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環境Q&A

河川の大腸菌群数の変化 

登録日: 2006年03月09日 最終回答日:2006年03月24日 水・土壌環境 水質汚濁

No.15514 2006-03-09 12:52:40 ゆうこ

河川の大腸菌群数の変動について教えてください。
とある一級河川でこれまで月数回、5年間観測した大腸菌群数と糞便性大腸菌群数のデータを目にしました。

類型指定はA類型で1000mpn/100mlが基準値ですが、過去の結果では1000〜5000MPN/100mlで推移しています。
BODやSSなどの指標では全て基準値を満たしています。

自然由来の大腸菌も多分にあると思うのですが、前年度後半から100〜1000だった糞便性大腸菌が減少傾向となり今年は100前後となりました。この一方で大腸菌群数は10000MPN/100mlを超える数値が目立ち、年平均では過去の結果より3〜5倍高くなっています。突発的な高いデータが多いわけではなく全体に個々のデータで高いようです。

流域が広いことと1定点観測なのでいろいろな流域の状況を反映していると思うのですがその解釈が分かりません。
例えば
@雑排水や畜産排水対策の効果であるならば大腸菌と糞便性大腸菌が両方とも低下する。
A河川工事が影響しているのであれば、SSやBODも同時にあがる。降雨による変化も同じ挙動。

なお、降雨の状況は例年1500mm/年が今年は2/3の1000mm/年ぐらいです。

などのことを考えましたがつじつまが合いません。
どなたか、こういった現象で想定される流域の変化について教えて頂けますか?

総件数 4 件  page 1/1   

No.15765 【A-4】

Re:河川の大腸菌群数の変化

2006-03-24 22:01:05 マッシー・ナナ

1.最近では河川水の大腸菌(E-coli)や大腸菌群の検出には、EC培地法でなくて特定酵素基質培地法を使用している場合が多いと思いますが、
特定酵素基質培地法では一般河川の両者の割合は精度の向上で100/1程度になることが多いようです。ご質問の場合はいかがなのでしょうか?測定法は変わったことなどは考えられないでしょうか。

2.糞便に由来する細菌は基本的には大腸菌(E-coli)と考えてよいと思います。
A類型河川の流域下水道の処理方式は分流式と思いますので、降雨時でも、大腸菌が河川に流れ出しにくいと思われます。
しかし、一部に合流式下水処理方式が採用されていたり、分流が不十分な場合は、降雨により下水管渠内に滞留した大腸菌が流れ出して小河川に入り込みます。
今回のご質問の河川は、流域が広いようなので推測が難しいと思います、清浄な河川水に見出される大腸菌群は、「みっちゃん」さんのご指摘のように周辺土壌並びに流域河川中に常在する細菌種が多いと思われます。しかし、1000MPN/100mlは環境由来に帰するのは大腸菌群数が多いように考えられます。
大腸菌群に含まれる細菌種は、一般に大腸菌より河川中での減衰率が少ない細菌が多いので、1000MPN/100mlの一部は河川に入り込んで底泥に留まっていた下水由来の細菌群の可能性が高いです。
特に降雨が少ないと、SS分が下流に流されずに汚染された河川底泥が溜まる可能性が高く、下水由来の大腸菌群が長期間生き残ることもあると考えられますので、河川水の大腸菌群は多少増加すると考えられます。ただし、降雨量の年変動の少ない冬季の菌数も平年と異なっている場合 、2.の説は成立しないように思われます。

3.蛇足ですが、特定酵素基質培地法では一般細菌のAerobacter aerogenesを排除できます。

No.15571 【A-3】

Re:河川の大腸菌群数の変化

2006-03-12 19:56:51 みっちゃん

一晩考えてこのような仮説を立てました。

とある一級河川における大腸菌群数の多くはクレブジエラ属菌、サイトロバクター属菌、エンテロバクター属菌等の水生菌、Aerobacter aerogenes等の土壌菌が多くを占めている。

とある一級河川における糞便性大腸菌群数の多くはEC培地での培養を行って選択されていることから、本来の腸内性大腸菌との相関が良く本来の意味での糞便性大腸菌を表している。

よって、大腸菌群数と糞便性大腸菌群数は互いに競争排斥関係になっている。

大腸菌群数が多くなったので糞便性大腸菌群数は少なくなる。

ただ、これでは何で大腸菌群数が多くなったかは説明できません。

No.15537 【A-2】

Re:河川の大腸菌群数の変化

2006-03-10 14:05:14 みっちゃん

ご出身愛知県東郷町ですか、岐阜街道から旧東海道に抜けるとき通った事がありますが愛知用水が通り田畑が多い静かで明るい雰囲気の町でした。いい場所のようですね。

閑話休題
>異常値かどうかの判定はどのような判定方法があるのですか?>
>
一つは「棄却検定」などの方法を使います。
http://www1.tcue.ac.jp/home1/abek/htdocs/stat/t-test.html
あたりをご覧になってください。又「統計 検定」で検索されると色々な方法が出てきます。
ご注意いただきたい点があります。
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=14648
つまり、異常の定義はどう判断するかなのです。

