SVIと有機分
登録日: 2013年05月27日 最終回答日:2013年05月30日 水・土壌環境 水質汚濁
No.39190 2013-05-27 14:19:46 ZWlec55 海
はじめて質問します。
下水処理場に勤めて日常点検をして3年になる”海”といいます。
最近、暖かくなってきてもSVが高いままです。MLSSは去年と同じです。(去年はこの時期からだんだんSVIが下がっていました)ただ、活性汚泥の有機分が去年よりやや高めにあるように感じます。
活性汚泥の有機分が高いと汚泥の沈みは悪く?遅い?SVIは高くなるのでしょうか?
SV:60位 MLSS:2200位 活性汚泥有機分:83%位です。
処理方法は2段のステップ流入式硝化脱窒法です。
まだまだ初心者ですが、先輩方のご教授をお願いします。
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No.39197 【A-1】
Re:SVIと有機分
2013-05-28 16:39:42 papa (ZWlbd18
同様に沈殿池の滞留時間・池構造の改良が進み、以前のようにSVIを運転指標とする意味合いはほとんどありません。汚泥の極端な解体や膨化でなければSVIの高低を云々する必要もないと思います。
お尋ねの程度のSVIであればいまどきのスッテプ流入の処理場では普通の処理場と認識して差し支えないと思います。
現代的な意味でSVを計る意義は、フロック形成、上澄水のピンフロック残留などを観察することにあります。
昔の水面積負荷の大きな処理場では短時間に固液分離を行う必要があり、SVIは重要な運転指標でしたが、水面積負荷を軽くして返送汚泥引抜をサイクリックなシーケンスで運転できるいまどきの処理場ではほとんど考慮されいないと思います。沈殿池の動態を観察してみると、整流板付近でほとんど汚泥は沈降して水面には僅かなスカムや脱窒浮上くらいしか見えないと思います。沈殿池の界面管理さえできればSVIがどうこうという考慮の必要はないと思います。
これからの梅雨の季節は路面からの多少の雨水混入は不可避ですが、MLVSS/MLSSの低下とかそれに伴うSVIの減少が見られると思います。
回答に対するお礼・補足
PAPA様
親切なご回答ありがとうございます。
MLSSが2000〜2300程度あれば、硝化も脱窒も良好にできているし、SVを観察しても界面沈降が綺麗に出来ていて・・とこれで良いのかな?感じています。(NH4-N:0.5位、NO3-N:5〜6位、BOD:2位)ただ、スカムスキマー直後で界面が1m付近まである為、流入量が低下した早朝などにわずかながらですが汚泥が浮上してしまいます。これを見逃してくれない人々(お役人様)は多々おりますし、管理する側としても「まあいいや」で済まされないのも現実です。(個人的にはこれくらい別に良いじゃん?と思っていますが・・)
返送率を上げても無駄なのはやってみてわかりましたし(返送率は通常50%)、揚水量の平準化をしても無駄だったのもわかりました。MLSSを下げたらS-BODが上り、脱窒浮上の恐怖がよみがえり、MLSSは2000以下はダメダメになっているようです。つまるところ今の運転が一番良いのでは??なんて考えたりもしますが、結果的にSVIがもうちょっと低ければ汚泥が浮かなくて済むんだけどな〜と思ったりしています。私には水質管理の人達がどう考えているかはわかりませんが、私なりにPAPA様の言われたことを念頭にしばらく界面と汚泥浮上状況を見て行こうと思います。ありがとうございました。
No.39199 【A-2】
Re:SVIと有機分
2013-05-29 10:04:56 papa (ZWlbd18
当方(お役人様)ですが、ステップ2段で↑なら水処理屋としては表彰状を差し上げてもよいレベルかと思います。
SVI200以下と指針に書いてあったからと希釈してSVIを計ったり、省エネと称してN-BOD対策を塩素注入で回避したりとか、昨今は水処理屋としての最低限の職業倫理さえカバーできていない処理場もあります。
