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環境Q&A

CODの試薬について 

登録日: 2006年05月07日 最終回答日:2006年05月10日 水・土壌環境 その他(水・土壌環境)

No.16377 2006-05-07 10:19:21 匿名

分析初心者です。JISには硫酸(1+2)を調整する際に、過マンガン酸カリウム溶液を着色するまで添加するとありますが、何のために添加するのですか。また、添加量はおおよそ何mlくらいか、目安はありますでしょうか。教えてください。

総件数 7 件  page 1/1   

No.16420 【A-7】

Re:CODの試薬について

2006-05-10 23:15:34 筑波山麓

>JISに限らず、世間で正しいといわれていることが正しくない事例、その逆の事例も山ほどあります。

ごもっともです。国際化が進展し、公定法の撤廃等も噂にのぼる時代です。一方、技術の空洞化がいわれる時代でもあります。技術に携わる一人一人が自分で考える習慣、経験に裏打ちされた技術、真摯な熱意、確かな知識を持ってもらいたいと、また、自分もそうありたいと考えております。

>ところで、高濃度サンプルのCOD算出法として私が提案した方法のどこかに問題点があれば、ご指摘下さい。

この件については、ご容赦ください。私的な方法については、開発された方が自信を持たれ、バリデーションを確実に実施されておれば、それを私がとやかく言うつもりはありません。ご自分でお考えください。

No.16408 【A-6】

Re:CODの試薬について

2006-05-10 08:45:00 匿兵衛

「筑波山麓」さんのおっしゃることはモットモであり、異論を挟むつもりはありません。当社の業務は水質分析ではないので、JIS法が不正確であることを取上げて、原案をどうこうするつもりはありませんが、盲目的にJIS法を過信することは危険であるとご理解ください。
JISに限らず、世間で正しいといわれていることが正しくない事例、その逆の事例も山ほどあります。
ところで、高濃度サンプルのCOD算出法として私が提案した方法のどこかに問題点があれば、ご指摘下さい。

No.16404 【A-5】

Re:CODの試薬について

2006-05-09 22:08:18 筑波山麓

JISをよく読んでください。計算式は以下のように記載されています。
CODMn=(a−b)×f×1000/V×0.2
   a:滴定に要した5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液
   b:空試験の滴定に要した5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液
   f:5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液のファクター
   v:試料(ml)

ファクターの大小は滴定に要する5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液量には影響しますが、計算上、COD値には影響しません(測定する試料が同一であれば、fが小さくなれば、a−bが大きくなる。fが大きくなれば、a−bが小さくなる)。ただし、反応液中の過マンガン酸カリウム濃度はCODMn値に影響するので、ファクターはなるべく「1」に近い、「0.95〜1.05」のものを使用すると注(3)に記載されています。
  
「b:空試験の滴定に要した5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液」の量は、
@ 添加された過マンガン酸カリウムが自己分解で極少量を消費する、
A 逆滴定に用いるシュウ酸ナトリウム溶液が5mmol/L過マンガン酸カリウム溶液よりも高い規定濃度(ファクターが高い)になっている。
ことにより、b=@+Aとなります。したがって、bの値が小さいほど測定に好都合というわけではありません。逆にbの値が極端に大きいことも望ましくありません。通常0.5〜1ml程度が適当と記載されている本もあります。

No.16403 【A-4】

Re:CODの試薬について

2006-05-09 21:21:35 筑波山麓

「匿兵衛」さんへこのようなことを言うのは申し訳ないのですが、あえて若い人のために憎まれ口をたたきます。ご勘弁ください。

自社の排水を管理するためにCOD測定をする場合はあなたの言われる方法でも参考値として許されるでしょうが、計量証明業務としてCODを測定するときは、法規にしたがって行う必要があるということを思い出してください。

あなたの言われる方法で計算した場合、計量証明書の測定方法欄には『JIS K 0102 17準拠』と記載する必要があります(計算方法は重要な記載事項なので、これさえも許されないかもしれない)。『JIS K 0102 17』と記載することは誤りと思われますがどうでしょう。

また、下記のA−5.に回答しましたが、空試験の過マンガン酸カリウムの消費量は、水中の有機物だけでなく、過マンガン酸カリウムの自己分解分も含まれるので、あなたの計算方法ではかえって誤差を出してしまいませんか。

次に、皆が「自分が正しい」と勝手にJIS等を解釈して公定法と相違する方法で測定・計算を行ったらどうなるでしょうか。測定値を評価するときに、A社の計算方法、B社の計算方法、C社の計算方法………と会社の数だけ計算方法があれば、どうやって過去から現在までの経時的変化、北海道と九州間などの地域間の評価を正しく行うのですか。自分が正しい、彼が誤りという問題ではないと思いますがどうでしょうか。法律で公定法を決める理由をよろしくご理解ください。

最後に、JISが誤っているというあなたの意見があれば、日本環境測定協会の定期雑誌その他に投稿する、JISはおおむね3年ごとに改定されるので、その改定時に下記の日本工業標準調査会のサイト(http://www.jisc.go.jp/jis-act/plan-ref.html)から「JIS原案に対する意見受付」に対して意見を述べられたらどうでしょうか。

蛇足ですが、JIS K 0102 COD測定で、塩化物イオンのマスキング剤として硝酸銀の使用が禁止されていた当時、日本環境測定協会の「環境と測定技術」に硫酸銀と硝酸銀をそれぞれ使用した場合の測定値に差がないと二十数報にわたって発表された方(たしか木下さんだったと記憶します)がいました。まだ若かった私はその報文を見るたびに感激した記憶があります。このような方法でJISを良い方向にリードしていければ、環境に携わる技術者として冥利この上ないとその当時思ったことを思い出します。

