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環境Q&A

COD-Cr法について(サンプル採取量・低CODサンプルの分析) 

登録日: 2005年08月18日 最終回答日:2005年09月02日 水・土壌環境 水質汚濁

No.11999 2005-08-18 10:36:17 水質分析初心者

このたび事業所の排水水質検査を始めることになりました。
CODはJISK0102の重クロム酸法にてテスト分析を行っているところです。

試料採取量としては「ニクロム酸カリウムの約1/2残るような試料量を採取する」
という記述があります。
これはサンプルの滴定量(mL)がブランクの滴定量(mL)の約半分になればよい
と解釈してよろしいのでしょうか?
また、どの程度のブレまで許されるものでしょうか?
幅が指定されていないのでなんとも解釈できません。

分析サンプルは排水の原水と処理水(放流水)なのですが、
処理水はかなりキレイでサンプル採取量を最大の20mL(ブランクの水の量と同じ)
に設定してもその滴定量はブランクの87%になってしまいました。
「ニクロム酸カリウムの約1/2が残る量」とするには
低濃度サンプルだと20mL以上をとることになってしまいます。
JISなどの公の試験法に従ってCOD分析を行いたいのですが、
このようなサンプルだとどのように分析するのが正しいのか分かりません。

反対に原水はかなり汚く、1mLのサンプル量でもニクロム酸カリウムの全量が消費されていました。
次回は200μl程度で実施してみようかと考えていますが、
この両極端なサンプル2種を『サンプル量〜20mL』という同じ枠内で
分析することに難しさを感じています。

●COD-Cr法の適正サンプル量の幅(例えばニクロム酸カリウム残留量が4/5〜1/2とか)
●低濃度サンプルの分析について
の2点について何か知見等ありましたら御教授ください。

宜しくお願い致します。

総件数 5 件  page 1/1   

No.12202 【A-5】

Re:COD-Cr法について(サンプル採取量・低CODサンプルの分析)

2005-09-02 22:58:21 つもった

>分析法の中には統一された一つの条件で行う方法があります。CODがまさにその中に入ります。酸化剤を使い化学的に反応させるわけですから、いろいろな条件でも反応は起こります。そのバラバラの条件で結果を比較してもしょうがないわけですから、公定法という形で統一した方法を定めているわけです。そこには勝手な解釈が入り込まないようにしなければなりません。そこで公定法の作成者は表現に苦労していると思います。
そこでかかれている試験法を理解するために一般的に分かるように文章を書き換えないといけません。
検水20mlで分析を行う。
そのときの滴定値が1/2以内であるのか。
1/2以内であれば何ら問題がありません。それが統一の方法だからです。
超える場合には検水を少なくしなければなりません。
そこで適量ということになり、その注意書きとしての約1/2になるようにとなるわけです。このことが本文ではなく注意書きであることに注意すべきです。はじめからこの条件にはまる検水とは書いてはいません。適量・希釈が伴うときの条件です。希釈する必要がなければ何も考える必要がありません。
CODみたいな試験法は、有機物を測定していると考えてはいけません。あくまでその条件で反応した重クロム酸カリの消費量です。その値を有機物量の比較に使っているだけです。
低濃度の有機物を測りたいのであれば、重クロム酸カリの濃度を薄くするのも手です。社外に発表されないのであればその反応条件は、自由に決めてよいのでは。分析方法は目的にあったものを選択すべきです。
>

No.12069 【A-4】

Re:COD-Cr法について(サンプル採取量・低CODサンプルの分析)

2005-08-24 11:42:52 miho


>JISの改訂により低濃度試料についての記述がなくなっているということは、
>「規定より高濃度」だと影響が大きいが、「規定より低濃度」でも大丈夫だということかもしれませんね。

逆です。
ニクロム酸カリウムは酸化力が強いので、むしろ低濃度試料ですと、空気中や器具に付着した微量の有機物で誤差が大きくなることが考えられます。
実際には、器具用の洗剤で普通に洗浄し、定められた操作をしていれば騒ぎ立てるほどの問題は無い筈です。
ただ、考え方としてはそういう事です。

日本では、酸素消費量の測定はCOD-Mnが主流です。
JIS水質試験法の委員会では単にCODという場合はCOD-Mnであることを定めています。
逆に欧米ではその酸化力の強さからでしょうか、ニクロム酸カリ法が主流の国もあります。
時代背景もありますし、各測定法それぞれ長短所もあります。両測定法をお調べ頂けると、何故ニクロム酸カリウム法で低濃度試料について触れられなくなったのか、なんとなくでも御理解頂けると思います。


>幸い(?)私の低濃度分析サンプルは規定値の2割条項は満たしておりますが。

誤解を招かれると困るのですが、2割というのは極めて個人的な私の感覚です。この様な感覚を持つ人もいるのか、程度に収めて頂きたく思います。


>そうすると結局ニクロム酸の残留割合は変わらないのでは、と思うのですが???

