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環境Q&A

自治体によって変化する、有価物の定義 

登録日: 2006年04月11日 最終回答日:2006年04月11日 ごみ・リサイクル リサイクル

No.16032 2006-04-11 09:04:37 azusa

不勉強で申し訳御座いません。
宜しければ御教え頂きたいと思います。


有価物の定義は環境省の見解により、運搬費用が発生した場合は、運搬までが廃棄物として法が適用され、売却先に到着したときより、有価物として扱われる。
として私は判断しました。

しかし、ある自治体から「運搬費用が発生した場合は全て廃棄物である。環境省の見解は関係ない。」
と言われました。

このような「指導」はS県以外でもあるものなのでしょうか?
また、このような文書化されない「指導」に逆らった場合、どのような弊害があるのでしょうか?(指導には罰則規定が無いため)

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No.16057 【A-3】

Re:自治体によって変化する、有価物の定義

2006-04-11 23:53:10 環境法初心者

Dr.ゴミスキー先生のご回答は専門的なので、少し補足しますね。

結論から言うと、

裁判所の解釈>自治体の解釈>環境省の解釈

といった具合です。

環境省からは統一的な解釈を目指して通知が出されますが、解釈の権限を持っているのは実際に仕事をする自治体です。「機関委任事務」と「法定受託事務」の違いですね。

○ ご参考
http://www.konansoft.com/eps/epsinfo18.htm#sec3

ただし、これはあくまで行政の中の話であって、最終的な法解釈の権限を持っているのは司法です。ですのでタテマエ上は、行政の解釈に納得がいかないのであれば、裁判所に訴えて争う余地もあります。

・・・でも訴訟は、おカネもかかるし、費やすエネルギーもバカにならないし、あまり現実性のある選択肢ではないですよね。裁判所の判断がある程度固まっている問題なら、それを根拠に行政を説き伏せることもできるのかもしれませんが。

> また、このような文書化されない「指導」に逆らった場合、どのような弊害があるのでしょうか?

これはDr.ゴミスキー先生お書きのとおり、「指導」ではなく、「法の執行」です。行政指導なら、必ずしも従う必要はないのですが、文書化されていなくても法の執行に際してそのように解釈するという意味ですので、少なくともその自治体では廃棄物として扱い、処理基準などの法定の要件を満たさない場合はそれなりのアクションをとる可能性がある、ということです。

「有権解釈」については、下のリンクのA-6からA-8までの、私とDr.ゴミスキー先生とのやりとりが、ご参考になるかと思います。
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=12347

No.16054 【A-2】

Re:自治体によって変化する、有価物の定義

2006-04-11 21:16:17 JK

>「環境省の見解は関係ない。」

としても、法令の範囲内でしか権限はありません。
「この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれに汚染された物を除く。)をいう。」
とありますので、少なくとも「汚物又は不要物」である必要はあります。
通常の経済活動において買い取った物は「不要物」ではないはずであり、受取手にとっては廃棄物ではありません。しかし、渡した側からみると廃棄物といわれても仕方がありません。

問題の所在は処分の許可がない者に委託するのは委託基準違反・・・ということでしょうか?一般論では何が問題なのかが分かりません。

No.16052 【A-1】

Re:自治体によって変化する、有価物の定義

2006-04-11 20:25:48 Dr.ゴミスキー

 ご質問の内容は、国の役割と地方自治体の役割及びそ分担と深く関係しています。

 国(政府と国会)は法律を制定し、その解釈を地方自治体に伝えます。この伝え方は、多くは命令ではありません。考え方を伝えるだけです。

 この解釈をどの様に執行するかは、その地方自治体の首長(知事や市町村長)にあります。

 ですから、その地域の特性と法解釈の狭間の判断が自治体の数だけあることになります。

 ご質問の「S県」と同じ見解の立場を取る自治体は複数存在します。例えば、九州地方の某大都市もその1つです。

 法律は全国的に通用するルールの筈です。しかし、自治権拡充の結果の表れです。

 逆らうとありますが、法の執行権限者の判断(有権解釈)の是非は裁判所以外で争うことが出来ませんから、そのことの意義を考えて下さい。



回答に対するお礼・補足

ご回答ありがとう御座いました。
代表として、こちらのレスにお礼申し上げます。

自治体の解釈によって判断が異なることがよくわかりました。

ただ、追記しますと。企業として「指導」に従わなかった結果、消費者へのイメージ低下などの悪影響が及ぶことは、やはりありえるのかと心配になりました。
本日、東京都に同様の質問をしたところ「指導に罰則は無く、自治体の考え方を述べただけである」と返答されました。
また「職員によって返答のニュアンスが変わるため、S県の統一見解としてもう一度質問されたほうが良いのではないか」ともアドバイスを受けました。

誰に従えば良いのか。企業は「指導」に必ずしも従う義務も責任も無いのか。困惑しております。

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