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環境Q&A

農業集落排水汚泥を「産廃処分」できますか 

登録日: 2005年02月08日 最終回答日:2005年02月12日 ごみ・リサイクル 産業廃棄物

No.9447 2005-02-08 04:18:42 おいで姫

現在、農業集落排水処理施設汚泥はバキューム車にて、一般廃棄物処分場へ搬入処分しております。汚泥の性状が下水汚泥に近いため処理するのに苦労されていることや、現有施設能力の関係から、搬入量の増量は大変厳しい状況です。今後の汚泥処理が心配です。

廃棄物処理法第2条第4項には「事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、・・・・政令で定める廃棄物」とあります。
農業集落排水処理施設は、施設利用の下水道使用料を徴収しています。施設能力が1,000人を超えるような施設は、特定環境の下水道処理施設に類似しており、むしろ「事業活動」に伴う、政令で定める「汚泥」(下水汚泥)と理解するほうが自然ではないでしょうか。

そこで、@農集排汚泥を「産業廃棄物」として処分することができますか。A産廃処分する場合、問題となるとことはどんなことですか。ご教授ください。よろしくお願いします。

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No.9449 【A-1】

Re:農業集落排水汚泥を「産廃処分」できますか

2005-02-08 18:45:13 万田力

 農業集落排水処理施設は、「下水道使用料」と称する施設利用料を徴収していても、下水道ではなく浄化槽です。
 また、産業廃棄物にはあたらないし尿及び雑排水を処理して発生した浄化槽汚泥は一般廃棄物です。
 従って、
> @農集排汚泥を「産業廃棄物」として処分することができますか。
  できません
> A産廃処分する場合、問題となるとことはどんなことですか。
  一般廃棄物を産業廃棄物として処理することは、問題になるとかならないとか以前の問題です。

※参考:浄化槽の定義(浄化槽法第2条第1号)
 便所と連結してし尿及びこれと併せて雑排水(工場廃水、雨水その他の特殊な排水を除く。以下同じ。)を処理し、下水道法 (昭和三十三年法律第七十九号)第二条第六号 に規定する終末処理場を有する公共下水道(以下「終末処理下水道」という。)以外に放流するための設備又は施設であつて、同法 に規定する公共下水道及び流域下水道並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律 (昭和四十五年法律第百三十七号)第六条第一項 の規定により定められた計画に従つて市町村が設置したし尿処理施設以外のものをいう。

回答に対するお礼・補足

ご回答有難うございます。
やはりそうですか、”残念”です。
確かに農業集落排水処理施設は浄化槽法に基づく施設でありますが、一般家庭の汚水のほかオフィス、商店、学校等事業所等の汚水も処理しておりますし、使用料金を徴収しています。いわゆる『事業活動』ですよね。
廃棄物処理法で解釈すれば、『事業活動』に伴って発生した「汚泥」ですから、産業廃棄物と思われますが・・・・どうなんでしょうか。今後の取り扱いが、【変わる】ことを期待しております。

No.9470 【A-2】

Re:農業集落排水汚泥を「産廃処分」できますか

2005-02-09 19:47:34 万田力

> 一般家庭の汚水のほかオフィス、商店、学校等事業所等の汚水も処理しておりますし、

 浄化槽の定義の中で「便所と連結してし尿及びこれと併せて雑排水(工場廃水、雨水その他の特殊な排水を除く。以下同じ。)を処理し、」とあるように、事業所等の排水を処理するかどうかではなく、特殊な排水(工場廃水とか雨水は例示です。)を処理するかどうかが問題なのです。

> 使用料金を徴収しています。いわゆる『事業活動』ですよね。
> 廃棄物処理法で解釈すれば、『事業活動』に伴って発生した「汚泥」ですから、産業廃棄物と思われますが・・・・

 一般廃棄物を処理する行為は、料金を徴収しようとするまいと事業活動ですが、一般廃棄物はどのように処理しても一般廃棄物です。
 一般廃棄物であるゴミを焼却することも事業活動でしょう?その結果発生した燃え殻やばいじんは、一般廃棄物処理事業から発生したものであっても一般廃棄物ですよね?
 即ち、事業活動によって汚泥という廃棄物が発生したのではなく、一般廃棄物であるし尿や雑排水を処理した結果、公共用水域に放流して差し支えない「水」とさらに処理を要する「汚泥」になったと考えるべきなのです。

回答に対するお礼・補足

丁寧なるご回答ありがとうございます。
一般廃棄物処理場の受け入れの問題などありまして、できれば公共下水道汚泥のように、産業廃棄物として処理できれば、効率的・経済的と思われます。農集排汚泥はそもそも農地還元することで計画しております。しかしほとんどの自治体が一般廃棄物処理場へ搬入している状況です。コンポストしても肥料や土壌改良剤としての需要は少ないようですし、重金属や農薬の混入など有害物質に対する懸念などあるようです。
下水道汚泥のように炭化処理することも選択肢の一つと思います。
以前、EICネットに「下水道汚泥」(2005-01-28)に関する質問がありました。廃棄物処理法に関する運用の通知を改正し、下水道の汚泥に関しては、昭和49年より産業廃棄物として取り扱うようになったと。
今後、浄化槽法よりは下水道法に近いような、農集排汚泥の処理や放流水の適正な水質管理など、議論の高まることが必要と思います。
万田力様 ご助言を頂きまして有難うございました。

No.9499 【A-3】

Re:農業集落排水汚泥を「産廃処分」できますか

2005-02-12 20:56:00 papa

発生由来と性状的には全く産業廃棄物ですが、制度的にはどうやっても産業廃棄物としては扱えないと思います。
その理由は
1 流入水規制に対する制度的担保がなく、汚泥性状に関する品質管理が全く行われておりません。
2 一般廃棄物として扱う関連業者に対しては特別法があり転廃業の対策を考慮する必要があります。
3 施設設計が汚泥処理を前提とした返流水負荷を見込んでいるケースが少ないので、中途半端な汚泥処理を行うと排水基準の遵守ができません。
 最近では農業集落排水処理施設をポンプ場に改造して下水処理場に接続するケースなどもあります。このほうが現実的かもしれません。

回答に対するお礼・補足

ご回答ありがとうございます。
維持管理費用の経費節減など経営努力しても、農集排汚泥の処理に関しては、なかなか容易ではありません。一般廃棄物であるため、@「し尿処理場」の施設能力(受入能力)の問題。し尿処理場の管理者から農集排汚泥の搬入量・搬入日など制限されている。A濃縮汚泥を引き抜く際、濃度が濃いため、水増ししないと引き抜けないこと。B一般廃棄物業者が1社のみで、処理価格の競争原理が働かないこと。Cご指摘のような特別措置法の関係など。
いずれにしても、産業廃棄物として処分できないことは理解できました。お忙しいところありがとうございました。

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