>BODやSSのような簡単な挙動では無いようですね。>
>
同じように良く判らないと私は思っております。実際分析方法自体にも問題があり、私は良く同一検体を別ラベルで分析をかけることがあるのですが、殆どの場合精度は良くありません。ただ長期間河川水質を収集しますと全体的な傾向と一致するとは思っております。どちらかと言えば平均(算術・幾何・調和)、分散、中央、最低、最高、最多、等の統計値により判断すれば傾向として見えるのですが、箇々の数値にこだわると訳がわからなく、説明できないことが多くあると思っております。まあ説明できる場合もあるのですが、果たしてその推定が必ずしも正しいとは限りませんし。不十分な回答ですが、考察がまとめられ、ご発表の時には是非お話を伺いたいものです。

回答に対するお礼・補足

ご自身の体験を踏まえたご回答有り難うございます。
大変参考になります。
まだ、棄却検定までたどり着いていないのですが、X軸に濁度とY軸にSSをプロットし、その関係を見たところこれまでよりいくらか傾きが小さくなっていることが分かりました。これをSS成分の比重が小さくなっていると考えると降雨の変化による河道堆積物の変化ととらえられ、1回目のみっちゃんさんの回答の中の堆積物に繋がる話かなっと思っています。
お忙しい中、数々のアドバイスをいただきありがとうございました。もう少しがんばってみます。

No.15528 【A-1】

Re:河川の大腸菌群数の変化

2006-03-10 01:06:23 みっちゃん

>類型指定はA類型で1000mpn/100mlが基準値ですが、過去の結果では1000〜5000MPN/100mlで推移しています。
>BODやSSなどの指標では全て基準値を満たしています。
>
>自然由来の大腸菌も多分にあると思うのですが、前年度後半から100〜1000だった糞便性大腸菌が減少傾向となり今年は100前後となりました。この一方で大腸菌群数は10000MPN/100mlを超える数値が目立ち、年平均では過去の結果より3〜5倍高くなっています。突発的な高いデータが多いわけではなく全体に個々のデータで高いようです。
>
>流域が広いことと1定点観測なのでいろいろな流域の状況を反映していると思うのですがその解釈が分かりません。
>降雨の状況は例年1500mm/年が今年は2/3の1000mm/年ぐらいです。
>
たいへんおもしろいデーターですね。
 あくまでも仮定ですが。大腸菌群は降雨が少ないため、川底の堆積物が流出しないので増加したと考えられないでしょうか?近年のデーターのなかに河川流量のデーターはないでしょうか。又、水温、栄養塩類である窒素、燐の変動はどのようになっていますか?
 糞便性大腸菌についてですが、今年の水温が高いとすれば低温性大腸菌群の影響も考えられます。
 試験方法はEC培地それともM-FC培地でしょうか。以下の参考文献をお読みください。
http://www.hokan.pref.mie.jp/report/pdf/99rep_9.pdf
http://www.town.togo.aichi.jp/kei/kan/Ecoli-report.pdf
http://www.ritsumei.ac.jp/se/rv/higuchi/05grad/mizu/sato.pdf
http://www.fch.chuo.fukuoka.jp/s51shoho/02-p82.htm
 ただ、一般的にはそれほどきれいなデーターにはならないのが通常ですが。意味があるかどうかは別として、統計処理してはっきり母集団からの異常値になるのかどうか、元データー検討しないと良く判りませんね!が本当のところです。
 何らかの項目と相関が取れたとしても、次回には関連が取れない。ある中小河川のデーターを十数年分興味本位で分析した結果がそうでした。

回答に対するお礼・補足

深夜にもかかわらずご回答をいただき有り難うございました。また、関連文献をお示しいただき有り難うございました。余談ですが、文献にありました「東郷町の大腸菌実態」ですが偶然にも私の出身地なので驚きました。
糞便性大腸菌群数の培地は「河川水質試験法59-3.3.2」と記載がありますのでEC培地です。
また、水温については詳しく見ておりませんが以前とは変わらないようです。その他の窒素・リン・流量などのデータは河川の生活環境項目のみの測定ですのでありません。類型指定はA類型でBODについては75%値で1.0mg/lでSS・PH・DOについてもどのデータを見ても基準値を満たしており良好であると感じています。
うーん、大腸菌だけがなぜか変動しているんです。
なかなかBODやSSのような簡単な挙動では無いようですね。
一つ教えていただけますか?異常値かどうかの判定はどのような判定方法があるのですか?
ヒントを与えて頂き、本当は自分で調べなくてはいけないのですが。。。

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