環境Q&A

No.1488 【A-2】

Re:地下水の硫黄臭について

2003-01-09 18:02:39 ちしゃ （

土地の状況がわかりませんが、廃棄物からの溶出が考えられるようでしたら、原因の硫化水素である可能性もあると思います。（きわめて好ましくないことですが）

旧厚生省水道環境部産業廃棄物対策室の廃棄物最終処分場における硫化水素対策検討会報告書骨子（平成１２年９月６日）http://www.env.go.jp/recycle/kosei_press/h000906a.html
では廃棄物最終処分場での硫化水素発生の基本的なメカニズムをまとめています。

下記（１）〜（５）の要因
(1)硫酸塩を含む廃棄物（廃石膏ボードなど）が供給源となり、硫酸イオンが高濃度で存在すること
(2)有機物（硫酸塩還元菌の炭素源）が存在すること
(3)嫌気性の環境であること（酸素が存在しない）
(4)埋立層内に水がたまっていたり、たまりやすい状況があること
(5)硫酸塩還元菌が存在していること
が揃うと、硫酸塩還元菌が硫酸イオンと有機物を利用して、硫酸塩を還元することにより硫化水素を生成するそうです。

電気伝導率の上昇は廃石膏ボードなど電解質物質（無機塩類）を含む廃棄物の溶出、廃棄物中の金属のイオン化、溶出も考えられます

これについては
Ｑ.最終処分場での異種金属接触によるイオン化溶出について
http://www.eic.or.jp/QA/bbs02.php3?serial=573
の回答で千葉県環境研究センターの研究概要の中に紹介されている
http://db01.wit.pref.chiba.jp/bank/rd.nsf/view?OpenView
「最終処分場浸出水中のイオン類について」や『日本消費者新聞』の記事
を紹介しましたので、ご参照ください。

電気伝導率と塩化物イオンの相関性は高いそうです

なお最終処分場の維持管理基準では
http://www.env.go.jp/recycle/kosei_press/h980616a/h980616a-2.html
・埋立開始後、電気伝導率又は塩化物イオン濃度を１月に１回以上測定・ 記録すること。
・電気伝導率又は塩化物イオン濃度に異状が認められた場合には、速やかに再度測定・記録するとともに地下水等検査項目についても測定・記録すること。
が定められていますが、処分場そのものの測定記録はどうなっているのでしょうか。

T.Kinoshita　さんが書かれた海水の影響であれば、よいのですが。

No.1486 【A-1】

Re:地下水の硫黄臭について

2003-01-09 16:52:34 T.Kinoshita （

塩化物イオン濃度が平均300mg/L（最高740mg/l)と高めということで、おっしゃるように海水の影響を受けている可能性が大きいと思います。
これを確認する最も容易な手法としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの海水中の主な陽イオンも塩化物イオンと併せて分析し、海水中の組成と近いかどうかチェックされてはいかがでしょうか。
ちなみに、海水中のこれらの元素の組成は、Turekian「Handbook of Geochemistry」（1969）によると、g／kg単位でNa:K:Ca:Mg=10.77:0.391:0.412:1.29です。これらは通常の地下水にくらべていずれも圧倒的に高い濃度なので、もし海水が混入しているとすればおおむねこの組成が維持されているものと思われます。（海水の元素組成については最近の数値もたくさん出されているはずです。）
なお、海水中には硫酸イオンも2.649g／kg程度と多く含まれており、おっしゃるように、これが嫌気的な環境で硫化物に還元され、硫化水素臭の原因になっているのではないでしょうか。