ただ矩形沈殿池のパイプスキマー付近の界面は脱窒浮上のリスクが高いので私のところは汚泥の圧密が生じない0.5mくらいを目標に管理をしています。
揚水量を平準化したり返送率を頻繁に調整するのは素人さんの思いつきレベルで、池容量を考えれば処理場ではほとんど無駄な努力かと思います。
揚水量が低下トレンドにある時間帯では沈殿池の汚泥保持量と返送量の時間遅れが生じて過渡的に界面上昇となります。どうしても気になるなら揚水量が大きく低下する際には返送をマニュアルモードで比率から低下前の流量に固定しておくと多少の効果はありますが、手間を掛けるほど意味のある操作ともいえません。
返送率はステップ比率50:50と連動した返送率で、池容量比率1:1.5:1.5:2.25に対応していますので現状の50%は厳守してほしいと思います。
回答に対するお礼・補足
PAPA様
再びのアドバイスありがとうございます。
PAPA様の表彰状ありがたく頂戴いたしまして水質管理の人たちに伝えておきます。
(きっと喜ぶことと思います)
早朝のわずかばかりの汚泥浮上は目をつむり、小手先の運転操作にばかり目を奪われないよう、PAPA様がおっしゃる水処理本来の機能をよ〜く考え、立派な下水道マン目指してがんばります。
ありがとうございました
No.39206 【A-3】
ステップ流入式硝化脱窒法
2013-05-29 22:57:38 mashi-nana (ZWlba51
SVIは400弱でしょうか。 BOD負荷とDO、水温を調ぺて昨年と変化がなければ、あまり気にする必要はないと思います。
昨年はこの時期から活性汚泥の有機分もSVIも下がっているということは、活性汚泥が解体気味に推移していたのかもしれません。降雨量が多かったとかいろいろ考えられると思いますが、ステップ流入式硝化脱窒法は好気槽が二つに分かれているので、最終回路のデータだけでは判断しかねます。
数日で急激にSVIが上がった?のでなければ、異常といえるほどの現象ではないと思います。ステップA20法はA-SRTを長くとりますので、 SVIは高くても300程度です。比較的稀な施設なので、ステップ流入式硝化脱窒法について、papaさんの回答を補足をさせていただきます。
・・・・・・・・・・・・・・・
この施設は嫌気⇒第一好気⇒無酸素⇒第二好気+第二好気から無酸素槽へ硝化液循環、という処理工程を取ります。ステップ流入式硝化脱窒法は硝化・脱窒はしやすいのですが、リンの除去が不安定と言われています。下水道事業団の評価報告書では窒素除去が主で、リン除去法ではないとしています。が、以前はステップA2O法といわれていたように現場では、リン除去も含めて、運転方法が試行錯誤の状態です。
少し難しい内容ですが、将来参考になることを後に記載しておきますので、ぜひ積極的に勉強して、リン除去を含め本法のスペシャリストになってください。
評価報告:http://www.jswa.gojp/g/g4/g4g/pdf/gihyo 18.pdf
続く
No.39207 【A-4】
SVIと細菌
2013-05-30 06:41:53 mashi-nana (ZWlba51
無酸素槽に流入した生下水中の溶解性有機物が第二好気槽の初段まで持ち出された場合に、糸状性細菌Type 1851が増殖しやすくなります。この結果、最終回路のSVIが上昇します。
顕微鏡を覗いて活性汚泥に桿菌が付着した束状の細い糸状細菌が多ければ、Type 1851が増えているのだと思います。この細菌は硝酸化の進んだ標準法活性汚泥中で普通に見られる常在細菌です。増殖してもSVIは400〜600程度です。同時にTypeOO41なども見られるでしょうが、本法で見られる糸状性細菌は、どちらか一端がフロックから発生している形態なら、あまりSVIの上昇に関与てこしないと思います。
その他の細菌の増殖傾向
@硝化細菌等
原則的には、硝化細菌の増殖特性は第一好気+第二好気のA-SRTの合計です。この施設のA-SRTは長めとなりますので、好気槽のDOを高めると、すぐに硝化が完了します。ただ、従属栄養細菌は凝集性が低下しやすい傾向にありますので、急な運転操作変更に細菌相が追従できません。運転の変更が必要な場合には十分に時間をかけてください。
