体高価なので何本も購入出来ない上、実用に耐えるのは一二年ですから。

回答に対するお礼・補足

御礼が遅れて申し訳ございません。

いろいろ文献を漁っているのですが、頭の中で情報がゴチャゴチャになっていました。現在も完全には整理しきれていない状況です。

化学試験の不確かさについて、自分なりになんとかマスターしたいと思います。

No.21454 【A-3】

Re:ガラス体積計の不確かさ

2007-03-02 19:28:34 火鼠

良くわかっていない者から。一言。もし17025取得の関係なら気圧補正も考えてくださいね。また、ホールピペットの材質も、常識として、理解が必要です。材質によって、膨張率違いますから。材質ごとの膨張率は、使用している計量器のメーカか、カタログをみてください。ガラス計量器と言っても、素材、精度、違いますから。注意したほうがいいかも?

回答に対するお礼・補足

御礼が遅くなって申し訳ありません。

ご推察のように17025取得の関係で今回のような質問をさせて頂きました。
気圧補正なども考慮するつもりではありますが、気圧による誤差はかなり小さいと思われます。(まだ実際に検討していませんが・・・)

なんとか審査に間に合うようにしたいと思います。

No.21450 【A-2】

Re:ガラス体積計の不確かさ

2007-03-02 12:33:22 なんちゃって計量士

めーめ 殿

 基本的な点に付いて、貴方は過誤が有る様なので、確認して頂きたい。

 液で在ろうと、瓦斯で在ろうと、温度は標準状態に換算して考えるのが基本です。(但し、標準状態の定義は種々有るので注意が必要)

 温度が標準でない場合には、目的の内容物だけでなく、容器も温度により伸縮する事に御注意頂きたい。

 基本的に容積の変動は、線膨張係数の三乗ですが、計算通りで済むなら確認は誰もしません。何故しなければいけないか、現実は理想状態では有りませんから。(膨張係数の差の三乗だけ誤差が拡張される)

 質量は温度によって、基本的に変わりませんから、目的物を、貴方の予想する条件で計量して、重量を計り、誤差を測定するべきです。同時に標準状態でも確認のために計量しておく事は良いことです。

 基本的な諸量のなかで、長さと、重量が一番基本的に評価しやすい事を利用して評価することを考えるべきでしょう。

回答に対するお礼・補足

なんちゃって計量士様、御回答ありがとうございます。

現在、水温5度±5度の時の水の分取の不確かさを求めているのですが、頭の中を整理しきれていない状況です。
水温補正やら、温度計の読み取り不確かさやらややこしいです。

まず、頭の中を整理します。

No.21440 【A-1】

Re:ガラス体積計の不確かさ

2007-03-02 00:28:23 火鼠

>先日より水質のVOC測定についてバリデーションを確保しようと試みています、めーめと申します。
>
>今回はガラス体積計の不確かさについて質問させてください。
>
>JIS規格のガラス体積計の目盛りは、水温20℃の時の体積を表すものとして付されています。
>
>試料分取の際の不確かさは、@許容誤差からの不確かさ+A繰り返し分取の不確かさ+B水温の変化による不確かさであると解釈しています。
>
>試料を常温(20℃前後)にできる試料については、Bが小さくできると思うのですが、VOC試料などはその性状から試料が凍らない1〜4℃で保存することになっています。
>ですので測定に際しても試料を常温に戻してから測定するのではVOCが揮発してしまう可能性があるので、水温が低いまま分取するのが一般的だと思っております。
>
>そこで分取の際のガラス体積計ですが、20℃の時の目盛りを1〜4℃の水を分取する時に使っているわけですので、不確かさについては大きくなって当然なのでしょうか?
>
>以下私が考えている10mLホールピペットのBの計算式です。
>・試料が常温(20±5℃)の場合
> 10×(2.1×10^−4)×5/√3=0.0061
>・試料が1℃〜4℃の場合
> 10×(2.1×10^−4)×19/√3=0.023
>
>(2.1×10^−4)は水の熱膨張率です。
>この計算式が妥当なのかどうかという質問です。特に下の式の19=20±19℃というところが不安に思っています。
>
>試料を分取する際は常に水温が1〜5℃くらいなので、妙に19という数値が大きく思えてしまいます。
>
>宜しくお願いします
>
>もしかすると、とんでもないことを言っているかもしれません。算数に疎いので、19と5は単なる温度差でしょ?でも、逆に、20度で校正していて20度で測るのが±5で20度で校正している機器で、0度で測るのなら、私なら、19でなくて、25でも、いいのではと思うのですが。その誤差が、測定値に出るかと言うと、(一般的には)出ないでしょうが、そのくらい大きいものではないでしょうか?

回答に対するお礼・補足

火鼠様、御回答ありがとうございます。

御回答をいただいたのですが、私自身質問自体がおかしいのではと思ってまいりました・・・

もう少し勉強してから質問すればよかったと反省しております。

御回答頂いたので、まずは御礼まで。

総件数 9 件  page 1/1