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環境Q&A

フッ素の水蒸気蒸留について 

登録日: 2005年06月21日 最終回答日:2005年06月23日 水・土壌環境 水質汚濁

No.11124 2005-06-21 12:42:04 シープ

分析をしているものです。
現在フッ素の分析で回収率を上げるためにいろいろ検討しています。
化学の知識が乏しく、原理を理解しきれていないので、どなたかわかりやすく教えてくださるとありがたいです。
初めに、蒸留時の状態がよく分かりません。
フッ素は、二酸化珪素、過塩素酸とともに水蒸気蒸留したときSiF4の形で留出されるのですか?
それと、水蒸気蒸留の必要性は何ですか?水蒸気蒸留とは水蒸気を通すことで蒸留フラスコ内の液より沸点が高いものを留出できるということであっているのでしょうか?もしそうであれば、現在140℃で水蒸気を通しているのですが、水蒸気蒸留を行う理由はSiF4か何かが、140℃よりも沸点が高いためと考えてよいのでしょうか?
今の段階では水蒸気を通すタイミングを変えることを考慮しています。
受器などもポリ容器を使っているのですが、ポリ容器の場合でもアルカリを保っておいた方がよいのでしょうか?
どなたかもしよろしければ、教えていただけないでしょうか?

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No.11160 【A-2】

Re:フッ素の水蒸気蒸留について

2005-06-23 16:59:26 古都

回収率に関しては、上水試験方法に
 「回収率の評価は、通常濃度(定量上限の約0.1〜0.9)の場合、回収率が0.9〜1.1ならば測定値は良好とする。」
とあります。ただ、測定対象の濃度によりますから、簡単に90%なら・・・とはいいづらいです。
この辺は私も不勉強なのですが。

>実際、試料50 mlを蒸留していたのを25 ml蒸留したところ回収率は上がりました。
試料50mlだと、フラスコ内の酸濃度が低くなりそうですね。いろいろ試してみたところ、蒸留中、導入する蒸気の量が多すぎたりして、フラスコ内の水量が増えたときはかなり回収率が悪かったように思います。
ちなみに当社では、低濃度の試料の場合、試料500mlを濃縮して30ml以下にしています。

>ガラス容器だとガラスへの吸着が心配なのですが、大丈夫なのでしょうか?
今まで考えたことがありませんでした・・・、すみません。
ただ、蒸留操作やその後の発色段階でも、ガラス器具を使いますから、気にする程のことはないと思うのですが、ちょっと勉強してみます。

あと、上で書いた「過塩素酸又は硫酸30mlを加える時に」は、「過塩素酸40ml又は硫酸30ml」の間違いでした、訂正いたします。

上で書いた内容は「環境と測定技術」の数年前のSELFの回答中に載っていたものの抜粋です。2000年頃のもので、コピーしか手元にないので詳しい号はわからないのですが、もしバックナンバーがお手元にあるなら、とても詳しくて便利ですよ。

回答に対するお礼・補足

今回も詳しく回答してくださってありがとうございます。
教えていただいた「環境と測定技術」は、ちょっと探してみます。
今後、自分でも勉強していくつもりですが、また何かつまずいた時にはよろしくお願いします。

No.11132 【A-1】

Re:フッ素の水蒸気蒸留について

2005-06-21 19:47:37 古都

ふっ素の回収率には私も大変苦労しています。色々調べた事がありますので直接の返答とは、ずれるかもしれませんが、回収率を上げる為の注意点のみ書かせて頂きます。それが結局、水蒸気蒸留に関する質問の答えになるかもしれませんので。

まず蒸留操作ですが、発色時に陽イオンが妨害するため、それを分離するために行います。
SiF4を生成させ、留出させますが、これを生成させる為に加える二酸化けい素の品質が重要です。二酸化ケイ素の品質が悪いと、その表面にヘキサフルオロけい酸が吸着してしまい、回収率の下がる原因になります。

次に、蒸留フラスコ中の試料溶液に対する過塩素酸又は硫酸の濃度が下がらないようにしなくてはなりません。
そのため、試料はアルカリ性条件下で濃縮し、洗い込み分を含めて40mlくらいにします。
蒸留フラスコ中の試料溶液(微アルカリ性、液量40ml)に過塩素酸又は硫酸30mlを加える時に、一度に加えると急激に発熱し、ヘキサフルオロけい酸が急激に生成して揮散することがあるので、徐々に加えます。蒸留中この酸濃度を一定に保つことが重要です。

フラスコ中の溶液の温度が140℃に達してから水蒸気を導入します。これより液温が低いと、水蒸気がフラスコ中で凝して、試料液量が増えて酸濃度が低下してしまい、ふっ化物の分解、ヘキサフルオロけい酸の留出が不完全になるようです。
留出速度も、酸濃度を一定に保つため重要です。
特に水蒸気を導入し始めた初期は留出速度が速くなりがちなので、導入量を調節して、3〜5ml/minになるようにします。

留出液の受器中の水が酸性となると、ふっ化物イオンが揮散し低下しますので、常に微アルカリ性の液性を蒸留中保ちます。

手持ちのデータによると、蒸留の温度は、145℃であれば、留出液量160ml程度、135℃であれば、350mlで十分回収できるそうです。
また、蒸留が速いと過塩素酸が同時に留出してしまい、蒸留後の操作の妨害となるそうです。
これらの点と作業性から、140℃、4ml/minと決められたようです。

>受器などもポリ容器を使っているのですが
250mlの全量フラスコや、共栓付のメスシリンダーの方が使いやすいと思いますが・・・?
もちろん、アルカリ性にする必要があります。

回答に対するお礼・補足

ご丁寧な回答ありがとうございます。
大変参考になりました。

実際、試料50 mlを蒸留していたのを25 ml蒸留したところ回収率は上がりました。それでも90パーセントに満たないほどなのですが、それが限度なのでしょうか?

また、二酸化ケイ素への吸着については知りませんでした。今後、二酸化ケイ素の品質についても検討します。

受器についてですが、250 mlのポリ容器を使用している理由は、私の前任者が回収率を上げるために行った改善策です。ガラス容器だとガラスへの吸着が心配なのですが、大丈夫なのでしょうか?

もしよろしければ、そちらの状況を教えていただけると嬉しいです。無理でしたら、かまいませんので。

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