Aポリリン酸蓄積細菌
無酸素槽が強い嫌気状態を保ち、リン酸性リンがほとんど吐き出されるようなら、ポリリン酸蓄積細菌の増殖特性は第一好気か第二好気のどちらかA-SRTの長い槽次第となります。同じ容積ならDOの高い槽となります。
無酸素槽が弱い嫌気状態でリン酸性リンの吐き出しが少ない状態なら、ポリリン酸蓄積細菌は無酸素槽を連続した好気槽の一部と勘違いするので、リン蓄積細菌にとっては「長すぎる好気時間」となってしまいます。
この辺の細菌の挙動をソフト的に解決できれば、将来、りんの除去も可能かもしれません。
回答に対するお礼・補足
mashi-nana様
親切丁寧な回答本当にありがとうございます。
とても勉強になります。
昨年に比べて、有機分がやや高めであることと同時に処理水質が昨年よりわずかですが、低下しているように感じました。これも原因のひとつと考えて見たいと思います。(糸状菌についてはわかりません・・・)
SVIは管理指標ではなく”結果”と考え、あまり気にしないようにしたいと思います。
”りん”についてですが、まだまだ勉強不足でした。生物脱りんは流入水が”濃い水”であれば除去率が上がるとしか考えていませんでした。実際に点検で流入渠にいった時に「今日は臭うなあ?」感じたときから数日間は処理水のりん濃度が検出下限以下になっています。ただ、ここは最終沈殿池で汚泥が浮いているくらいですから、せっかく4段目でりんが取れても最終沈殿池でりんが日常的に出てきているのではと考えています。
3段目(無酸素槽)の嫌気度については、”第一好気槽で適度にアンモニアが残る程度の曝気をする”としか考えていませんでした。ステップ流入は50:50なので、りん除去を考えるときは最初沈殿池の使用方法も検討しなければならないんでしょうね。ただ、現状の脱窒状況を考えたり、又、処理水質より電力削減を優先に考えるお役人様方はそうさせてはくれないと思いますが・・(何のための下水処理場なん???)
1〜4段目の活性汚泥のりん含有率や各態窒素の測定ができれば、ORPに頼らない各槽の把握できるのかなと思います。(私にはそんな権限はありませんが・・・)
まだまだ勉強しなければならないことがたくさんあることがよ〜くわかりました。
ありがとうございました
No.39208 【A-5】
Re:SVIと有機分
2013-05-30 15:50:07 papa (ZWlbd18
ステップ2段循環となった経過はよく承知しているつもりですが、A2Oもどきの運転も可能なので、いろいろわかってくるにしたがって熱心に仕事に取り組む方ほどかえって迷路に迷い込んでしまうような気がします。こちらは経験をもとに説明する癖がついてしまってるのでmashi-nana様の解説は考え方を整理するにはとても参考になります。
ところで、ステップ2段でのりん除去と脱窒は操作的には相反する操作になるのでどこかで割り切りが必要です。また、生物脱りんをトライしても嫌気消化を行っている処理場ではMAP対策が別途必要になります。
他の条件がクリアされた後に残る操作ポイントはエアリフト循環ゲート操作に依存する部分が大きいので、注意深く調整する必要があります。
循環ゲート(可動角落し、普通の角落しのケースもあります)開度を減らして循環量を減らせばりん除去率が上昇します。開度を増やせばりん除去率が減少し脱窒率が上昇します。循環量が多すぎると短絡や解体になります。お尋ねの現況SVIはmashi-nana様の回答にあるようにイレギュラーなレベルにはありませんが、そういったメカニズムを理解したうえでの操作を行っている処理場はいままで訪問した現場の中で半数もないことは残念でなりません。
前例踏襲でマンネリ化しやすい職場ですが、少しの疑問でもこのようにご質問いただく中からお互いの認識を確認できることは大変参考になります。
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