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環境Q&A

排水中のイオン界面活性剤 

登録日: 2005年06月07日 最終回答日:2005年12月14日 水・土壌環境 水質汚濁

No.10855 2005-06-07 05:50:10 さた

排水中のイオン界面活性剤の処理方法を教えてください。
少々、調べてみたところ、凝集や活性炭処理があるようですがどのぐらいの濃度で使用できるのでしょうか?
わかりましたら、参考文献、参考URL等併せてお願いします

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No.13803 【A-1】

Re:排水中のイオン界面活性剤

2005-12-14 10:58:04 グリーンパルサー

排水中に含まれる界面活性剤を凝集沈殿で除去するためには、大量の凝集剤が必要になるので、ランニングコストが高くなり、実用的ではありません。イオン系界面活性剤は有機物を取囲んで分散させる効果があるのに対し、凝集剤は有機物の電荷を中和させて凝集させる効果があります。両者は全く逆の効果をもたらすので、界面活性剤を含む排水を凝集沈殿で処理するためには、界面活性剤の効果を相殺するだけの凝集剤が必要であり、さらに凝集させるための凝集剤が必要になります。したがって、実験室レベルの研究ならいざ知らず、実用的な方法ではありません。

また、界面活性剤の活性炭による吸着については、純水で希釈した界面活性剤と、排水中に存在する界面活性剤とでは、その吸着量に差があります。排水中の場合、他の有機物が活性炭の吸着を妨害するので、純水中における飽和吸着量よりも少なくなることが、知られています。

活性炭吸着装置でどこまで除去できるかについては、理論上ではどこまでも除去できますが、ランニングコストを重視するならば、一定頻度で取出す活性炭(廃炭)の吸着量を如何に高めるかが重要です。
純水中の界面活性剤の濃度を90%除去する場合、固定床1塔式では廃炭の吸着量は飽和吸着量の19%しか吸着しませんが、固定床3塔直列メリーゴーランド式では34%を吸着することができるので、ランニングコストは約半分になります。ただし、界面活性剤を含む排水には大量の懸濁物質(数百mg/Lの例があります)が含まれているので、固定床式の活性炭吸着塔を使用すると、活性炭槽が目詰りしやすく、頻繁に逆洗が必要になり、その逆洗排水をどのように処理するのかも問題になります。
砂ろ過器で予めろ過する方法もありますが、界面活性剤が含まれていると、SSがろ材に捕捉さても洗い流されてしまうので、除去できません。

唯一の解決方法は、大量のSSを含む原水でも使用可能な上向流活性炭吸着塔を多段で使用する方法です。上向流移動床式活性炭吸着装置を販売している国内メーカーはHPを開設しているので、キーワード検索してみて下さい。


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