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環境Q&A

植物プランクトンからクロロフィルを抽出するための溶媒について 

登録日: 2006年02月27日 最終回答日:2006年03月11日 水・土壌環境 水質汚濁

No.15290 2006-02-27 11:54:30 redstar

私は今、環境水中のクロロフィルの測定をしています。
現在、上水試験法より抽出溶媒にアセトンを用いています。
上水試験法には、またメタノールを用いる方法もあり、
メタノールはアセトンよりも細胞膜を破壊しやすく、
抽出が容易であるとあります。

なぜ、アセトンよりもメタノールのほうが細胞膜を
破壊しやすいのでしょうか?
また、メタノール以外にも細胞膜を破壊しやすい溶媒と
いうものがあるのでしょうか?

ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。
よろしくお願いします。

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No.15550 【A-3】

Re:植物プランクトンからクロロフィルを抽出するための溶媒について

2006-03-11 14:06:28 TOS

はじめまして、TOSといいます。

 DMFを用いる方法は、以下のサイトにマニュアルが公開されています。

「蛍光法によるクロロフィル分析マニュアル」
http://ss.myg.affrc.go.jp/kaiyo/aline/manual/chl-measure.pdf

 海洋調査などで、試料を速やかに測定できないとき、アセトンよりも揮発性が低く、試料の保存性が良いという理由から、DMFが採用されたようです。

また、HPLCを用いる測定方法もあります。

「海藻に含まれている色素の新しい分析方法」
http://www.pref.ishikawa.jp/suisan/center/kenpo/kenpo3-2.pdf

 こちらの方法では、抽出はメタノールで行っています。

 上水試験方法解説編に記載がある熱エタノール法は、JISに採用されています。以下のサイトで閲覧可能です。

日本工業標準調査会 (JISC)ホームページ
http://www.jisc.go.jp/app/pager

 基本的に、植物プランクトンの細胞膜を構成する糖質が溶解できるのなら、どのような溶媒でも使用可なのでしょう。
 クロロホルムやジクロロメタンのような塩素系有機溶媒は、有機物質の溶解性に優れるので抽出溶媒に良く用いられていますが、クロロフィルの分析に関して言えば、アセトンやメタノールに比べ、
1)揮発性が高い
2)人体への有害性が高い
3)試料の乾燥や抽出後の脱水作業が必要
等の理由から避けられたのではないでしょうか。
 また、上水試験方法解説編にもあるとおり、アセトンやメタノールを用いる測定方法は、ホモジナイザーを用いずに溶媒抽出でクロロフィルの回収を行いたいということから検討されています。実証データについては、まだこれからというところではないかとも思います。
 2001年版上水試験方法の編集後、現在までの水道関係や環境関係、水産、生物などの関連雑誌を調べてみたのですが、すいません、調べ切れませんでした。
 こういった雑誌などに、その後の検討データが載っていると思うのですが・・・。

回答に対するお礼・補足

回答ありがとうございます。

そうですか。塩素系有機溶媒を用いるときは幾つか作業が増えてしまうんですね。
抽出力の向上以外にも、操作の簡便化についても検討を行っていたので、最初はみなさんが薦めてくださったDMFを用いてみようかと思います。
これからもっと文献などを探して、調べてみようと思います

No.15441 【A-2】

Re:植物プランクトンからクロロフィルを抽出するための溶媒について

2006-03-05 19:26:33 みっちゃん

>メタノールはアセトンよりも細胞膜を破壊しやすく、抽出が容易であるとあります。なぜ、アセトンよりもメタノールのほうが細胞膜を破壊しやすいのでしょうか?>
>

直接の答えではないのですがアルコールの消毒作用の機構は細胞膜に対する蛋白変成作用と脱脂によると考えられています。

で今回のご質問の場合、アルコール消毒でもよく間違われるのですが蛋白変成作用が強いと(例えばエチルアルコール100%より80%のほうが消毒力がある)細胞外壁だけ変成して結局消毒力が下がってしまいます。
同様にアセトンとメチルアルコールの場合も考えられないでしょうか。結構アセトンは強い脱水、脱脂作用があると思いますが。

別途クロロフィルを回収するわけですから強すぎて全てを溶かしてしまったら、又困るのですよね。強い浸透圧差を利用して一度濃い食塩水に入れた後純水に入れれば細胞は殆どバラバラになります。細胞壁を溶かすだけなら硝酸のような強い酸化剤で溶けますけどクロロフィルも一緒に溶けてしまうと思います。

又溶剤との相性、つまり溶解性も重要だと思うのですが、アセトン、メチルアルコール、DMF全て水に良く溶けます。

余りよい回答ではないですがメチルアルコール、DMFがクロロフィル回収に使うには適切な細胞壁破壊力を持ち細胞内構造を破壊しない適度な破壊力を持つと考えればよいのでは。

DMFは結構毒性もあり、取り扱いに注意が必要な物質です。
http://www.nihs.go.jp/ICSC/icssj-c/icss0457c.html

回答に対するお礼・補足

返信ありがとうございます。

生物学の知識がほとんどないので、とても参考になりました。勉強して検討しようと思います。

また、何かあったらよろしくお願いします。

No.15408 【A-1】

Re:植物プランクトンからクロロフィルを抽出するための溶媒について

2006-03-04 14:20:06 todoroki

こんにちは、todorokiです。返信が遅くてごめんなさい。こういうサイトを見つけました。→http://www.amco.co.jp/kagaku/kt_InVivo.htm 下の方に小さい字で書いてありますが、「溶媒としては90%アセトン/水 またはDMF(N.N-dimethylformamide)が用いられています…」とのことです。
またよく聞くのは、含塩素有機溶媒、具体的にはクロロホルム(CHCl3),塩化メチレン(CH2Cl2)などでしょうか。
実験うまくいくといいですね。

回答に対するお礼・補足

返信ありがとうございます。
遅くてだなんて、答えてもらっただけで感謝です。

とりあえず、DMFを用いる方向で検討してみようかと思います。
再度、質問になってしまうのですが、含塩素有機溶媒を用いるというのは、抽出する際に塩素が何かしらの働きをするのでしょうか?
何も知らなくてすみません、もし、良かったら教えてください。

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