No.16398 【A-3】

Re:CODの試薬について

2006-05-09 11:13:14 匿兵衛

COD分析のブランクについて今までの質問や回答をみると、不正確な認識をしている方が多いようです。ブランクについては3通りに分けて考える必要があります。
1)蒸留水のCOD測定
蒸留水に含まれる極僅かな有機物を酸化するために必要なカメ量と、目視で微紅色と認知できるカメ量の合計が測定されます。ブランクとしては、常温で同量の蒸留水にカメを滴下して、目視で微紅色と認識できるカメ量を測定し、差引けば、蒸留水に含まれる極僅かな有機物量に対応するカメ量を知ることができます。
2)11ppm以下のCOD測定
試料水に含まれる有機物を酸化するために必要なカメ量と、目視で微紅色と認知できるカメ量の合計が測定されます。ブランクとしては、常温で同量の蒸留水にカメを滴下して、目視で微紅色と認識できるカメ量を測定し、差引けば、試料水に含まれる有機物量に対応するカメ量を知ることができます。
3)11ppm以上のCOD測定
CODが高い場合は蒸留水で9〜11ppmに希釈してからCODを測定し、希釈前のCODを算出します。希釈前のサンプル濃度とサンプル量をC1,V1、希釈に使用した蒸留水の濃度と量をC2,V2、希釈されたサンプルの濃度と量をC3,V3とすると、物質収支より次式が成立ちます。
C1*V1+C2*V2=C3*V3
V1+V2=V3=100mL
したがって、希釈前のサンプルの濃度C1は、次式で算出されます。
C1=(100*C3-C2*V2)/V1
この式はJISとは合致しませんが、高純度の蒸留水が利用できない場合でも、合理的に補正されます。エクセルなどの表計算ソフトにしておくと、簡単に計算することができます。




No.16392 【A-2】

Re:CODの試薬について

2006-05-08 21:38:25 筑波山麓

分析初心者が、JISについて疑問を持たれることは大変すばらしいことですが、この程度のことは教えられなくてもある程度推測がつくし、自分で考えることも必要と考えて回答しませんでした。しかし、「匿名」さんの回答を見て、簡単すぎて、逆に難しいことなのかなと思い直しましたので回答します。

JISで使用される試薬はすべてJIS等で規定されています。たとえば、JIS K 0102 17.「……(COD-Mn)」で使用される硫酸(1+2)の調整では、『JIS K 8951に規定する硫酸1容を徐々に加え、……… 』となっております。JIS K 8951を参照すると、6.品質、7.11 過マンガン酸カリウム還元性物質の項に「………0.02mol/L化マンガン酸カリウム0.05mlを加えたとき、5分間紅色を保つ(SO2として約3ppm以下)。」と記載されており、このことから、硫酸には不純物として「SO2」が少量(約3ppm以下)混入しており、過マンガン酸カリウムを消費する。つまり、CODにとって「+」の誤差になるので、あらかじめ過マンガン酸カリウム溶液を着色するまで添加して除去する必要があると分かります。

次に、硝酸銀はJIS K 8550に規定されていますので、これを参照すると、そのような還元性物質に関する記載はなく、純度も99.8%以上と高い。また、硝酸銀は、水中では銀イオンと硝酸イオンに解離しており、硝酸イオンは、酸化作用があるので硝酸銀にあらかじめ過マンガン酸カリウム溶液を添加する必要はありません。

最後に、試薬の調整、試料の希釈などに用いる水に有機物など還元性物質が含まれているとします。すると、COD分析の「空試験」で過マンガン酸カリウム溶液が消費され、「空試験」のCOD値が高くなります。実際の試料には空試験と同量の水を添加するわけではないので、試料のCOD値から「空試験」のCOD値を引くと、大きな負の誤差になります。とくに、COD値の低い試料に影響が大きくなります。また、超純水といえども、密栓しないで室内に放置しておくと、空気中からVOC成分が溶解し、COD値を高くする可能性もあります。したがって、注(1)で「……次のようにしてその適否を確認できる。…………使用に適しない。」と水の判定および使用の可否について記載されています。

差し出がましいようで回答者の「匿名」さんには大変申し訳ないのですが、初心者が誤った認識をされると、後々まで影響すると思い、回答させていただきました。

回答に対するお礼・補足

詳しい解説ありがとうございました。まだまだ勉強不足でした。調べるだけでなく、自分の頭で考える事も大切ですね。
また勉強不足を指摘されてしまいそうですが、もう一つ教えてください。試料のCOD値から「空試験」のCOD値を引くというのは、試薬の濃度の誤差分を差し引く、ということなのでしょうか。だから、ファクターが低くなるにつれ、ブランク値も高くなるのですか。

No.16385 【A-1】

Re:CODの試薬について

2006-05-08 12:34:16 匿名

濃硫酸と希釈に使用した蒸留水に含まれる有機物を除去するためだと思います。滴下量は数滴、多分0.2mL以下です。
同じ理由ならば、硝酸銀の水溶液にも過マンガン酸カリウムを入れる必要がある筈ですが、JISには規定がありません。

回答に対するお礼・補足

ありがとうございました。私も硫酸に関してのみ、過マンガン酸カリウム溶液の添加の記載があるため、その理由に確信がもてませんでした。

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