この方法では滴定前の最終液量も試料量に比例して変えるのでニクロム酸の割合をかえる必要はありません。
最終液量を変えず、試料量のみを変える場合は試薬の量は従来通りで宜しいかと思います。
分析条件を統一しましょうということです。


>「各水準でのデータを取得し、ばらつきの小さい範囲を以って定量範囲を定める」
>という場合は、例えばグルコースなどの一般試薬を用いて分析する、ということでしょうか?
>それとも実際の排水を用いて(高濃度のものを希釈する)実施するべきことなのでしょうか?

既知の値を持つ排水を用いるほうが宜しいかと思います。
試薬と排水では、挙動が異なることが予想されます。
グルコース等の試薬は操作等確認の為使用なされると宜しいのではないかと思います。

各事業所、諸事情ございますのでなんともいえませんが、事情がお許しに成るようでしたら、COD-Mnでの測定を一考されるのもひとつの方法と思われます。



No.12050 【A-3】

Re:COD-Cr法について(サンプル採取量・低CODサンプルの分析)

2005-08-22 17:20:43 miho


>「COD-Cr値が約100mgO/Lより著しく小さい」の『著しく』とは
>いかほどであると思われますか?

著しく・・・確かに曖昧な表示ですね。
極めて個人的な感覚になってしまいますが、私でしたら規定値の2割とイメージします。根拠はありません。
が、実際この方法で測定を依頼された場合は、各水準でのデータを取得し、ばらつきの小さい範囲を以って定量範囲と定めるだろうと思います。


>「試料20mL以上を用いた場合は、添加する試薬の量も、
>試料に比例して増加させる」
>の部分も良く分かりません。
>ニクロム酸カリウム溶液の添加量は変えずに、そのたの物だけ多くすれば良いのでしょうか。。。

先日私が御紹介させて頂きました解説書によりますと、ニクロム酸カリウム溶液を含む全ての試薬、となるようです。

>サンプリング量が30mLなら硫酸(硫酸銀)と硫酸水銀をそれぞれ1.5倍量加えるとか?

そのように御理解頂いて間違い無いと判断致します。

ですが、お詫びしなければならない事がございまして・・・
JISK0102は7,8回改正されており、伴い、解説書も、調べました限り3回の改訂が成されております。
解説書にはその時点でのJIS本文が記載されています。
私が所持しています解説書には、JIS本文にて「試料50mL以上を用いた場合」についての記載があり、それについての解説もありましたが、改正後のJISにおきましては低濃度試料についての事項はありませんし、硫酸水銀につきましても以前は塩化物イオンの量に伴い増量添加していたようですが、マスキング剤としての効果、水銀化合物であること等により、塩化物イオンの量に拘らず一定量の添加となっているようです。

以上の事情で、先にご紹介させて頂きましたものは現測定法にそぐわないかも知れません。(通常のサンプリング量は問題無いと思われます。)
充分な裏づけの無いまま投稿致しましたこと、大変申し訳無く思います。
勝手ではありますがお許し頂きたく存じます。

それと、先述致しました、「1/2で100mgO/Lに相当」
書籍ではこの記載でしたが、計算してみますと「全量で100mgO/L」となります。私の計算間違いか、1版1刷の本なので記載間違いか・・・・

解説書ですが、JIS第7回改正に対応したものが、定価5670円で出版されているようです。
amazon.com.jpではユーズド価格4100円より販売のようです。御参考までに。







回答に対するお礼・補足

色々とお調べ頂いたようで、感謝致します。
本当に有難うございます。

JISの改訂により低濃度試料についての記述がなくなっているということは、
「規定より高濃度」だと影響が大きいが、「規定より低濃度」でも大丈夫だということかもしれませんね。
あくまでも私の希望的観測ですが。

幸い(?)私の低濃度分析サンプルは規定値の2割条項は満たしておりますが。


しかし改訂前の解説によると「ニクロム酸も含めた試薬の量をサンプル量に比例して増やす」とのことですが、
そうすると結局ニクロム酸の残留割合は変わらないのでは、と思うのですが???
私の解釈が間違っているのでしょうか…。
自分の頭の悪さには辟易です。

また、最後にもう一点だけお尋ねしたいのですが、
「各水準でのデータを取得し、ばらつきの小さい範囲を以って定量範囲を定める」
という場合は、例えばグルコースなどの一般試薬を用いて分析する、ということでしょうか?
それとも実際の排水を用いて(高濃度のものを希釈する)実施するべきことなのでしょうか?

