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環境Q&A

生活系廃棄物収集運搬業の許可について 

登録日: 2004年01月18日 最終回答日:2004年01月27日 ごみ・リサイクル ごみ処理

No.4696 2004-01-18 22:34:52 さとう ひさし

私は軽運送業を営んでいる者です。私のところには市民からよくゴミの処分の依頼があります。また先般、環境省から引越しゴミは許可業者に引き渡すよう通達がありました。私の市では委託業者以外のゴミの収集運搬業者は事業系のみです。そこで生活系廃棄物収集運搬業の許可申請のため市役所を訪れました。市の担当者は私の考えによく理解を示され許可のための手続きを進めてくれていますが、いまだ許可がおりていません。廃棄法第7条第3項第1号では「当該市町村による一般廃棄物の収集運搬が困難である場合」に市町村長は許可をすることができます。また同第2条3項(国民の責務)には「国民は…廃棄物はなるべく自ら処分すること等…」とあります。市では戸別収集は困難です。また市民は誰でも自分の家のゴミは市の処分施設に搬入できます。運搬手段のない家庭はゴミステーションに出すだけでなく、自由に運搬業者に依頼できてもいいと思うのですが…。コスト低下にもつながります。許可を出さないのは不自然だと思うのですが、それでも許可は難しいのでしょうか。教えてください。また軽運送業者に許可を与えている例がありましたら教えたください。

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No.4815 【A-1】

Re:生活系廃棄物収集運搬業の許可について

2004-01-27 18:30:10 東京都 / 君山銀針

さいとうさんも書かれていらっしゃいますように、一般廃棄物処理はもともと市町村の事業(自治事務、固有事務)として想定されており、廃棄物処理法7条の規定でも「市町村は、自ら一般廃棄物の収集、運搬、処分ができない場合に限って、市町村以外の者に業許可を与える」と許可を簡単にできないように縛りがかけられています。

なぜ一般廃棄物が市町村の自治事務(固有事務)とされているかは、第5回岡山市一般廃棄物処理業等合理化専門委員会会議概要
http://www.city.okayama.okayama.jp/kankyou/kankyousoumu/gourika-iinkai/H15%2010%2023%20dai%205%20kai/H15%2010%2023%20dai5%20gaiyou.htm
の中にあるように「廃棄物処理法において一般廃棄物処理に関する事務が市町村の固有事務とされている大きな理由は、ごみやし尿の適正処理について責任を持てない住民に処理責任を負わせると、産業廃棄物以上に不法投棄を助長させ環境を悪化させるため、市町村に処理責任を持たせ廃棄物の適正な処理を実現しようとしている」という理解があります。

現状ではこれらの縛りにより、許可が難しくなっている場合があり、また一般廃棄物の中でも、家庭から排出されるごみについては、事業者に処理責任があるとされ、処理方法も自己処理や委託など、柔軟性がある事業系ごみに比べ、許可が難しい場合が多いようです。
(例えば仙台市環境局廃棄物事業部廃棄物指導課による「一般廃棄物処理業許可申請の手引き」
平成15年4月 http://www.city.sendai.jp/kankyou/haikibutsu/syori-kyoka.html
でも、家庭から排出される臨時ごみの収集運搬業については「既存の許可業者に収集運搬させることとし,新規の許可は行いません」と明記しています)

回答に対するお礼・補足

追伸 手元に東京都廃棄物審議会の「一般廃棄物への競争原理の導入について」と題する資料がありますが、そこには一般廃棄物処理業の新規参入容易化とあり、新規参入を容易にしている地域では自由競争からコスト低下やサービス向上が見られる、としております。全国的には新規の許可はなかなか出ないのでしょうが、容易にしている地域もあるってことですね。さらに多くの回答をお待ちしておりまーす。

No.4816 【A-2】

Re:生活系廃棄物収集運搬業の許可について

2004-01-27 18:36:15 東京都 / 君山銀針

回答が長くなるので分割します。

ただしさいとうさんの問題意識は廃棄物処理の将来的な方向性としてとてもよい点を突いていると思います。
さいとうさんのご指摘と同じ方向の指摘としては
「廃棄物政策はどう変わるか」ダイナックス都市環境研究所 山本耕平
http://www.dynax-eco.com/report10.htm )というレポートでは
「市町村事業としての廃棄物処理では限界がある。(中略)合理的な処理体系を新たに構築していく必要がある」
「廃棄物処理の公共性は官だけが担うのではなく、市民、企業を含めた民との連携のなかで、社会全体として担っていくという視点が必要で、市町村や都道府県は社会的な効率性、安全性という観点から民間の事業を支援し、排出者に対しては適切な処理ルートで処理するよう規制や監視を行う役割が求められてくるのである」
と廃棄物処理の民間化が時代の潮流になるだろうとの予測をしています。

まとめると、将来的な方向性としてはもっともな疑問だと思うのですが、現状ではやはり難しいのではないか ということになると思います。

(あまり期待された答えではないかもしれませんが・・)

なお地元自治体が理解を示しているということですので、あまり悲観的にならなくてもいいケースかもしれないという感じは受けましたがどうなのでしょう。


回答に対するお礼・補足

詳しくご回答いただきありがとうございました。「市町村の(固有事務)と想定されている」と断言でなく想定であればまだ可能性があるかも。(笑)でも法の第二条3項のほかに第六条の二の3項にも「なるべく自ら処分するように努める」とあるわけですから運搬手段をもたない臨時のゴミを抱える家庭のためにさらに市に働きかけます。本当にありがとうございました。

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