一般財団法人環境イノベーション情報機構
吸収源CDMの算入制限について
登録日: 2004年01月15日 最終回答日:2004年01月22日 地球環境 地球温暖化
No.4663 2004-01-15 21:29:21 eco
吸収源について勉強中なのですが、ひとつ疑問があり、なかなか答えが見つけられないので相談に乗ってください。
京都議定書の国別削減義務量(日本は▲6%)に、植林などによる吸収源を算入する場合、いくつかの制限があります。ひとつは、森林管理を加算する場合の上限(基準年排出量の3.9%)、もう1つは、吸収源CDMの算入上限(1%)です。
私の疑問は、排出権取引などで市場から購入した吸収源起源の削減量(ERs)にも、この上限値が適用されるかということです。例えば、ノルウェーがロシアで森林管理を行い排出削減を行って生じたERsを日本が購入する場合算入するのに制限があるか。ほかの例としては、世界銀行のBioカーボンファンドに出資してERsの配当を受けた場合、吸収源CDM起源なため1%までしか算入できないのか、ということです。
ご存知の方、また参考になりそうな資料を紹介していただける方、ぜひお願いします。
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No.4759 【A-1】
Re:吸収源CDMの算入制限について
2004-01-22 10:32:55 君山銀針 (
http://www.jccca.org/cop/7/kmex-F.htmlの
「京都議定書の削減目標をもつ国はそれぞれ国内登録簿をもち、ERUs、AAUs、RMUs、CERsを管理します。ERUs、AAUs、RMUs、CERsには、約束期間、発行国、種類、個別番号、事業番号などがつけられ、その移転、取得に関する記録・追跡を、条約事務局のもとコンピュータデータベースで管理します」という説明を見る限り、ERsもCERsも排出量取引されてもそれぞれ別個に管理されることになっており、CERs(CDM事業を通じてCDM理事会が発行する認証排出排出量)がERsに転換することはありません。
従ってCERsを対象とする京都議定書12条に基づく吸収源CDM1%枠はERsには適用されないと考えていいと思います。
ただし「ノルウェーがロシアで森林管理を行い排出削減を行って生じる」というJI活動について野放しということはなく、ERsには補完性についての規定が別にひっかかってきます
マラケシュ合意 京都メカニズムに関する規定 gispri仮訳
http://www.gispri.or.jp/kankyo/unfccc/pdf/cop_marrakesh.PDF
1. メカニズムの使用は国内行動に対して補完的たるべきであり、しかるに国内行動が第3
条第1 パラグラフの数量的排出制限及び削減約束達成のために行われる各附属書I 締約国の努力の大半を占めるべきであるということを決定する。
2. 附属書I 締約国に対し、京都議定書第8 条に基づくレビューに供すべく、同議定書第7
条に従い、上記第1 パラグラフに関係する関連の情報を提供することを求める。
3. そのような情報の提出には決定-/CP.7(第7 条)に盛り込まれた実証可能な進展に関す
る報告が考慮されるべきことを決定する。
4. 遵守委員会の促進部門に対し、上記第2・第3 パラグラフについて実施上の疑義に対処
することを求める。
すなわち
「附属書I 締約国に京都メカニズムを利用した削減分が補完的であることについての資料提出、遵守委員会の促進部門による監視」という内容が盛り込まれています。
他の情報がある方はご教示いただけると幸いです。
回答に対するお礼・補足
とても詳しくご回答をいただきありがとうございました。一点だけ教えていただけますか。例えばBioファンドの配当の例だと、ホスト国CER(ログには吸収源の記録がある)が日本の登録簿に移転され、吸収源CDMによるCERとの記録になり、1%枠が適用されると考えてよいでしょうか。
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