ご好意に甘えてばかりで申し訳ございませんが、
宜しければお答えいただければ幸いです。

No.12048 【A-2】

Re:COD-Cr法について(サンプル採取量・低CODサンプルの分析)

2005-08-22 15:11:49 miho

>また、前回の質問内容なのですが、
>「ニクロム酸カリウム溶液の1/2量が残る」というのは
>「滴定に要する液量が1/2である」とイコールであると考
>えてよろしいのでしょうか?

はい。
JISの記載にも有りますように、25mol/L硫酸第一鉄アンモニウム溶液と 1/240mol/Lニクロム酸カリウム溶液は、どちらも N/40の溶液となり相当しますので、滴定に要する液量が1/2になると考えて差し支えないと思います。

>ブランクが8mlなら4mLになればよい?

いいえ。
結果的にはおっしゃる通り、ブランクの滴定に要した液量の、半分程度の滴定液が使用されることとなろうかとは思いますが、あくまで「添加されたニクロム酸カリウムの半量」と有ります。
ブランクに使用される水にも微量の被酸化性物質が存在し、よって酸化剤の消費がある筈ですので、対象として捉えられていないのだと考えます。

先述致しましたように、酸化剤と滴定液は相当します。
試料に酸化剤を10ml加えた時、その試料に被酸化性物質が一切存在していなければ、滴定液は10ml必要となります。
サンプリングに適した量は酸化剤が約半分(5ml)残るような量ですので、滴定液も約半分、5ml程度で反応終了となるような量と判断致します。

サンプル量の幅については、酸化還元電位の違いにより、同一試料でも検水量の多少により測定値が変化するので、反応による酸化還元電位をなるべく一定に保つべく、1/2の量という所謂お約束事が、酸素消費量の測定においては設けられたものと思われます。

私は、本法におけるCODの測定は手掛けた事が無く、なんのデータも所持しておりませんので確かなことは申せませんが、
本法においては、サンプリング量について1/2以外特記事項が無いようですし、厄介な生成物が出来るということも無いように見うけられますので、COD-Mnに倣い酸化剤の残留量が約40〜60%程度での測定を試みられて、データを取得されてみては如何かと思います。
 
字数制限を越えそうですので、再度投稿させていただきます。

No.12002 【A-1】

Re:COD-Cr法について(サンプル採取量・低CODサンプルの分析)

2005-08-18 13:26:51 miho

通常、本法は有機物の多い試料に用いられる。

K0102の20、注(2)に示すように、反応後ニクロム酸カリウム溶液の約1/2量が残るような試料の量を用いるが、
試料20mlを用いて、ニクロム酸カリウム溶液の1/2が残った場合は、COD-Cr100mgO/Lに相当する。

これ以上のCOD-Cr値の試料の場合には、20mLに薄めたとき100mgO/Lになるように試料を取る。

また、COD-Cr値が約100mgO/Lより著しく小さい試料の場合は、ニクロム酸カリウム溶液の反応量を増加させるため、
20mL以上の試料を用いて試験を行っても良い。

本法は、他の化学的酸素量の試験と異なり、酸化反応が完結近く進むため、反応条件のわずかな変化は測定値に大きくは影響しない。

しかし、試験条件をなるべく同一とするため、試料20mL以上を用いた場合は、添加する試薬の量も、試料に比例して増加させる。


日本規格協会より出版されていますJIS(0102)の解説本(詳細 工場排水試験法)に上記記述が掲載されています。
ですが、手元にあるのは1982年、第1版第1刷という非常に古いものですので、その後改訂等有ったかもしれません。

回答に対するお礼・補足

ご回答ありがとうございます。

JISの解説本というものがあるのですね。知りませんでした。
価格によりますが、購入を考えてみます。

ちなみに、ご回答頂いた内容についてmihoさんにお尋ねしたいのですが、
「COD-Cr値が約100mgO/Lより著しく小さい」の『著しく』とは
いかほどであると思われますか?
解説本なのに不明瞭な書き方なので、他の方のご意見をお聞きしたいと思いまして。
「試料20mL以上を用いた場合は、添加する試薬の量も、
試料に比例して増加させる」
の部分も良く分かりません。
ニクロム酸カリウム溶液の添加量は変えずに、そのたの物だけ多くすれば良いのでしょうか。。。
サンプリング量が30mLなら硫酸(硫酸銀)と硫酸水銀をそれぞれ1.5倍量加えるとか?

また、前回の質問内容なのですが、
「ニクロム酸カリウム溶液の1/2量が残る」というのは
「滴定に要する液量が1/2である」とイコールであると考えてよろしいのでしょうか?
ブランクが8mlなら4mLになればよい?

初歩的なことで申し訳ないのですが、
よろしくお願いします。

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