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環境Q&A

牛乳のCOD 

登録日: 2001年05月17日 最終回答日:2001年05月17日 水・土壌環境 水質汚濁

No.102 2001-05-17 17:53:43 sasaki

私は牛乳を使った実験をしています。
その牛乳の正確なCOD値を調べているのですがなかなかみつかりません。
牛乳の正確なCOD値、またその値が記載されている文献の情報がありましたら、ぜひ教えて下さい。

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No.104 【A-2】

Re:牛乳のCOD 【前編】

2001-05-17 18:00:45 simo

ちょっと長いので、2回に分けて書いてみます。

【前編】:
牛乳のCOD値について書かれているページをいくつか見つけました。

(2)郡山市立御舘中学校「黒石川 水質&水源調査団」(http://www.koriyama.net6.or.jp/~jhmitate/indoor/study/kyodo/suisituchousa/katehai.htm
 家庭から出る排水のCOD値
  ソース・・・・・・・100
  マイペット・・・・・・10
  塩・・・・・・・・・・・7.5
  サッサ(クレンザー)・・7
  マヨネーズ・・・・・・50
  牛乳・・・・・・・・・20
  ヤクルト・・・・・・100
  角砂糖・・・・・・・100
  コーヒー・・・・・・・15
  めんつゆ・・・・・・・40
  みりん・・・・・・・100

(2)大阪市立矢田南中学校「パソコンと自作比色計を用いた水質汚染物質の分析(CODの測定)」(http://www.shinko-keirin.co.jp/j-kadaiscie/9810/index2.htm
 COD測定結果は,次のようになった。
 《COD測定結果(ベスト6)》
  1位  0〔ppm〕  六甲のおいしい水
  2位  2〔ppm〕  水道水
  3位  8〔ppm〕  顔を洗った水
  4位  9〔ppm〕  牛乳1万倍薄
  5位  12〔ppm〕  大和川の水
  6位  16〔ppm〕  しょう油1万倍薄

(3)大阪教育大学教育学部附属池田中学校「身近な環境調査T・自作試薬によるCODの測定」(http://www.ikeda-j.oku.ed.jp/cod.htm
 実験
  過マンガン酸カリウム水溶液と水酸化ナトリウム水溶液を混ぜて、試薬をつくり実験しました。
 結果(単位はppm)
  みそ汁  40.8
  洗剤   57.5
  緑茶   35.0
  米ぬか  18.3
  牛乳   112.5
  コーヒー 46.0
  しょう油 152.5
  ソース  608.0

ちょっと(かなり?)バラツキが見られます。
実験誤差(?)にしては、桁が全然違うのは気になりますね。これは希釈率の違いでしょうか? 大阪府立矢田南中学校の実験結果以外は希釈率の記入がありませんでした。
絶対値としてみるよりは、項目間の比較として考察することを目的にしているのかもしれませんね。

No.103 【A-1】

Re:牛乳のCOD 【後編】

2001-05-17 17:57:47 simo

実はその昔、COD測定のバイトをしたことがあります。川をテーマに活動している市民団体が、とある流域の水質を長年調査していて、その測定を国立の某研究所に依頼していたのを手伝ったものでした。
当時勉強したことや、その後聞き知ったことなどを思い出しながら回答します。すでにその方面とは縁遠い世界で仕事をしているので、事実に反することもあるかもしれませんが、議論のきっかけとなることを期待して書かせていただきます。水質関係の専門の方で気づいた方は補足・修正等つけてください。

「牛乳の正確なCOD値」を何の目的で調べているのかわかりませんが、「正確な値」に果たしてどれだけの意味があるのでしょうか?
CODの測定は、日本では通常、硫酸酸性で100℃、30分という条件下で酸化剤である過マンガン酸カリウムによって水中の還元剤(有機物)を酸化するという方法が取られますが、この他にも温度条件や酸化剤(重クロム酸カリウムなど)の異なる測定方法をとる場合もあります。いずれにしろ水中の有機物の量(濃度)を酸化剤の使用量により測定しているもので、水の汚れを大まかに知るための目安として用いるものといえます。
さて、その「水中の有機物」ですが、水中にはさまざまな有機物が混在しています。簡単に分解(酸化)してしまうものから、そうでないものまで。つまり実験条件下では完全に分解しない有機物もあり得るわけです。
ですから、温度や時間の管理をしっかりしておかないと再現性に影響します。何本も一緒に(ちょっとずつ時間をずらして順次)測定することになるので、もたもたしているとすぐに30分が経過してしまいます。失敗して、希釈から30分の湯煎までやり直すはめになったこともありました。割りとめんどくさい測定方法です(特に慣れないうちは)。

さて、このようなCOD測定で「正確な値」とは何を意味するのでしょうか?
そもそも化学的性質の異なる多様な物質の混合物を、1つの尺度でもって測ってしまおうということ自体が無理のあることだといえるのかも知れません。大まかどんな値が妥当かということは言えるかも知れませんが、それ以上は例えれば有効桁数以下の細かい数値を出そうというようなものではないでしょうか?
そんなことも頭に入れつつCODの測定値を考察されるのがいいのではないでしょうか?

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